ザ・グレート・展開予測ショー

ひのめ奮闘記外伝U(最終話(C))


投稿者名:ユタ
投稿日時:(03/ 8/30)




「ま、ママ!!あれ!!」

「え・・・?た、忠志!?」

蛍に促され上を見るそこにたのは今にも飛び込もうとする息子の姿。

「と、止めなきゃ!」

「待ちなさい!!」

「え?」

母の制止に思わず戸惑う蛍、この状況で忠志が飛び込んでも何も変わらないのでは?と。

「多分・・・パパから何か指示があったのよ・・・・・・・・・・信じなさいあんたの弟を」

「ママ・・・」

「ほら!来るわよ!」

令子が叫んだ瞬間、忠志がこちらに目掛けて飛び降りてくる。
このままいけば丁度かするくらいのベストコース・・・・・だが・・・・


ビュゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!



またしても突風が吹き荒れると忠志の軌道がわずかに変わってしまう。
このままでは忠志と二人の間には人一人分くらいのスペースが開いてしまい接触することが出来ない。
終わりか!?と忠志が思ったそのとき・・・

「ママ少しでいい!横に反動をつけて」

「・・・!?・・・・・。OK!」

令子は今にもちぎれるかと思う右腕を振り、体を揺らす。
すると僅かだが振り子運動のように二人の体が左右に揺れた。
それはちょうど忠志が落下してくるタイミングと重なるが・・・、どうだろう、接触できるかは微妙な距離。
それでも!懸命に伸ばした蛍の手・・・・忠志の手・・・・

「忠志────っ!!!」

「ほた姉────っ!!」






重なった二人の声と手・・・・
そして・・・・・





































「ぐはぁ・・・・死ぬかと思ったぁ・・・」

「みんないきなり令花の上から落ちてくるんだもん、こっちが死ぬかと思ったよ〜」

ぐったりと疲れた忠志と令花はその場でぐだ〜と寝そべる。
心地よい風が冷や汗を乾かし軽い眠気が襲ってくるのだった。
そんな子供達にクスっと笑いながら令子は横島の治療を続ける・・・・そして蛍は・・・・

「蛍・・・・」

バツが悪くてみんなに顔向けできない蛍は背後から聞こえる父の声にビクっと震えた。
怒られる・・・きっと凄く怒られる・・・
今では自分がルシオラかもしれないという恐怖と同じくらい恐かった・・・・・・・・だけど・・・


ギュ────


「え!?」

蛍に訪れたのは怒りの声などではなく父の温かい抱擁だった。

「・・・・・パパ」

「ごめんな・・・・・・・・・・パパお前の気持ち全然考えてなかった・・・・・お前がこんな辛くて悲しい思いをしてるなんて・・・・」

「ちが・・・・パパは悪くなんか・・・・・・・・・」

「いいんだ・・・・・・・・でもだから・・・・お前には全部話そうと思う・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・」


そして蛍は父の言葉に耳を澄ました────

「お前がさ・・・・・・・・・ルシオラの生まれ変わりかどうかっていうのは・・・・・・・実は誰も知らないんだ」

「え!!?でも・・・」

自分の能力や感情、そして容姿はと疑問に思う蛍。
しかし、その疑問にも横島は優しく答えた。

「確かにルシオラの転生かは分からない・・・
 でもな、ルシオラの霊基構造がパパの遺伝子にまで影響を与える以上やっぱり子供にも影響が出るんだ・・・  
 だからルシオラに外見が似てる、そして一部の記憶が混じってるのも・・・・。
 でも、それはお前だけじゃない・・・忠志や令花だっていずれその影響が出るかもしれん・・・・・・・
 これが真実だ・・・・・」

「そうなんだ・・・」

蛍は父の言葉を聞いて少し溜飲が下がった思いだった。
自分がルシオラの生まれ変わりであるとは限らないと分かっただけでも・・・

「正直な・・・・・・・・・・・・・・・・お前がママのお腹にいた頃・・・・『ルシオラが生まれる』と心のどこかで思ってた・・・」

「!?」

「今度こそ幸せにしてやれる・・・・そんな気持ちでいたんだ・・・」

「そう・・・」

父の言葉に今度は悲しみの涙がジワァっと沸く。

「でもさ・・・・・・・・・・やっぱ違ったんだよ・・・」

「え?」

「お前がさ・・・・・・・ママから産まれて・・・・小さな蛍を初めて抱いたとき・・・・
 『ルシオラじゃない・・・・・・・・この子は俺の子供だ』って・・・・・・・・・・・・・蛍が産まれたって・・・
 すんげー泣いたよ」

「パパぁ・・・」

「だから・・・・お前はルシオラじゃない、世界中の誰もがお前をルシオラだって言ったって・・・
 パパだけは絶対に・・・・この子は俺の娘、横島蛍だ!って言い続けてやるさ」

「うっ・・・・ぐす・・・ああああああああぁぁぁぁっ!!」

蛍は泣いた。
腹の奥から、心の奥から・・・・嬉しくて嬉しくて涙が止まらない。
父も母も弟も妹もみんな・・・自分を見てくれている・・横島蛍として見てくれている・・・
そんな当たり前のことが、何気ないことが愛しくて・・・。


「すんっ・・・・ねぇ・・・ぐず・・・パパ・・・」

「ん?」

「あのね・・・・じゃあどうして私のアルバムを見たときに『ルシオラ』って言ったの・・・?」

「ああ・・・あれか」

横島は少しだけ困った顔をして答えた。

「謝ったんだよ・・・・・」

「謝る?」

「ああ・・・・・・・。俺が蛍を・・・・自分の子として愛してるならルシオラはどこに行ったんだって・・・
 ルシオラのことを俺は見捨てたんじゃないかって・・・・」

寂しい笑み・・・・。
きっと横島にだって葛藤や苦しみがあった、いや今だってもしかしら後悔、罪悪感があるのかもしれない。
だから・・・・きっと今蛍に言えるのは・・・・。

「違うよ・・・・」

「え?」

「私・・・・・・・・・・ルシオラ『さん』のことよく知らないけど・・・
 でも少しだけ・・・ルシオラさんの気持ちが分かるよ・・・」

「・・・・・・・・・・ルシオラは何て言ってる・・・・?」

「うん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・────────ありがとう・・・ヨコシマ・・・・って」

満面の笑顔・・・・そんな蛍の表情と言葉に・・・横島は一筋の涙で頬を濡らすのだった。











「ほら!何二人だけの世界に入ってんのよ!家族なんだから私達にも話しなさいよ〜」

「くす・・・そうよね、ママ♪」

「ね〜もうお腹すいたぁ〜何か食いに行こうよぉ」

「令花ハンバーグ食べた〜い」

「そうね、もう夕飯どきで家帰って作るのもめんどいし・・・パパのおごりでお寿司もいいわね♪」

「いいっ!俺の小遣いからかよ!」

「あ、ママに賛成〜〜♪」

「蛍まで!!?だ〜〜〜もう!!」


夕陽が沈みかけ暗がりの東京タワー展望台屋上でわいわい団欒する横島一家。
みな笑顔に溢れ、暖かい温もりを感じながら帰途につく・・・
そんな家族の背を見ながら・・・蛍は笑顔で呟いた・・・
































────────────みんな・・・・・大好きだよ・・・・







と。



































翌日。




「う〜ん・・・今日もいい天気ね〜」

暖かい5月の日差しに背伸びをする蛍。
いつも見慣れた登校路にいつも着慣れたセーラー服・・・
なぜか胸のモヤモヤが消えた今日だけは新鮮に感じることが出来た。
そしてそんな蛍に声をかけたのは・・・

「蛍おっはよおー!!」

「あ、おはよう!真鈴!」

内巻きの髪とおさげとメガネが特徴のマッドサイエ・・・じゃなくて自称蛍の親友・西条真鈴だった。
そしてその手にはあからさまに怪しいコルクで塞がれた試験管。

「見て!昨日さっそくカオス師匠と作成した『時間巻き戻し薬』〜〜♪」

まるでドラえもんのように試験管を高々と上げる友人に引いてしまう蛍。

「さ、これを飲めばあんたの体の中が24時間巻き戻るわ!
 これなら昨日飲ませた『潜在能力開放水』もなかったことに・・・」

「あ〜、読心能力ならもう消えたらいいわよ」

「へ?」

実はあの能力は真鈴が与えた『潜在〜(以下略)』のせいだったらしく朝起きたらきれいサッパリ消えていた。
つまり効果は二日だけ、何と言うか『スイッチが切れた』ような感覚だったらしい・・・

「ま、そういうことだからその怪しい薬はもういいわよ」

「そ、そんなぁ〜〜せっかくお詫びのつもりでカオス師匠と作った『これを飲めばあっという間にあなたも豊胸薬』なのに〜」

「さっきと薬品名違うじゃない!!しかもそれは私に対する当てつけか────ッ!!?」

「ち、違うわよ!これは『時間巻き戻し薬』で胸も大きくなるというお得な・・・」

「うるさ────いっ!!今日という今日ばかりは許さん!そこに直れーーー!!」

「うわーん!蛍がまた怒った────っ!!!」


今日も登校路で繰り返される蛍と真鈴の鬼ごっこ・・・・、




そんな光景に・・・すれ違う同級生達は平和をかみ締めるのだった・・・・・











                    ひのめ奮闘記外伝U         完 






──────────────────────────────────────────────
あとがき

これで納得してくれませんか (ノД`) (挨拶)

ううう・・・多少の強引な展開や設定は勘弁して下さい(大泣)
どうでしょうか・・・昇華、収拾出来てるでしょうか・・
多分納得できない方もいるかと思います、それはもう作者の力不足なんて・・・ごめんなさいごめんなさい(陳謝)

ちなみにどうして東京タワー展望台の屋上に行けたかというと

蛍→幻術で警備員を混乱させて
横島達→令子の手刀で警備員を気絶させて

う〜ん・・・ちと強引かな(^^;まあそこらへんは皆さんのご想像におまかせ!☆(゜ー^)b
あ、あと・・・・

『文珠をこう使えばもっと上手く安全に助けれた』っていうツッコミは勘弁して下さい(TT)
それではちょっと休んでから本編のほう再開しますのでよりしかうお願いします♪

外伝・・・読んでくださって本当にありがとうござましたm(__)m

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