ザ・グレート・展開予測ショー

ひのめ奮闘記外伝U(その5)


投稿者名:ユタ
投稿日時:(03/ 8/25)






嘘よ・・・こんなの・・・

蛍は握りつぶした写真を壁に叩きつけるるが勢いが良すぎたせいで跳ね返って再び蛍の足元に転がった。
皺くちゃの写真・・・、蛍はそれを拾い上げると写真を伸ばし再び凝視する。



────似てる・・・



世界には自分に似てる人が3人はいるというがそんな言葉で言い切れるのだろうか・・・。

顔立ちは蛍のほうが幼いが、
触覚をつけ前髪を少しだけいじり、蛍が3、4年経たてば写真とほとんど変わらないかもしれない。

「私がルシオラの・・・・・」

動揺が少しだけ収まり今までの事態を冷静に分析していく。
つまり、父の恋人は・・・・生まれ変わったのは・・・

「そんなこと信じれるわけないじゃない!!」

ポイッ!

もう一度ルシオラの写真を捨てたとき・・・

「あれ?ほた姉ちゃんここで何やってんの?」

「!?・・・・、忠志・・・」

ドアの隙間からひょこっと顔を出したのは黒いランドセルを背負った学校帰りの忠志だった。

「あ、父ちゃんの部屋こんなにチラかしていけないんだ〜!
 ふふ、これをバラされたくなかった来月の小遣いの30%を・・・」

「・・・・・・・・・・」

「あ、あり?」

いつもと違う姉の反応に戸惑う忠志。
蛍は忠志の顔を見ず俯きながら体を震わせている。
そんな蛍に忠志がさすがに心配になったとき・・・


ダッ!


「あいてっ!」

蛍は無言のまま忠志を押しのけて退室する。
そしてそのまま駆け足で玄関へ向かうと乱暴に戸を開け外に出て行ってしまった。

「なんだよ・・・ったく」


ぶつくさと頭をかく忠志がエロ本を発見して魅入るのは4秒後・・・
その光景を令子に見られるのは3分後のことだった・・・















玄関を出た蛍。
しかしその矢先その体に衝撃が走った。

ドンっ

「きゃっ」

「いたっ!」

蛍は誰かにぶつかった衝撃で思わず尻餅つくと、その相手をゆっくり見た。

「・・・・ママ、令花」

「あいたたた、こら!玄関先で何走ってるの、蛍!」

「二人とも大丈夫ぅ?」

蛍と同じく尻餅をついている令子、それを心配そうに見つめる令花。
二人が一緒なのは令子が仕事帰りに帰宅中の令花と会って一緒に車で帰ってきたから。

「ああ、大丈夫大丈夫。ほら、蛍も立てる?」

令子は末娘に心配かけないようにスクっと立ち上がるとそっと長女に手を差し出した。
何気ない・・・当たり前のように差し出される手・・・でも・・・


パシィっ


「!?」

乾いた音。
蛍が令子の手を弾いた音が夕焼けに響いた。
その光景に驚きで表情が固まる令子と令花。

「・・・・・あ・・・・」

蛍は一瞬だけ戸惑った声を出すが顔をしかめると一気に立ち上がりそのまま走り去ってしまう。
そんな娘の後ろ姿にヒリヒリと走る痛みを感じながら呆然と立ち尽くす令子。

「お姉ちゃん・・・どうしたんだろう?」

(・・・・・・・・あの子・・・・泣いてた?)

一瞬だけ見えた娘の表情に少しだけ表情を強張らせながら令子は家に入った。
そこで見たのは・・・









「こらあああぁぁ!!忠志!この部屋は勝手に入るなって言ってあるでしょッ!?」

「うわーーーん!俺じゃないのにーーー!!」

余るほど前科がる息子の襟首を握りながら令子は書室のチラかりざまを見つめる。
古典、呪術本、魔術書からエロ本まで様々なものがチラかっているその部屋で・・・・令子の目が大きく見開いた。

──────極秘文書────アシュタロス事件────

それと開いた金庫を見た瞬間パッと手の力が抜け開放される忠志。
次の瞬間には懐から携帯電話を取り出す令子。

prrrrrrrrr prrrrrrrr ガチャッ


「・・・・・あ!あなたすぐに戻ってきて!・・・・理由は後で話すから!!すぐに!!」









・・・・・・・・・・・私は何なんだろう・・・・



・・・・・・・・・・・私は誰なんだろう・・・・



転生────


前世────


悲恋────



いつも少女漫画の中でよく出てきたパターン。

いつも憧れた、格好いいと思ってた、ドラマチックで・・・・素敵だと思ってた。



────でも・・・何で私は泣いてるの・・・。







「はっはっはっはっ・・・」



────クルシイ────カナシイ────ツライ

いつもはこのくらい走っても全然疲れないのに息なんて切れたことないのに・・・
今日は心臓がうるさい・・・肺が苦しい・・・喉が痛い・・・
どうして・・・どうして・・・?










────私がルシオラの生まれ変わりだから・・・・?



「はぁ・・・はぁ・・・ふざけないでよ・・・」


この苦しさも、悲しさも、辛さも・・・・・誰のモノでもない!ルシオラのモノなんかじゃない!
みんな私のものよ!ルシオラなんて関係ない!

私はルシオラじゃない!蛍・・・横島蛍なんだ!!!














────デモ






パパは私のことをどう思ってるの?


ママは私のことをどう思ってるの?


忠志は?令花は?おばあちゃんは?

今まで会ったパパとママのお友達は?



みんなにとって私はルシオラの代わりなの・・・?



だったら私・・・・横島蛍の存在って何?



この気持ちも・・・・想いも・・・心も・・・・魂も・・・・
全部・・・全部ルシオラがいたからなの・・・・?


分かんない・・・・・・・もう分かんないよ・・・・




誰か・・・・誰か言って・・・・







────────あなたはルシオラじゃない・・・・・・・・・・。────横島蛍だ・・・って











キキキィィィ────────っ!!

ププ────!!
プ────!!

『こらぁ!!あぶねーじゃねぇかぁーーーっ!!!?』
『赤信号だぞぉ!!』


帰宅ラッシュで溢れる東京の街に響くブレーキ音とクラクションそして怒号・・・
その原因は・・・・

「か、母ちゃん!!もっと安全運転で・・・」
「う、うん・・・お兄ちゃんに賛成・・・」

「黙ってなさい!!舌噛むわよっ!!」

息子と娘を一括すると令子がガコガコとシフトレバーとクラッチを器用に操り渋滞している道を乗り越えていく。

「人工幽霊壱号!!ここから『あそこ』に行くにはどの道が近いの!?」

令子が叫ぶとカーステレオから長年聞きなれた声が聞こえる。

『国道、裏道合わせて・・・次の通りを右ですが、今の時間帯ではどこも混んでますよ?
 それに先程からパトカーが後ろを・・・』

「安心しなさい!!全部悪霊の仕業に仕立てるなんて訳ないわ!!」

「サラっと恐ろしいこと言うな────っ!!うわーーん父ちゃん助けてぇぇぇ!!」
「令花・・・死にたくないよぉ・・・ぐすっ」
「人生あきらめるようなこと言うなああ!」
「お兄ちゃん・・・生まれ変わっても令花のお兄ちゃんでいてね・・・」
「だからお前まで怖いこと言うなってえええ!!!」


忠志の絶叫と令花の諦めを乗せながら爆走する令子カーだった。







「すっ・・・・すん・・・」

もう夕陽が沈みかける頃・・・蛍は東京港区にいた。
目は真っ赤に潤み、鼻をすする・・・走り続けたせいでもう足に力が入らない。

(・・・・何やってんだろう私・・・電車まで乗り継いで・・・・・お財布忘れたから帰りのお金もないし・・・)

偶然ポケット入って300円でここまで来た蛍。
家に帰りたくない・・・、家出・・・とまでいかなくても出来るだけ今は家族と距離を開けたかった。
そんな無計画な行動を今さらながら後悔していたとき・・・

「あ・・・・」

目の前の通りを歩いているあるモノが目に入った・・・それは・・・

(東京タワー・・・・・)

夕日に照らされた巨大な鉄塔はそろそろイルミネーションに飾られる頃だろうか。
電灯と夕焼け、そして赤いペンキ・・・まるで血の様に赤いその塔に蛍は何か魅入られるように見つめた。

「・・・・・・・・・夕日・・・東京タワー」

ポツリと呟く蛍・・・











そしてその足は・・・・









────ゆっくりと東京タワーに向かうのだった。





                               外伝U最終話に続く


───────────────────────────────────────────────
あとがき

ほ〜らハぁトフル(挨拶)

全くみんなボクのこと誤解してるよプンプンヽ(`3´)ノ

はい、いきなり危ない人のユタです、皆さん元気ですか?♪
本当にこの作品収拾つくんでしょうか?結局作者の自己満足になってしまうようで不安な日々です (ノД`)
ってか次回で最終話です!今回も矛盾した設定がいっぱいだった気もしますが・・・
ここまでやって来れたのも皆さんのおかげです(ホロリ)
では最終話も矛盾いっぱいでしょうがお付き合いの程よろしくお願いしますm(__)m




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