ザ・グレート・展開予測ショー

雪は白く冷たい・・・虹色で温かい


投稿者名:えび団子
投稿日時:(03/ 8/28)

町に降り立つ白い奇跡。雪が空から舞い降りるクリスマス・イヴ♪
どんな人だってこの日は幸せでありたい、そう願ってもいい程だ。
言わずとしてこの日に金儲けを考える輩も居て満喫できない仲間もいる。
はた迷惑な話だがこれがこの事務所である♪この話しは思いっきり季節外れで
思いっきりな奇跡のお話です・・・。ではでは・・・
             〜〜〜〜ONIY〜〜〜〜  






そ〜とっ・・・

そ〜とね・・・?





ここは美神除霊事務所。美神さんは当然、いつもの場所で椅子に座り依頼書との睨めっこを始めていた。タマモはソファーで雑誌に読みふけっている。問題はシロだが現在屋根裏部屋で昼寝中・・・。





「よしっ、今だ・・・!!」





ひっそりと自分に囁き一気に目的のドアに手を掛ける。が、その時!

「何してるの横島君!?」

あまりの驚きで一瞬、心臓が止まった。冷や汗が噴出す。
今日の美神さんの機嫌はやけに悪い。ちょっとしたことで半殺しにされかねない。
そう、ここは穏便に且つ悟られぬ様に・・・。

「い、いやあ〜、給料日までもちそうにないんで・・・ま、前借を・・・」

言葉が詰まる。ゆっくりと掴んでいたドアノブから手を離す。

「何言ってんの!?昨日あげたばっかりじゃないの!!」

     ――――――――そうだった、忘れてた・・・――――――――

「あっ、そうでした。あはははは・・・」

『ふぅ』と言った表情で又書類に目を移す美神さん。左肘を机に押し当て手を顎に被せ険しい表情に入る。

「よしっ・・・今度こそっ・・・!!」

再度挑戦を試みる横島。今度はドアノブが回るとこまで回った。後はドアを引けば・・・。興奮で胸が高鳴る・・・♪

        〜〜〜〜〜〜〜〜がちゃ・・・〜〜〜〜〜〜〜〜

「ヨコシマっ?」

タマモがさっきの美神さんとの会話で気付いたのか横島に話しかけてきた。
雑誌を片手に疑り深い目で『ぎっ』と凝視する。

「来てたの?全然気付かなかった・・・」

クールな態度と口調が一層怖さを惹き立てる。周りの空気が何故に揺らいでいる?
もしや・・・

「タ、タマモ・・・!?」

「あんた、何しようとしてるの?」

狐火をちらつかせ横島を威嚇する。さすがの横島もこれにはどうしようもなく。

「か、堪忍やあ〜!あの油揚げを食べたのはほんの出来心なんだああああっ!!」

ここからは説明するまでもなく怒りの鉄槌をうけたのは至極当然のことで。
丸焦げになった姿が痛々しい。仕方がなかった・・・こうでもしてタマモの気をあらぬ方向に誘導させなければいけない。それだけの理由があった。

「くううっ・・・酷い目にあった・・・」

第一関門のドアを見事に通り抜けた横島は抜き足差し足で廊下を進む。
とうとう最後の部屋の前に来た。深呼吸を十分に済まし、ノックをする。
トントン・・・二回。・・・。トントン・・・。四回。
彼女は出ない。留守かな?急いで手当たり次第探したがどこにも居ない。

「あれっ?どこにいったんだ・・・」

キッチンで立ちすくんでいると後ろからシロが。

「どうしたんでござるか先生?」

寝起きですって顔してシロが俺に尋ねてきた。シロになら言っても大丈夫かもしれないな。

「あのさ・・・ボソボソ・・・ボソボソ・・・。」

シロはうんうんと頭を上下に揺らして聞き、答えた。

「えっと確か・・・『くりすます・・・』何とかって言うのをするから何とかで買い物に行ってるでござるよ♪」

内のメンバーにクリスマスに興味の無い者、知らない者。全員じゃないか?
一人を除いては。

「先生っ・・・どっかに行くのでござるか?拙者もいっしょ・・・に」

特大の肉をうんと遠くに投げ飛ばした。後をもの凄いスピードで追いかけた人がいたのも言うまでもない。横島の心には、『くれぐれも拾い食い』するなよ?!










「ありがとうございます♪助かりました。」

両手いっぱいに買い物袋を持つ横島がそこにあった。道は混んでて通るのにも困難な状態だった。しかし、この雰囲気が好きだったりする。人の生命の息吹、喜怒哀楽が混じりあったビル前。子どもへのプレゼントを買って帰るお父さん。恋人同士が喧嘩しているけど最後は仲直りしてる二人。家族が夜遅くまで帰ってこなくて一人でぼ〜っとしてる子にサンタさんの着ぐるみ被ったお兄ちゃんが優しくプレゼントを渡し涙が一筋落ちる子。浮かれまくっている小学生。色んな想いが交差する。

「いやいや・・・これぐらい。」

腕の筋肉が、普段使ってないぶん余計に軋む。ここらで気付いたらしく優しい彼女はちょっと休みますか?と公園のベンチに並んで座った。

「すいませんっ・・・私が買いすぎちゃったばっかりに・・・!!」

「大丈夫だってっ!気にすることないよ!!」

虚勢を。精一杯の虚勢を。暫しの沈黙の後、彼女がこう切り出した。

「あの・・・前のクリスマスのこと、覚えてます?」

覚えていた。もちろんである。

「うん。」

「あの時、横島さんがくれた洋服。とっても嬉しかったです♪」

彼女が少し赤くなった。俺だって同じで・・・

「あ・・・のさ?」

「何ですか?」

振り向く彼女に『どきっ』としてしまう自分。

「これ・・・」

ポケットから取り出した一つの箱。

「わっ・・・私に・・・ですか?!////」

もう言葉はいらなかった。外の風景は少しずつ明るさを下げ、街灯の光が美しく芸術的に輝いていた。

「うん、いつも苦労かけてるしね・・・はは。」

      ――――――――俺らしくないな・・・――――――――

「ありがとうございます♪」

凄い嬉しそうにしている彼女が可愛かった。

「開けてみて・・・」

声が震えている俺。ガサガサと丁寧に包装紙を外し箱を開けた彼女。

「わぁ・・・綺麗なネックレス・・・♪」

雪が舞い降りた。公園のベンチを照らす明かりに反射しキラキラしていた。
様々な色が・・・虹みたいに。白いのに、冷たいのに・・・。
その雪は虹色で温かかった。〜〜〜〜ONLY〜〜〜〜

「気に入ってくれた?」

「はい♪本当に嬉しいです♪」

早速付けて見せてくれた。ネックレスは中心につく星型のデザインの結晶で、
彼女のイメージにピッタリと自分では思っていた。まあ、何でも似合うけど♪

「私も実は・・・////」

「帰ってから・・・だろ?♪」

事務所に行くのがこんなに楽しみだったことはかつてない。
皆に見つかったらどうなることやら・・・。
一体何くれるんだろう?けど彼女がくれるものなら何でもいい。
本当いつもありがとうな、おキヌちゃん♪










             チャンチャン、おしまい♪

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa