ザ・グレート・展開予測ショー

とら2nd! 5) 襲来 (中編)


投稿者名:ヴァージニア
投稿日時:(03/ 8/30)


■異界 魔鈴の家付近■

ピュルルルルルルルルルルルッ

ばさばさばさばさっ
≪  ギェギェギェギェ――ッ!!!  ≫


茜が獣の笛で「小鳥」と呼ばれたスカベリンジャーを操り、ハーピー向かって飛び出した!!

≪ フッ! 同じ鳥族でも格上のあたいに勝てると思っているのかー!!<カッ> ≫
≪  ギギェ――ッ!!!  ≫

ハーピーの目が光り、スカベリンジャーの動きが止まる!
そしてスカベリンジャーは反転し、茜に向かって飛び込んだ!

「 そんなっ!? 」

ズザッ―――茜は瞬時にしゃがみこみ、スカベリンジャーの攻撃をかわす!

ばさばさっ
≪ ここはあたいと同じ鳥族、スカベリンジャーのテリトリー!
  人間(ザコ)が何人いようとじゃん! ピ―――ピピピピ―――ッ!!  ≫

ばさばさばさばさばさばさばさっ
≪≪≪  ギェギェギェギェギェギェギェギェ――ッ!!!  ≫≫≫


ハーピーは口笛を吹きだすと、山にたむろしていた数百羽のスカベリンジャーの群れが反応し、こちらに向かって来た!

「 いけない! スカベリンジャーたちを操ってる! あんな群れに襲われたらひとたまりもないわ! 」
「 ちくしょう! あたいの笛じゃあ効きそうにねえし! 」
「 あいつ空飛んどるから、うちの神通棍じゃ届かん! 霊体ボウガンも事務所に置いたまんまやし・・・! 」

魔鈴、茜、洋子が発言する。
その横で、水樹にヒーリングを行ってた魔理は、魔鈴の落とした箒(ホウキ)を見つけた。

「 洋子! 水樹をまかした! 」
「 どうするつもりや魔理! 」
ばっ
「 魔鈴さん、ホウキ借りるよ!! 」

魔理はホウキを拾いまたがると、そのままハーピー目掛けて一直線に飛んでいった!

「 魔理サン!! 」 「 一人じゃ危ない!! 」  『 あのコ・・・!! 』

タイガーと洋子が叫ぶ中、魔鈴は驚いた表情を見せていた。


ビュンッ!
「 スカベリンジャーの群れが来る前にてめえを倒してやるぜ!! ハーピー!! 」


魔理は左手でホウキをつかんだまま、右手でハーピーに霊気拳、霊力を込めたコブシをくりだした! ・・・しかし!


≪ その程度の力で・・<フッ> ≫ 「 消えた!? 」

・・・バッ!

≪ あたいに勝てると思ったかー!! ≫ 「 いっ!!?? 」


<<<どごっ!>>> 「「「「「 !!!!! 」」」」」


一瞬のスキに魔理のすぐ横に現れたハーピーは、魔理の腹部を殴りつけて気絶させた。


「 魔理―――!!!! 」 「 魔理サ―――ン!!!! 」


茜とタイガーが叫ぶ。 ハーピーは気絶した魔理の両肩を、両足の爪で捕まえた。

≪ 魔鈴めぐみ!! ちょうどいい人質が入ったじゃん!
  こいつを、いやそこにいる人間全員殺されたくなければ、黙ってあたいら魔族に協力するじゃん!! ≫
「 ・・・・・・。 」
≪ ぐずぐずしてると、スカベリンジャーのエサになるじゃん!!
  あたいはこれでも手加減してやってるんだ! ≫
「 くっ・・・わかったから一文字さんを放しなさい! 」
≪ ダメじゃん、あんたがちゃんとあたいらに協力する気になるまで、この人間は帰さないじゃん!
  殺されたくなかったら、大人しくあたいについてこい!! ≫

スカベリンジャーの群れはすぐそこまで来ていた。

「 わかったわ! あなたの言う通りにするから 今すぐあのコ達を止めて! 」
にっ・・・
≪  ピピピ――ピピ―――ッ  ≫

スカベリンジャーの群れは、ハーピーの口笛によりタイガー達の手前で山のほうへと戻っていった。

ばさっばさっばさっ
≪ それじゃああたいに付いて来るじゃん! ≫

ハーピーは魔理を連れたまま、飛び去っていった。

「 魔理サ―――ン!! 」
「 タイガー君、私に任せて。 彼女は必ず連れて帰るから。 」

黒い三角帽子をかぶり直し、魔理の落とした自分のホウキを拾う魔鈴。

「 スマンです魔鈴サン、ワシらのために・・・! 」
「 いいのよ、もとはといえば私のせいなんだし。
  それに大事な所員を人質にとられちゃってこちらのほうこそごめんなさい。
  必ず連れて帰るから、それまで大人しく待っててね。 」

魔鈴は真剣な顔つきで言う。

「 あたいにもホーキを貸してくれ!! あんたばっかりに危ない目に合わせられねえ!! 」
「 ダメよ茜さん、この世界はあなたが思ってる以上に危険な所なの。
  それに私の箒は、そう簡単には乗れないものよ。 」
「 え? でもさっき魔理の奴が乗ってたけど? 」
にこっ
「 それじゃあ行ってくるわね!
         <びゅんっ>
            ――――――家の事はうちの猫に聞いてねー!! 」


魔鈴は微笑むとホウキに乗り、ハーピーの後を追いかけていった。
残されたタイガー達はしばし呆然としていた。


「 ・・・なあ所長、あたいらも追いかけなくていいのかよ。
  あいつら無事に帰ってくる保障なんてどこにもないんだぜ! 」
「 じゃがここは異世界。
  ハーピーがどこにいったかわからんし、空を飛べんワシらじゃあ到底追いつけん。 」
「 待つしかねえのか・・・。 」





◆   ◆   ◆






■異界の空■

ばさっばさっばさっ
ハーピーは2時間以上飛び続けていた。
キィ――――ン
魔鈴も箒(ホウキ)に乗って、その後を追っている。

「 ・・・・・・・・・んあ? 」

ハーピーの足の爪で、両肩をつかまれていた魔理が目を覚ました。

≪ お目覚めかい、人間。 ≫
びくっ!
「 ハーピー!! うわっ! なんだここは!? 空の上!? 」

魔理は辺りの様子を見回すと、はるか下方に広がる地上には一面森で覆われていた。
後ろから魔鈴が近づく。

キィ――――ン
「 気がついたの、一文字さん!! 」
「 魔鈴さん!? 」

≪ フッ、お前は人質じゃん! お前をエサに魔鈴をあたいらのボスに会わせるじゃん! ≫

「 ・・・・・・人質? 」

≪ そうとも、人質じゃん! ≫

「 ・・・・・・・・・・・・おまえバカか? 」

≪ なっ!? ≫

がしっ!
魔理はハーピーの片足を左手で掴んだ!


≪ な、何をする!? ≫ 「 こうするのさ!! 」 <ガンッ>


魔理は右手でハーピーのスネをおもいっきり殴った!


!!!!!
≪ イッ・・・・・タア――――――――――――!!!!! (涙) ≫


ハーピーはあまりの痛さに、両足で掴んでいた魔理の肩を放した!


「 ははは バーカ! 所詮は鳥の頭だってことだな!! 」 ≪ てめーぶっ殺す!!(泣怒) ≫


ひゅう―――っ 
アッカンベーしながら地上の森に落ちてく魔理。
キィ――――ン  がしっ!
そこに魔鈴がハイスピードでホウキを飛ばし、魔理を捕まえる!


「 サンキュー、魔鈴さん! 」 「 このまま森に入って姿を隠すわ! しっかりつかまってて!! 」


≪ オノレ人間め! よくもあたいに一撃を・・・・・・許さん、許さんぞ!! ≫


・・・涙目のハーピーだった。





■名も無き森■

ずざざざざっ
魔鈴はその勢いのまま森の中へ入り、上空からは見えない大きな木の下に身を隠した。

「 はあっはあっはあっ・・・・・・しばらくここで休みましょう。
  今の私では“瞬間移動(テレポート)”を使う魔力は残ってないから・・・・くっ! 」

魔鈴は腹部をおさえた。

「 ど、どうしたんだよ魔鈴さん!? 」
「 ハーピーと戦った時に受けた羽根のダメージが・・・ 」
「 お、おい、黒服であんまり目立たねーが、血がにじんでるんじゃないのか! ちょっと服脱げよ! 」

魔鈴はレザービスチェをはずし、黒衣を脱いで下着姿になる。 
魔鈴は脇腹を中心に怪我を負っていたが出血はすでに止まりかけていた。

「 水樹よりひでえじゃねーか! どこかに水はねえのか!? 」
「 この“魔法のローブ”と“ビスチェ”は霊的防御力は高いんだけど、
  ハーピーの羽根攻撃のほうが強くて、直接内部にダメージが伝わったんだわ。 」

魔理は魔鈴にヒーリングを行った。

「 ヒーリングはあんまり得意じゃないけど、せめて止血ぐらい・・・
  あーもう、ヒーリングの授業もっと真面目に受けときゃよかった!
  すまねえ、私が余計なことして奴に捕まったばっかりに! 」
「 私のほうこそ・・・私のせいであなたたちまで巻き込んでしまって・・・。 」
はっ
「 そういや、タイガー達は!? 」
「 大丈夫、私の家で待ってるはずよ。 」
「 そっかー・・・それにしてもここ どこなんだ? 」

魔理は辺りを見回すと、人間界ではあまり見られない、奇妙な木々がうっそうと茂っていた。
更に奇妙な鳥や生物の鳴き声が、時折聞こえてくる。

「 名も無き異界の森よ。 ここにはよく魔法の調合薬なんかを探しに来てるけど、
  特に危険な妖魔は住んでないから、下手に刺激しなければ大丈夫のはずよ。
  ・・・ただ、あんまり長い時間は隠れていられないでしょうね。 」
「 えっ? 」
「 ハーピーがここで私たちを探して、いないと思ったらまた私の家に向かうでしょう。
  そしたら今度はタイガー君達が危ないわ。
  あのハーピーは人面鳥族の中でもかなり強いほうよ。
  しかもあのエリアであれだけのスカベリンジャーを操られたら、タイガー君達に勝ち目は無いわ。 」
「 ど、どうすりゃいいんだ? 」

そして魔鈴は一つの決断を下した。

「 ・・・・・・私、ハーピーと一緒に行くわ。 」





◆   ◆   ◆





■魔鈴の家■

その頃、水樹の治療を行っていたタイガー達は―――

「 傷はそれほど深くないけど、とりあえず医者に見せてやったほうがええやろーなー。 」
「 そうジャノ、それじゃあ病院へ―――――― 」

とそこで、タイガー達はあることに気づく。 しばらく4人が沈黙した後、ケガを負ってた水樹が発言する。


「 ・・・ひょっとして私たち、魔鈴さんが戻るまでこの世界から出られないの? 」


「「「 ・・・・・・・・・・・・・・ 」」」


窓の外、付近の枯れ木の枝にとまっている、スカベリンジャー達が羽ばたいた―――





―――後編に続く

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