ザ・グレート・展開予測ショー

とら2nd! 4) 襲来 (前編)


投稿者名:ヴァージニア
投稿日時:(03/ 8/30)


[ 4月22日火曜日 ]

タイガー除霊事務所のタイガー・魔理・水樹・洋子・茜の5人は、魔鈴の店にやってきた。
そして魔鈴は、タイガー達を中央に集める。

「 じゃ、行きますよー。 」<パチッ>

グュンッ



■異界 魔鈴の家■

魔鈴が指を鳴らすと、一瞬で異世界にある魔鈴の家に到着した。
レンガ建ての家に数々の骨董品や、いかにも魔女が使いそうな実験用具がずらりと並んでいる。

「 す・・・すごいインテリアのおうちですね・・・。 」
「 拷問器具に死神の肖像画、よくわかんない生物のホルマリン漬けがずらりと・・・さすが魔女の家やな。 」
「 おい、外見ろ外! 空の色がなんか変だぞ!! 」
「 本当にここ、“異界”なんだな。 」

ここにはじめて訪れる水樹、洋子、茜、魔理は、興味深そうに周りを見回していた。

ガッガッガガッ
≪  ギョワワーッ!!!  ≫
「 い、痛い!! だからわっしの頭を喰うのはやめてクレ―――!! 」

「 あ! あたいが召喚したスカベリンジャーだ!! 」
「 まあ・・・♪ めったに人に馴れない【小鳥さん】が、タイガークンを気に入ったみたい!
  横島クンに続いて2人目ね! 」
「 気に入ったって・・・それは美味そうだっていう意味か?(汗) 」

と、魔理。



◆   ◆   ◆



魔鈴はタイガー達を居間へと案内し、異界のハーブを使用した紅茶とお茶菓子をタイガー達にさしだした。
体長50センチ近い漆黒の魔鳥 スカベリンジャーは、茜の肩の上に乗っている。


「 あ、あかねサン、ちゃんとそいつを捕まえておいてツカーサイ。 」
「 大丈夫だって。 こいつあたいの言うことは聞くからよ。 なー小鳥。 」
ばさばさっ
≪  ギェギェ――ッ!!  ≫

翼を羽ばたかして返事をするスカベリンジャー。
そして水樹が魔鈴に聞いた。

「 あのーここって“魔界”なんですか? 」
「 う〜ん正確には違うけど、一応魔界と呼ばれる世界とはつながってますよ。
  でもここは魔界から離れてるし、この辺りまで魔族が足を延ばすことなんて滅多にないわ。
  それでもたまに妖怪や魔獣が侵入することがあるけど、
  スカベリンジャー達が事前に教えてくれるから、それほど危険なとこでもないわ。 」

「 でもすごいよなー異界と行き来できる人間なんて、そうざらにはいないし。 」
「 ホント、魔法が使えちゃうなんて羨ましいですねー! 」

魔理と水樹が羨ましがると、魔鈴は神妙な顔つきになった。

「 ・・・・・・確かに横島クンの“”文珠とか、美神さんの“時間移動”ほどじゃないけど、
  “魔法”はわりと貴重な能力でしょうね。
  その力の使い方次第で、かなり危険な代物になっちゃうから。
  それ故に神族や魔族、時の権力者から狙われることも少なくないのよ。 」

「 てことは、魔鈴サンも狙われたことがあるんカイノー。 」
「 神族からのお誘いはないけど、
  魔族からのスカウトは何度かありましたよ。 もちろんお断りしてますけどね。 」

すると洋子が―――

「 魔族の誘いを断って危なくないん? 」
「 実は先週もお誘いがありましたけど、丁重にお断りしましたわ。 」
《 ・・・力づくで追い返してたニャ。 》

にこやかに答える魔鈴に対し、いままで黙って床で寝ていた魔鈴の使い魔である黒猫が言った。

「 こら、人聞きの悪いこと言わないの!
  相手の魔族が聞き分けのない子だったから、ちょっと魔法で脅かしてやっただけじゃない。 」
「 なあ、やっぱり“魔族”って危険な奴らなのか? 」
「 そういえば、あかねサンはまだ魔族と会ったことがなかったんカイノー。 」
「 タイガーさんはあるんでしょ? 」

水樹がタイガーにたずねる。

「 ああ、エミさんの所におった時はレベルの高い依頼ばかり引き受けてたからノー、
  必然的に妖怪や悪魔、時には魔族と戦った時もあった。
  じゃが、ワシ一人で倒せたことはないケン、基本的に悪霊とはレベルが違うしノー。 」
「 ふーん・・・・・・。 」

茜は小鳥の頭をさすりながらなんとなく納得した。

「 なあ、魔法って誰にでも使えるものなのか? 」
「 いいえ一文字さん。 まず“魔力”を持ってない人は使えないわ。 」
「 “魔力”? “霊力”とどう違うの? 」
「 うーん、基本的に魔力は魔族の力のことを指すんだけど、この場合ちょっと違うのよね。
  結局は特別な力ってことだけど――<ハッ!> 」

ばさばさばさっ
≪  ギェギェギェギェ――ッ!!  ≫ 
「 ど、どうした小鳥!? 」

魔鈴が突然立ち上がり 何かに気づくと、スカベリンジャーが急に騒ぎだした。 
その様子を見て、タイガーや洋子も何かに気づく。

「 ハッ! この妖気は!! 」 「 外に何かいる!! 」

魔鈴は黒い三角帽子を手にした。

「 ・・・どうやら魔族が来たようね。 あなたたちはここにいて。 」
「 魔鈴サン! 」
にこっ
「 大丈夫。 すぐに終わらしますから! 」



魔鈴は笑顔でこたえた後、ホウキを持って外に出た。
タイガー達は窓から外の様子を見ると、沼地の上空に、人型の女性系妖怪が翼をゆったりと羽ばたかせ、空に浮いていた。
茶褐色の翼と茶褐色の髪の毛をしたその妖怪は、後ろ髪の一部が尻尾のように長くのばしている。


ばさっばさっばさっ

≪ 出てこい 魔鈴めぐみ! この前はよくも部下をやってくれたな!
  これが最後通告じゃん! その魔法の力を我々魔族のために役立てるじゃん! ≫

「 何度も言わせないで! 私は魔族の誘いには乗らないわ、パーピー!! 」

ハーピーと呼ばれたその妖怪を目にしたタイガー達は―――

「 人面鳥ハーピー!? 」
「 あの魔物って確か、美神さんが倒したんじゃなかったのか? 」

水樹は驚き、おキヌからハーピーのことを聞いたことのある魔理がタイガーにたずねた。

「 別にハーピーが1羽とは限らんじゃろ、魔界にはそれこそハーピーの里があるかもしれん。
  まあなんらかの処置により、復活した可能性もあるしノー。 」


ばさっばさっばさっ
≪ なるべく自分の意思で連れてくるようにとの命令だけど仕方ない・・・
  このハーピーの瑠羽(ルウ)様が力づくであんたを連れていくじゃん!! ≫

そう言うとハーピーは猛スピードで急降下し、足の爪で魔鈴を攻撃をする! 魔鈴はかろうじて足の爪をかわした!

「 くっ・・・言ってもわからないようね! 」

ビュンッ
魔鈴は箒に乗り、ハーピーに向かって霊波攻撃を行う! だがハーピーも魔鈴の攻撃をかわす!


≪ 空中戦であたいに勝てると思ってるのかー!! ≫


魔鈴は霊波を放ち、ハーピーは爪や羽で攻撃をし、お互い高速で飛び回りながら空中で激しい戦いを繰り広げていた。
だがスピードはハーピーのほうが幾分早く、魔鈴は苦戦しているように見えた。


「 すげえ・・・だけど魔鈴さん、おされてんじゃねーのか? 」
「 ああ、ハーピーのほうが早いし強い! 」

茜の問いに洋子が答える。

「 やばいんじゃないのか!?
  あの魔物って確か、美神さんとお母さんの美智恵さんが2人ががりで倒したんだろ!? 」
「 しかもあのハーピーはかなり強そうジャ! いくら魔鈴サンでも1対1じゃあ分が悪い! 」
「 いこうぜ! あたいらも加勢しよう!! 」

茜の言葉に、全員がうなづいた。


ビュッ
≪ 羽根の弾丸(フェザー・ブレッド)!!!!! ≫ 「 !! 」

ドガアッ!
「「「 キャアッ!!『 しまった!! 』 」」」


パーピーの放った羽根が、魔鈴の身に着けているレザービスチェを直撃する!
その衝撃で魔鈴は箒から手を放し、十数メートルの上空から地面に落とされるが―――

がしっ!

―――そこにタイガーがとびこみ、地上に落ちてきた魔鈴を受け止める!


≪ なに!? 他にも人間が!? ≫

「 魔鈴サン大丈夫か!? 」
「 ええ、なんとか・・・。 」

そして上空にいるハーピーの前に、魔理、洋子、水樹、茜が立ちふさがり、魔理が叫ぶ!

「 よくも魔鈴さんを! 降りてきて勝負しやがれ!! 」

≪ フッ! 降りてこいだと? 何でわざわざ人間の言うことを聞く必要があるんだ?
  だけど勝負ならしてやるじゃん! これでもくらえ!! ≫ 

バッ!

ハーピーが羽根を投げようとした時、とっさに水樹はハーピーとの間に結界をはろうとする! すると魔鈴が―――



「 神の結界(かみのけっかい)!!!! 

        「 いけない!! みんなよけて―――

               ―――羽根の弾丸(フェザー・ブレッド)!!!! ≫



異界の空に、聖なる防御結界を張る水樹と、魔鈴の叫ぶ声、そして羽根を投げるハーピーの声がほとんど同時に響き渡る!


ズガアッ!!


そして高速で放たれた羽根は、水樹の張った結界に一瞬衝突したかと思いきや 結界を貫き、
白いロングスカートをはいていた水樹のスカートをかすめた!


「 きゃっ!!!!! 」


水樹はスカートの上から左足を押さえながらしゃがみこむと、白いスカートがみるみる赤く染まりだす。


「「「「  水樹(サン)!!!!  」」」」


魔理たちが一斉に叫ぶ。
洋子はすばやく水樹のスカートを太ももまでまくり、スネの辺りから血が流れているのを見ると、すかさずヒーリングを行った。
水樹目に涙を浮かべている。

「 ・・・いつったぁ〜〜!!! 」
「 大丈夫! 骨にはいっとらん! 」
「 私も手伝う! 」

魔理も水樹にヒーリングを行った。

「 どういうことジャ!? 水樹サンの結界がいとも簡単に――― 」
「 ここは異界よ。 人間界のように、聖と魔の力がバランスよく繋がってるわけじゃない。
  この世界では魔界からの力の影響が大きいのよ。
  だから魔族のハーピーの力は増し、神野さんの扱う聖の力は、ここでは半分以下に落ちるのよ。 」
「 そんな・・・! 」

魔鈴の答えにタイガーの顔が青くなる。

キッ
「 ・・・てめえよくも水樹さんを! 」

茜はハーピーを睨み、獣の笛を手にした!


〈  鳥よ!! 鳥よ!!  〉


ピュルルルルルルルルルルルッ





―――中編に続く

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