ザ・グレート・展開予測ショー

AFTER THE BACK IN THE REBORNEDU


投稿者名:ヒロ
投稿日時:(03/ 9/17)

 まず本編を始める前に、前回の話を折ってしまって、大変反省しております。私を呆れた読者の方々や、作家の方々に、深くお詫びいたします。このようなことは、今後は無い様精進いたしますので、もしそうなりそうな場合は、より多くのご指導をお願いいたします。重ね重ね、もうしわけございませんでした。


 さわやかな風が吹いていた。秋も半ばに入ると、暖かさと涼しさのコントラストが生まれる。
 風たちは、その生まれたての演奏を聴衆者たちに謳歌させるように、さわやかに踊り始める。
 
「失礼します」 
「ああ、お入り」
 院長室のドアをおずおずとたたいてから、誉人が許可を取った。
 ドアを開けると、この学院、それどころではなく、この国でもっとも有名な霊能力者、六道勝政が座っていた。身なりのいい和服に身を包んだ、初老の紳士である。
 彼の向かいには、ピシッとしたスーツに身を包んだ若い男が、大きな黒いソファーに腰掛けている。この部屋にかかっている長いコートも彼のものであろう。
 部屋は、清楚で無駄というものが無く、事務室といった言葉が良く似合う。
「あの、どのようなご用件でしょうか」
 場の持つ独特の雰囲気というものに負けて、誉人はおずおずと口を開く。
 勝政は、そんな心境を察してか、身振り手振りで緊張するなと伝えた。もっとも、誉人にとっては、間抜けな阿波踊りのようにしか見えなかったが。
 とりあえず、一様は緊張がほぐれた誉人は、内心吹きだしてはいるものの、肩の力を抜いて、事を待つことができた。
「ああ、用件があるのは僕のほうだ。そこにかけてくれたまえ」
 スーツの青年がそう声をかけた。彼の目には派手なサングラスがかかっており、その瞳を窺い知ることはできない。
「はい」
 一礼して、ソファーに腰掛ける誉人。
「今度、面白いものを企画していてね。この学院を使ってそれを執り行おうと思ってね」
 青年は、そう切り出した。
「なぜ僕なんですか?そういうことなら学級委員長か生徒会長あたりに持ち出すのがいいと思いますが」
 意思のくみとれない誉人は、多少無礼な言葉で返す。
「これはやや大きな事でね、名前、という広告は必要なんだよ。何も事は学院内だけではないからね」
 男の自信に満ちた言葉に、誉人はパニックになってきた。
「いったい、何をやろうというんですか・・・?」

 勿体つけるようにして、青年が紡いだ言葉は簡潔な三文字だった。
「降臨術さ」 


 GS横島 DEAD END EVER AGIN NEVER CRY


 赤暗くなっていく教室で、誉人は俯いていた。中肉中背、良くも悪くも無いが、明るそうな顔立ちをしている。
 彼は少々困っていた。こんなところに来てまでも、名前という二文字はついてまわるのかと。
 というのも、彼の名前、姓に当る部分には、非常に大きな意味合いを持っていた。
 彼の名は横島といった。400年ほど前に世界を救った英雄の子孫、そう聞かされてはいるが、具体的に何をどうしたのかなんて、よく分かるはずも無い。まぁ、分かることなんて、とても強いんだろうな、といった程度でしかない。
「横島ぁ」
 よく知った声が彼を呼ぶ。面を上げると、これまたよく知った顔がこちらに向かってくる。
「今日は何やったんだよ」
 期待に満ちた目で、彼はいった。
 彼の名は、槙根良樹といった。自分よりやや背が高く、冷めた顔つきをしているが、人のトラブルは大好きだが自分のトラブルは大嫌いという、困ったやつだ。
「誰が困った奴だよ」
「ああ、悪い。口に出てた」
 舌を出して謝っておく。こいつにむやみに逆らうと、呪いの藁人形とか何とか、意味の分からないものを使われるので、誉人には逆らうことができなかった。
「そもそもあの人形だって、俺に復讐したいとか何とかで作ったんだから、俺に何ぼか金払ったって罰はあたんねぇだろ?」
 内心そうは思っていても、その人形を作らされる直接の原因が自分にあるものだから、誉人もうかつには口にできない。
「で、あにやったんだよ」
「何にも、なんか特別授業とか何とかで俺に手伝って欲しいんだとさ」
「そっか」
 別段理由なども聞かずに、良樹は納得し。彼の名前の重大さを良樹は知っているからだ。
 一年ほど前は、クラスのものが皆誉人の名を聞いただけで驚いたものだ。だが今は、皆が皆、彼はいたって普通の少年であることを理解している。
 勉強だっていいわけではない。高い霊力や制御力を持っているわけでもない。ましては馬鹿でかなりのスケベ。ある程度の人脈こそあるが、信頼されたためしは無い。
「このあとどうする?」
 気まずくなった空気を押しのけるため、良樹が適当な話題作りをする。
「ああぁ。とりあえずは家に帰るけど、まぁ、多分手伝わされるんだろうなぁ」
 疲れたような笑みを見せて、誉人が言う。
「そっか。お前んちってGSだったいな」
「よってくか」
 さそう、ていうよりは連行しまっせといった物言いで誉人が笑う。
「バイト代がでんならな」
 その提案に誉人はにっと笑って、
「ならきまりな」
といってかばんを背負った。

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa