ザ・グレート・展開予測ショー

破壊僧ジョドー ―2人の修行僧―


投稿者名:ヴァージニア
投稿日時:(03/ 9/14)


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 ※原作を未読の方はお気をつけください。
  できれば先に原作を読まれてからこちらを読むことをオススメします。

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ざっ・・・ ざっ・・・

≪ あんのクソ坊主〜〜〜 許さない・・・絶対許さないから〜〜〜!! ≫



一昔前の西部アメリカを思わせる果て無き荒野の中、
朝日を背に、三叉の矛を杖がわりにして裸足で歩く女がいた。
長袖ミニスカと思われるその服は、無残にも半分以上焼かれており、半裸に近い状態である。
その女、本来はかなりの美女のはずなのだが、その女自身も体中やけどの跡が残っており、
もとはそこそこ長かったと思われるその髪も焼けて縮れていた。
特徴的なチャームポイント(?)と思われる垂れた動物の耳が、深い哀愁を漂わせている―――



はあっ、はあっ、はあっ、はあっ・・・
≪ あ〜体中ヒリヒリする〜〜〜!
  あと少し逃げるのが遅かったら、ホントに食われる所だったわ・・・
  店もめちゃめちゃにされて帰る所がないし・・・もう・・・ダメだわ 妖力が・・・ ≫

どさっ カランランッ・・・
三叉の矛を放し、その女は地面に倒れ気絶した。

ヒュオオオオ――――――ッ

周囲に人影はなく、太陽は除々に昇り続ける。 しばらくしてその女の体に人影が重なった―――




   ◆




≪ ん・・・ ≫

目を覚ましたタレ耳の女は、木造の宿屋の中らしきところで布団に入り横になっていた。
自分の体を見れば、誰かが手当てをしてくれたらしく、体中包帯が巻かれており、
焼けた髪の毛も多少短くなっていたが、綺麗に肩までカットされていた。

≪ いったい誰が・・・。 ≫
「 おや? 気がつきましたかお嬢さん。 」

男の声に気づき、女が外に通じる入口のほうを見ると、逆光で顔は見えづらかったが、白っぽい衣装を着た男が立っていた。

≪ ・・・あんたが助けてくれたの? ≫
「 いや〜 びっくりしましたよ〜 あんな所で大やけどを負った女性が行き倒れていたのですから。 」

男が部屋に入り、女に近づいてきた。

≪ そう、私命拾いしたのね・・・
  あ、どなたかは存じませんが、助けていただき ありが――――――!?!? ≫

その男(20歳前後)には見覚えがあった。 
髪の毛は全て剃られ、目は細目(糸目)、サングラスをかけ法衣を着れば、つい先日戦ったあの男そのものだった。



≪≪≪  ジョドー!!!!!  ≫≫≫



女は壁に立てかけられていた自分の三叉の矛を手にし、男に襲い掛かった!

≪ ここであったが100年目!!(本当は1日)
  私の体を焼き 店を潰してくれた恨み、今ここで晴らしてくれる〜〜〜―――!! ≫

ジャキ――――――ン!

男に突き刺そうとした矛が、先端に半月型の刃がついた杖「宝杖」にて受け止められた!
受け止めたのはベレー帽をかぶったおかっぱの美少女。
服装は緑色で統一され、首には髑髏の大数珠をかけている。

≪ 師匠(マスター)に刃を向けること、許さない。 ≫

ガキィ――――――ン!

≪ きゃっ!! ≫

ベレー帽の女は、三叉の矛ごとタレ耳の女を弾き飛ばした!

「 やめなさいサラ! この方は怪我人なんですよ! 」
≪ しかし・・・! ≫

坊主頭の男は、倒れたタレ耳の女に近づき、ひざを突いた。

「 私の名は『サンゾウ』、見てのとおり修行僧です。 あなたはもしや、私をどなたかと間違えているのでは? 」
≪ ・・・ジョドーではないのか? ≫

女はその男、サンゾウを良く見てみた。 確かによく似ているが ジョドーではない。
雰囲気や口調、優しそうな細目、男の額もよく調べてみたが、正真正銘の人間・・・別人であった。
するとサラが少し怒った調子で―――

≪ おい、いつまでマスターの頭をぺたぺた触ってるつもりだ? ≫

―――サンゾウは硬直し、顔を赤く染めていた。

≪ あ、ごめんなさい・・・私をこんな目に合わせた人に良く似ていたものですから。 ≫
「 ほうー、もしよろしければその話、詳しく聞かせていただけませんか? 」



タレ耳の女は考えた。 全てを話すべきかどうかを。
サンゾウというこの人間は自分を助けてくれたし、見たところ優しそうな男である。
彼女は自分が『妖怪』だということや人を襲っていたことは話さず、都合のいい部分だけを彼に話した。



≪ ―――それで私、その極悪なお坊さんに、お店を潰されてしまったんです〜〜〜。(うるうるっ) ≫

女優顔負けの演技力で、あたかも本当のように語っていた。
しかし、彼女の話を聞いていたサンゾウは細い目をさらに細めて・・・

「 ・・・チヨさん、ウソはつかないでくださいね。 」
≪ え!? ≫
「 あなたが妖怪だということ、最初から気づいていますから。 」
≪ !? ≫
「 おそらく人間を襲ってた所に その修行僧があなたを退治した・・・って所でしょうか? 」

どきいっ!

サンゾウは全てを見抜いていた。
どうする? この場を切り抜けるには あのベレー帽の女、サラを倒さないといけない。
先ほど刃を交えた限りでは、たとえベストの状態でも勝てる見込みは五分といった所。
チヨには今、ほとんど妖力は残っていなかった―――



「 ―――あ、警戒しなくていいですよ。
  怪我人のあなたをほおってはおけませんし、退治するつもりもありませんから。
  それにもうあなたは充分制裁を受けてるようですしね。 」
≪ ・・・・・・。 ≫
「 私たちはもうしばらくこの町にいますから、ゆっくり傷を癒しててください。
  あ、人を襲ってはダメですからね。 」

そう言って、サンゾウは部屋から出ようとすると―――

≪ 待って! なんで妖怪の私を助けるの!? 私はたくさんの人間を騙して殺してきた!
  あんた坊さんでしょ!? あんたらは私たち妖怪を退治することが仕事なんでしょ!? ≫

するとサンゾウは、頬を指でかきながら―――

ぽりぽり・・・
「 ・・・仕事といわれればそうかもしれませんがー、
  あなたの場合 そうしないと妖怪の世界で生きていけなかったのでしょう?
  人間を好物とする妖怪はたくさんいますからねえ〜。 」

サンゾウが部屋から出ると、今まで黙って立っていたサラがチヨを睨みながら―――

≪ マスターの心意気に感謝するんだな。 ≫

そう言って2人は部屋を出ていった。

≪ ・・・・・・。 ≫




   ◆




―――そして1週間後。
包帯も取れ、身なりを整えたチヨは、宿屋の前で馬に乗ったサンゾウに頭を下げていた。

ぺこっ
≪ 本当にお世話になりました。 ≫
「 元気になってよかったですね。 これからどうなさるつもりです? 」
≪ まず先立つものがないとどうにもなりませんから、
  とりあえずどこかでバイトでも―――あ、サンゾウさんたちはこれからどちらへ? ≫
「 おや、言ってませんでしたか。 私たちの行き先は西の都ですよ。 」

( 西の都? あのクソ坊主と同じ・・・・・・ )




―――そしてサンゾウとサラを見送ったチヨは、町を歩き回り、バイト募集の張り紙のあった中華料理店を見つけた。
まだ準備中と書かれた店の中に入ったチヨは、店内で食材を運んでいたねじりハチマキの男に声をかけた。




≪ すみませーん、こちらでバイトをしたいのですが―――あっ!? ≫
「 あー店長は今出かけてまして―――いっ!? 」

男とチヨは、お互いの顔を見て固まった。

≪ あんたサンゾウ・・・じゃない!? ジョドー!? ≫
「 チヨ!? 」
≪ クソ坊主!? あんたこんな所で何してるのよ!! ≫
「 う、うるせえ! 俺にも事情というものがあるんだよ!! 」

チヨはどこから取り出したのか、三叉の矛をジョドーめがけて突き刺しに向かった!

≪ ここであったが100年目!! 数々の恨み、今ここで――――――!! ≫














  ・

  ・

  ・

ブロロ――――――ッ

ジョドーは霊柩車を運転しながら、旧式A.I.搭載のキャデラック“59”と会話をしていた。

『 ―――師匠(マスター)、これで懲りたでしょう。 
  2度とギャンブルはやめてください! 借金のカタに私が質に入れられるのもご勘弁願います! 』

「 そうか? 今回俺は学んだぞ。

  1、バイトはキツイ。
  2、ギャンブルは な る べ く 控えたほうがいい。 」

『 だから・・・・・・!

  ・・・それにしても、予定より借金返済が早かったですね。 いったいどうして――― 』

「 ま、ちょっとした いい食材が入ってな―――。 」

『 ? 』



   ◆



―――その頃レストランの前では、逆さに吊らされたブタの前で、中国人風の料理人が大きな2本の包丁をチャキチャキ鳴らしていた。


チャキンチャキンッ!
「 さあさあ、よってらっさい見てらっさい! これからブタの丸焼きするアルね―――っ!! 」
ブヒ―――ッ!
≪ おのれクソ坊主―――!! あんたなんかにぜ―――ったい教典なんか渡さないんだから―――っ!! ≫



―――その後2たび丸焼きの刑から逃れたチヨは、サンゾウと合流して彼の従者となり、共に西の都へと向かうこととなる。



いつか対面するかもしれないジョドーとサンゾウ。



彼らの修行は、さらに遠くけわしい・・・・・・














・・・・・・カナ?(終わる。)

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
あとがき
 え〜っとチヨのその後、『ライバルキャラとして準レギュラー化する場合』のお話でした。

 実はこれ、某Y氏に肩をたたかれ、脅されて書きました。(笑)
 ―――というのは半分冗談で、やっぱり面白いから続きを考えちゃうんですよね〜!
 サンゾウは、dryさんの予告編から引用させて頂きました。(感謝!)
 こちらのほうにはたま〜に短編を書くことがあるかと思いますが、その時はまたよろしくお願いします。


 はたしてどちらの修行僧が先に悟りを開くのか・・・続きは皆様のご想像にお任せします。
 

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