ザ・グレート・展開予測ショー

お洒落の本質。


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(03/ 9/18)

パピリオがぽつりと言った。
「ヒャクメちゃんて、いーっつも同じ服なんでちゅね?」
妙神山へと所用でよったヒャクメが、遊び相手を買った時の事である。
やや離れた所にはハヌマンが孫と遊びつかれたという風体でアンティークチェアで転寝である。
それで変わりに私でと、ヒャクメが綾取りを教えていたが、どうも不器用なパピリオらしく上手くいかない。
ぎぐしゃくした糸が物語っていた。
「ぎぐっ、こ、これはね。訳が・・」
言い訳も思いつかない。いくら忙しいとは言え、洋服の一着ぐらい買いに行く時間もあるし。
「・・まさか、ヨコチマや、ここよりも、ボンビー?」
「そんなわけないでしょ!」
と、立ち上がるも、万一肉弾戦になったら、勝ち目は万に一つである。
振り返れば・・。
知り合いである小竜姫もミニスカートやら、実はチャイナ・ドレスの一つも持っている。
パピリオの姉二人も中々に見ごたえのあるランジェリーを所持していたし、
やや大人びた服を好んで着ていたのである。
「そ、そうね。折角下界に来たんだし、デパートでも行きましょうか?」
ついでに甘い物もご馳走するわよ、と一応年長者としての威厳を見せた所ではあるが?
「は?今は夜の5時でちゅよ?」
パピリオでも時計は読める。
「近場の駅に行けば・・!あっ」
そう、妙神山は山また山にある土地柄である。市街地へ出るにも美神の運転をもってして三時間。
「へ、ヘリでもチャーターして」
「・・・街中の何処に止めるんでちゅか?それにヘリをチャーターしても来るのは7時過ぎでちゅよ?」
おませにも、何をいってるんでちゅか?と肩を竦めて見せたパピリオ。
「それにでちゅね、まだ昼は暑いでちゅよね、日本は」
「そ、そうねぇ〜」
「今、でぱーとに売ってるのはオータム物ばかりでちゅよーだ」
水着とまではいかないが、半そで程度の物でお洒落な物は買えない時期である。
答えに困るヒャクメに助け舟を出した小竜姫ご登場である。
軽く運動でもしていたのか、短パンにランニングシャツ姿、でバンダナである。
「これっ。あまり苛める物ではありません。パピリオ」
「げっ。小竜姫しゃま」
横で頷くヒャクメであるが、
「いくらヒャクメが生活に無頓着でもあまり攻めるものではありません」
「・・・アンタの方がよっぽど酷くってよ?小竜姫」
涙を堪える声である。
「あっ。御免ゴメン。ヒャクメ。でもね。今はこういう便利な物があるのよ」
と、戸棚から取り出した雑誌がある。
「何々?通販ブック。これで貴方の夏もばっちり?」
通例、物を見せるのは対象者の目前に出すのが通例だが、ヒャクメがヒャクメたる事、
小竜姫が手に取った雑誌を読み取ってる。
「なんの雑誌?」
何も知らない様子のヒャクメに噴出す寸前の小竜姫に噴出したパピリオである。
「きゃはは。ほんとーにむーむーむーとんちゃっくでちゅ!」
「パピリオ、それを言うなら無頓着よ、これはね・・」
説明は不要であろう。通販のファッション専門誌である。
六月発売の雑誌であり、期限があと2週間はある。
「でね。品物が届くわけ。私も結構利用してるのよ」
ここは下界に住みついている小竜姫と、天界が仕事場のヒャクメの違いであろうか。
年齢は異なるが、女三人に、ファッション雑誌とくれば、時間そっちのけのチェックにはいる。
「へー。子供用のもあるのね。小竜姫」
「まぁね。この前もパピリオに買ってあげた物があるしねー」
「そうそう。これなんでちゅよ」
と、そのページ。男の子がモデルながらなるほど、パピリオに似合いそうな繋であった。
「そっか。なんとなーく、自分に似たモデルを探してみれば・・」
目を輝かすヒャクメに後押しする二人である。
更にページを捲ると・・。
「あっ!このワンピース、色も柄もいいじゃない!」
そのページに爪あとをつけるヒャクメであったが、
「何、何?何か問題があって?」
二人は直ぐ気が付いていた。
「あのね、ヒャクメ」
「・・・今着てるのと、ほとんど同じじゃないでちゅか?」
はぁ、とため息をついたパピリオの指からようやく糸が解けた。
「結局、私ってお洒落感覚ないわけなの〜?どうしよう〜・・」
まぁ、慌てないでなれない事してるんだからと、本気でフォローにはいる小竜姫である。
その様子を妙神山で今のところ「オス」と断定出来るハヌマンが、うたたねから目を覚まし、
「本当のお洒落者とはのぉ。本当に気に入った物に似た物を買うものじゃが・・」
ちらりと女三人を見て、
「ま、ヒャクメにしても、まだ早いか。こどもじゃのぅ」
という本人。何処で購入したのか、渋いガウンである。

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