ザ・グレート・展開予測ショー

鯉(かん)


投稿者名:hazuki
投稿日時:(03/ 9/10)

運命とは、なぜもこんなに儚いのだろう(笑)。
鬼道はそんなことを、しみじみとベッドの上でかみ締めていた。

こんなに、こんなに、こっんなに、平凡な暮らしをそして穏やかな暮らしを望んでいる自分が彫れているのが、あるく災害発生装置だなんて(笑)
はたからみたら、笑い事でしかない話だが、鬼道にとってみればまさに絶望としかいえないことである。

しかも彫れているのがこっち側だけであるというのも、沈うつさに拍車をかけてくれる。
と、いうことはだ、鬼道は、彫れたことを認めたからには相手を口説かないといけない。
自分の望みとは百八十度違う事を、するために努力しなければならないのである。
しかも相手は、冥子。
美神にして同情をうける価値たっぷりである。


「ま〜くん、傷いたむ〜」

のへへんとした笑顔で冥子。
こちらが心和むような(惚れた弱みです)安らぐ笑顔でいう。
よくよく考えてみれば、その独特のいんとねーしょんもここちよい。
そうじゃないかっと必至で思い込もうとしている(というか彫れた弱みでそうおもっているのか)様子がもう涙ぐましい。


「大丈夫やで、冥子はん」

「そ〜お?」
きょっと首を傾げ冥子。
もっている花束を不器用な手付きで花瓶に生けながらほわわんっと笑う。

「よかった〜〜」

確かに、可愛いのだ
外見だけはっ。
いや性格もあれだけど、悪くはないのだ。

が、しかしそれを補ってあまり有る『あれ』があったりするのに何故自分はこの女性に惚れているのだろう?


くらくらと眩暈すら感じながら鬼道は、自問自答する。


「いっつも〜ま〜くんには〜怪我させちゃう〜から〜〜ごめんねえ」


「ならちっとは、コントロール覚えてくれや」
半ばげんなりと鬼道。


「でも〜ま〜くんは大丈夫〜でしょ〜」


「え?」

何が大丈夫なのだっといわんばかり顔で鬼道

が、次の瞬間、いままで考えていた事が全てふっとぶような爆弾発言を冥子がする。

「だって〜冥子の〜旦那さま〜になるひと〜だから〜」

と。



数秒の、しんと水をうったような静寂のあと鬼道がいった言葉が



「へっ?」


という一言である。

「だから〜」

ぼんやりさんね〜っと微笑みながら、言葉を続けようとした冥子をよそに鬼道は、


「なにいうてはるねんっ!?」

とほとんど、混乱状態でそれを言った。

つーか初恋(笑)成就か?やら地獄へとの第一歩なのかっやらそんなことが鬼道の頭をぐるぐる回る。


「だって〜きまってるから〜」


なにがどう、決めたねんっと声にならない声で鬼道。

てーかそんなものなのかっ?

決まってるものなのかっ?


「まーくん〜の〜おとうさまと〜おかあさまが〜決めてたわよ〜私もきかれたし〜」

初耳である。
つーか一言も聞いてない。
の、前に父親とはいまだ音信不通であり、そんなことを取り決めになったことは知らなかったりする。


既に眩暈どころが頭痛すら感じながら鬼道は手のひらを顔で覆う。

「めいこはんは…聞いてたんか?」
かろうじて、それだけを声にして鬼道。

「うん〜おかあさまにきいたの〜わたしま〜くん〜すきだし〜」

のへへんと何でもないように冥子。


その一言に、手のひらで覆ってた顔が深くにも赤くなる。
しかもこんな散々なのに、口元には笑みさえ歪んでしまう。


こんな歩く災害発生装置といっしょにいたらどんな目にあるか考えるだけでも、恐ろしいのに、事実今もベッドに縛られているのに─なのに

嬉しいと感じてしまうのだ。


どきどきどころか、くらくらするし、いっしょにいて浮き立つどころか、どこどこまでも沈んでいけるけれども─




古今東西、言わずもがな





「鯉」は、偉大である。(誤字にあらず)


おわり

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