ザ・グレート・展開予測ショー

木漏れ日

投稿者名：トンプソン
投稿日時：(03/ 8/26)

ちゃんっちゃちゃら〜♪（BGM）
今回はオマージュなので苦手なかたは回れ左をお願いします。


諦めないといけないことがあよねぇ。
それは、誰が悪いわけじゃないだろうけど。。
だって、人のこころだけはどうしようもないじゃないの！








まだ日も高い午後。
アン・ヘルシングは、ぼんやりと公園のジャングルジムに絡まっていた。
きん、と少しばかり鋼鉄音をたててジャングルジム内に響く。

「あーあ…」
彼女には似合わない、なにやら胸のなかにたまったものを吐き出すような、声。
そこに淀んだものは見えないが、少しばかり呆れが見える。

近くに大きな木があり、日差しを少し軽減してくれる吹き抜ける風は心地よい
こんな日は外にいるは当然であるのだが、それに合ったアンのその表情は冴えない。


目の前の道路を進む原付をなんとはなしに、見ていると、一際古びた自転車が公園の前で止まる。

それは、こんな公園にはぴったりの、花に蝶といった自転車である。

「あーれ？」
が、アンにはこの自転車には見覚えがあったらしく意外の念がこもった声で自転車から降りた男を見る。

「唐巣神父？どうしたんですか？」

自転車から降りてきたのはおじさんである。
１70はあるだろう長身で、年齢の割にはおじさん臭くなく、きっちりと身の絞まった体格がであり、均整がとれているといったほうがいいだろう。
たわわな、とは云いがたいが手入れの行き届いた黒髪はちゃんと借り上げてある。
普通たわわでない頭部というのは、男としてはあまり好い物ではないが、このおじさんの場合むしろその容姿をひきたてていると言ってもいい。
そしてその容姿のほうと言えば、すこしばかり日本人離れした彫りの深い顔立ちであり、そのバランスは整っている。
きているものはこのクソ熱い日に黒いコート風である。

「いやエミくんのところに行こうと思ってたからね」
とおじさん事、唐巣神父。
ついでにエミのところまで一緒に行こうということである。
ぽりぽりと、頭をかきつつ言う姿は、この年頃のおじさんには失礼かもしれないが─
ひどく可愛らしい。

「ありがとうございます」
くすくすと笑いのアン

「でも最近あいつの事務所に行くこと多いですよね？」
滅多にくることなかったのに？と首を傾げエミ
そりゃそうだろう。
いままで唐巣とエミは小竜姫門下という以外はあまり接点がなかったのだからだ。
なのに何故？

そうアンが言外で問うと、唐巣は口元にすこしばかり苦い笑みを刻み

「そろそろ私も認めてあげないと、ね。」

といった。


「─あ、ごめんなさい」
はっと目をあけたアン。
自分の迂闊さにしたうちしたい気分になる。
自分だって同じことを考えていたくせに。

「いいよ。寧ろそう聞いてもらったほうがいいさ」
唐巣は苦い笑みを貼り付けたまま云う。



つい、一週間前、なんだかんだでエミとピートが付き合い始めた。
元々にくからず？思っていた二人だ。
それはごくごく自然ななりゆきだろう。

まあ付き合うといっても、いままでの関係とどう違うのか？と聞かれたら何時間でも文句を垂れることなのだが。
それでも、『それ』を感じる瞬間はあって。


お似合いの二人だと、そうこころから思うし、ふたりがシアワセになってくれればいいなあと思うけど。


それでもすこしだけ
ほんの、すこしだけ、苦しいのだ。

まるでもうふさがった傷口の下にトゲを置忘れみたいに。
そしてそんな自分がいやなのだ。

心から喜べない、自分が。



多分きっと唐巣も同じなのだろう。（いやある意味全然違うだろうが）


「・・、まったく、もぅ」

「ぇえ？」
突然の言葉に唐巣を見ると、西条はにやっと
まるで悪戯小僧のように唇を歪ませ笑っていた。

「こんな可愛い子を諦めるなんて、ピート君もまったく、ですねぇ」
言葉は悪いが口調は驚くほど柔らかい。

「そうですね…」


お互いに思い人には、はっきりとした意思表示をしていない。
おきぬは、思いを告げるにはピートには酷い仕打ちをしてきたし、唐巣神父も反対する理由はなかったのだ。


だけど、思いをつげてないからと言ってその思いが軽かったというわけではない。


「本当に…そうなのにぃ」



ゆったりと笑いアン・ヘルシング



「元気でたかい？」
ぽんっと頭をなで唐巣。
子供にするような仕草だがまぁ、私はまだ子供だ。

「…うん。」



「さーってと彼女のトコにいってピートくんでもいじめようかっ」

「ほどほどに、してくださいね」

「何いってるんですか？神父はいつでも全力投球なのです」

「そうなんですか？」

「いーや今私ががそう決めました」





だけど、諦めたからって
そこで何が終わるわけでも
ないんだよ。


だけど、諦めたからって
そこで何が終わるわけでも
ないんだよ。



おわり

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