ザ・グレート・展開予測ショー

#GS美神 告白大作戦!! 『交換した赤と白の風船』


投稿者名:えび団子
投稿日時:(03/10/ 1)






  ――――――――今度また一緒に遊ぼう・・・・・・!――――――――





彼の口から言葉を告げられた、あの時・・・。
約束の証として交換した赤と白の風船。
星の輝く漆黒の空に包まれながら色鮮やかな花火を背景に、
それはしっかりと二人の間を移動した。そう・・・心のように。


化けたって、あんまり年の差ないじゃん・・・。


自分の境遇を呪いもした。妖怪・・・だってことを。
人間になりたいな、なんて思っちゃいないけど。少しだけ、
人と人が羨ましくなった。同じ種と言う奇跡を・・・。


あんまり、子供扱いすんなよっ・・・!


やっぱり、男の子だよね。弱いのに強がるところ。
自分だって寒いのに私に上着貸しちゃって。きっと風邪引いちゃったんだろうなあ・・・ごめんね。けど、十分伝わったよ。貴方の温もりが・・・


じゃあ、約束の印に交換だっ・・・!!


想い出の品は今ではもう空気が抜けて萎れていた。
色も薄くなり、面影は殆どなかった。
こんなものだろう。モノなんて。
結局の話、形あるものはいつかは消える――――なくなっちゃう。








        ――――――――けど・・・――――――――








いつまでも、いつまでも光をなくさない。命ある限り・・・

              想い出。

私は忘れない、永久に・・・。彼のことを。
必死に頑張って、笑ってくれた・・・。あの頃を・・・










「酷いよ、タマモちゃん・・・。僕って分からなかったなんて!」


見晴らしのいい丘で、緑がいっぱいの野原を見下げて。


「だって、真友くん。全然変わってるじゃない!」


同じ目線で話す二人。一年前にあった差はすっかり消え・・・。
肩も一緒に並べられるぐらいに大きく成長した彼。
子供らしいあどけなさはまだまだ残ってはいる彼。
それでも時のブランク何てなかったかの如く。お互い近況を話し。


「今は成長期だからな、身長が一気に伸びるなん・・・てっ?」


暫くして、隣に座っているタマモの変化に気付いたか、疑問符を掲げる真友。優しい風が彼女の金髪を美しくなびかせ、沈んだ表情を一層高めた。


「私は一つも変わらない・・・。」


事実、人間との時間帯は大きく違い。身体を刻む時も。


「別にいいじゃん、僕とタマモちゃんが過ごす時間に違いないだろ?」


青空を仰ぎながら妙に大人ぶった風に簡単に言い放つ。
雲は山の淵にほんの少し顔を出すだけで、ほぼ快晴。
草が太陽の光を取り込み漏れる香りに眠気を誘われる。

一緒さ・・・。


「えっ・・・?!」


寿命は私の方が何倍も何倍も長いのに・・・。
姿だって全然変わらなくて、成長だって・・・。


「僕は君が妖怪だって何だって含めて好きなんだ・・・」


        ――――――――告白――――――――


「ずるいよ・・・そう言うこと。」


涙目で呟くタマモ。


「それにさ、ずっと若いままなんだろ?男にとっては最高じゃん!」


悪戯っぽく笑う彼。随分大人になったなと痛感させられる。


「・・・////」


私は黙って俯いて、紅くなった頬を見せなかった。


「それに自分より先に死なれちゃうのは勘弁して欲しいしね。」


「・・・////」


両親が離婚して、こんな田舎にやって来て。環境も変わって。
友達とも別れなくちゃいけなかったのに、なのに・・・。
何故こんなに強いのだろう?私の方が年上なのに。

どうして?

仕事でこんな辺境に来なかったら逢うこともなかった。
私の気持ちもずっと封をされてたかもしれない・・・。

偶然。

必然。

どちらにしても、赤と白のあの風船。あの約束は。
二人が又出会える為にあったのかもしれない。


「あのさ・・・」


彼が思いつめた、ある種の決意の表情で。


「・・・僕も答えが聞きたいんだけど?」


         ――――――――告白――――――――


「私も・・・・・・(はあと)」


片手に握り合っている風船が同時に青空に舞い上がった。
空気はもう入ってはいないのに、上へ上へと・・・。
雲はもう無く、太陽の光と重なって風船の姿は最後まで捉えることは不可能だったが、確実に見えなくなった。雲に隠された訳ではなく。彼方向こうまで舞い上がったのだ。木々の葉が揺れる音が静かに聞こえた。
もしかすると、消え去ったのは私の心に掛けられた鎖だったのかもしれないね♪









               ☆おしまい☆ 

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