ザ・グレート・展開予測ショー

虹色の笛   〜〜〜〜(第三声)〜〜〜〜


投稿者名:えび団子
投稿日時:(03/10/ 5)



 異様な霊気に空間が微妙に揺らめくのを感じたシロとタマモ。
突発的に身を反らし来るであろう攻撃に反応する。これに続いて、
美神、横島が行動に移る。見えない敵に対して最も優先されるべき行動は
『避ける』こと。先制攻撃がヒットでもしようなら完全に主導権を握られ

る恐れがあるのだ。そこから戻すのには一流のGSにも難しい。


「先生っ、美神殿っ!」


シロが彼等に叫び掛ける。


「そっちは・・・」


タマモが言い終わらない内に『それ』はやって来た。


      ――――――――ギュンッ!!――――――――


彼等の背後から鋭い霊波の線が通過する、美神の長い亜麻色の髪がゆっく

りと宙に舞い床に落ちた。横島の方は肩をかすめ紅い鮮血が滲んでいる。
超感覚の無い人間にとって霊波を完全に捉えることは不可能に近い。
故に実力者であっても相手の霊もそれなりに力があるとすれば不意打ちは

かなり効果があるのだ。


「くっ・・・!」


「横島くん、大丈夫!?やるわね、あいつ・・・おキヌちゃんの身体の秘

密を知って単に襲って来た奴等とは格が違うわっ!!」


こちらは無傷なので横島を気遣う余裕があるらしく。しっかりと状況分析

を始めている。右手には神通鞭を垂らし左手には霊視ゴーグルを携帯して

いる。ゆっくりとベットの周りを旋回しながら・・・探る。


ヴヴ・・・


!! !!


「そっちでござるか!?」


霊波刀を寸分狂わず一点に向かって突き出す。
恐ろしい瞬発力で見えない相手との距離を詰める。


「逃がさないわよ」


狐火を一層大きく、妖しく燃えあがらせシロ同様のポイントに集中させる

タマモ。二人なら的確に相手の位置を知ることができる。


――――――――ドゴオォォオォオオオンッ!!――――――――


白い壁に爆発音が木霊する。姿無き敵はそこに居たのかと美神と横島の視

線は注目するが煙に隠れて全く分からない。


「やったの・・・?!」


驚きを隠せない美神。


「いや、まだですっ!」


横島が肩の傷口を抑えながら言葉を発する。
左肩から流れ出る血はあてがう右腕を伝い、さっきからポタポタと滴り落

ちる。汗は冷ややかなものと変わり緊迫した事態は加速していく。

ヴヴヴヴ・・・

煙が徐々に晴れ、向こう側がはっきりと確認できる時。
一人の存在が危機にあることを知らないでいた。

白い壁に風穴が空き、東京の朝の情景が映った。
建物の上層に位置し一番端の部屋である場所から見える景色は絶景だった


「ついに掛かったかア・・・ヴヴヴ。」


待っていたのは宙ぶらりんになったシロ。
右足の根元を掴まれ頭は真下を向いている。


「先生っ!!」


姿を現した『それ』は見た目トカゲのような印象を受けた。
紫の身体の長い舌。鋭い爪にたいした体格。妖怪と呼ぶに相応しい容姿だ


「シロッ!!」


空に浮かぶ『それ』はシロを掴んでいる足を離したりしてもて遊んでいた

してやられたわね!

正直なところそうだ。シロの超感覚と能力から考えれば位置を察せられる

のは百も承知。能力にしても接近戦専用で近づかなければならない。
条件が揃い過ぎてたとしか言えない。練られた作戦・・・。


「用件は簡単、そこに眠っている女の身体をよこせ」


そいつは静かに言った。


「もし、拒むと言うなら・・・」


風がゆっくりと頬を撫でた。








    ――――――――こいつを・・・落とす!――――――――








           ネクロの子よ、目覚めよ。









「「「「えっ・・・!?」」」」


その場にいた全員が聴いた。耳にではなく心に。


「ヴヴッ・・・?!か、かか身体が・・・・動かっ・・な・・・い!?」


霊波の流れがそいつの周りを不規則に蠢く。暫し手が震えていたかと思う

と突然・・・

ドクンッ!

奴の中の何かが壊れた。全身が砂のようになり天高く舞い上がったのだ。

さあ・・・もういいの。無理しないで・・・

「シロッ・・・!!」


事態の急変振りにも驚かされるが支えるものが無くなったシロの身体は真

っ逆さまに地面向かって降下していく。横島が美神の掛け声と共に文珠に

キーワードを込めながら壁に空いた穴から飛び込んでいく。







       ――――――――ぽふっ・・・――――――――








「うわわあああん、先生っ先生っ!」


泣きじゃくるシロ。


「もう大丈夫だって・・・な?」


それにしてもさっきの声はなんだったんだろう?
それにあいつの挙動も可笑しかった、関係があるのか?
『柔』の文珠に助けられた横島はそんなことを考えていた。
これから起こる事件の幕開けとも知らずに・・・。











                 続く。    

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