ザ・グレート・展開予測ショー

ジャッジメント・デイ 2


投稿者名:たつる
投稿日時:(03/ 8/26)

「美神さんっ!!」

 おキヌが美神に抱きつく。

「よかった……!! 横島さんがうまくやったんですねっ!?」
「おキヌちゃん……ごめん、心配かけたわね」

 再会を喜ぶ二人。
 ギャラリーのハニワが「ぽ?」とか言ってるのがちょっと邪魔くさい。

「そうだ横島クンっ!! ……ルシオラと一緒にすぐあとから来るはずなんだけど―」

― ギュバッ!! ―

 そこまで言ったところで、タマゴから急激に力の奔流が溢れ出る。

「ガッ!!」

 そして呻き声とともに横島がタマゴより弾き出されてきた。

― ズザザザザざざざざしゃアっ!! ―

 そのまま地面に接触、滑るように転がり……

「よ、横島クン!?」

 岩に激突して停止。
 ……生きてるだろうか。
 慌てて横島のもとへ駆け寄っていくおキヌ。

「横島さん!! だ、大丈夫ですかっ?」
「らいりょーうらいりょーう、れんれんへーりららら」(大丈夫大丈夫、全然へいきだから)

 ぐるぐる目を回しながら答える横島。
 本当に大丈夫なの?
 とりあえず、命の心配はなさそうなのでおキヌはほっとするが……

「ジャマ者は、これですべて排除した……!」
「……ジャマなのはお互いさまよ!! ケリをつけてやるわ!!」

 こっちの二人は一触即発の危機。
 いや、すでに爆発しているか。

「よ、横島さんっ! しっかりしてくださいっ!」
「えらく威勢がいいが、それは何か根拠があってのこと―っくちゅん!?」
「アンタ……風邪でもひいたの? かわいいくしゃみねー」
「よ・こ・し・ま・さ・んっ!」
「う、五月蝿いっ! これというのもそこのガキが……」
「おまえは……本当はうすうす気づいて恐れていたんでしょ? アシュタロス!!」
「あーん、もうどうすれば……」
「……聞いてやろう」
「……私はあと一歩で無に帰るところだったわ」
「と、とりあえずヒーリングを―」
「ヨコシマっ!? ねぇあなた、私にも何かできることある!?」

 …………

「ルシオラっ!?」

 ぐゎばっ、と起き上がる横島。

「生き返ったのか!?」
「え、えぇ……ヨコシマが、がんばってくれたんでしょ?」
「……あぁ」

 何とも言えないムードが二人の間に漂う。
 でもおキヌはなんだか不満顔。
 ……自分の声じゃ正気に戻ってくれなかったのだから当然と言えば当然か。
 ちなみに、彼らからちょっと離れた場所では
 
「おまえはわがままな子供と同じよ!」
「そもそもの始まりはこの宇宙が腐っていたからだ!!」

 等と熱弁を繰り広げる人達がいるが、
 バカップルは聞いちゃいない。

「良かった……」
「ヨコシマ……また逢えて嬉しいよぉ……」
「……もう、勝手にいなくならないでくれよ?」
「うん……ウソついてごめんね?」

 世界の命運を賭ける戦いの真っ最中に、こんな会話ができる彼らはある意味偉大である。

「あの……そろそろコッチに戻ってきて欲しいんですけど」

 とおキヌ。
 笑顔をつくろうとしているのだろうが、いかんせん口元がひきつっていたりする。
 しかし普通の人なら激怒するところを、この娘は穏便に済ませようとしている。
 おキヌちゃんはえらいのだ。

「そ、そうだった!!」
「ヨコシマ、コスモ・プロセッサはまだ稼動可能なんでしょ? どうするの?」
「あぁそれなら……奥の手を置いてきたから大丈夫だと思うけど……」
「奥の手? 置いてきた?」
「おう」

 そう言うと、横島はニヤリと笑った。
 ……その笑みは決してカッコイイと言えるものでは無かった。
 言うなれば、美神の風呂を覗きにいくときのそれに近い。
 
「これを……防げるとでも言うつもりかっ!?」

そしてアシュタロスの叫びと共に、戦いは熱を増していくのだった。












―閑話―

ある日の休み時間

「あらー? 珍しいじゃない、勉強?」
「愛子か。勉強っつーか、修行だな」
「青春ね〜。でも国語辞典読むのが修行なの?」
「俺の文殊のことは知ってるだろ?」
「うん」
「それを生かすにはやっぱ漢字を多く知ってた方がいーかなー、なんて」
「ふーん……じゃあ私も手伝ったげる」
「手伝うって言ってもなぁ……」
「いいからいいから、あ、この文字なんかどう?」
「『謝』? どんな時に使うんだ?」
「悪霊に謝ってもらいたい時」
「……」
「……」

文殊生成

―ぽいっ―

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ」
「なるほど」
「―って私は悪霊じゃないっ!」
「いだっ!」
「じゃあこれは?」
「くしゃみ?」
「うん」
「……悪霊や魔族に効くのか?」
「知らない。でも覚えておいて損はないんじゃない?」
「……漢字が難しすぎて覚えられねーっス」
「覚えるのっ! こんな難しい文字使ったら、魔族どころか美神さんもびっくりよ!!」

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