ザ・グレート・展開予測ショー

永遠と青空


投稿者名:えび団子
投稿日時:(03/ 8/25)


とんとんとん・・・

トントントン・・・





台所にメロディを刻むように打ち出される音。正体はどうやら・・・野菜。
人参、ジャガイモ、玉ネギ。一体、何を作る気なんだか?


「・・・っ!!」


玉ネギを切った時に瞳に涙がうっすらと滲んだ。袖で拭った。
後から後から涙が・・・止まらない。真っ赤な瞳だ。





すっ、すっ、すっ・・・

スッ、スッ、スッ・・・





次はお肉だ。まさにこれこそメイン!!なかなか切れないところもあった。
筋なんか特に。力の入れ具合が絶妙じゃないと綺麗にはならない。






ぐつぐつぐつ・・・

グツグツグツ・・・






味付けを加えて煮込む。すぅ〜っと家中に薫りが染みとおる。
おいしそうな匂いだなあ・・・。引き寄せられそう・・・。





「・・・できました♪」

「できました♪」

全くそっくりのお二人さんが声を揃えて言った。察するところ料理は『肉じゃが』らしい。まだ彼は帰ってこないが出来上がってしまった。

「待ってよっか・・・?」

「うん・・・♪」











     〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜PM9時・帰宅・〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





「ただいま〜、全くコキ使ってくれるよなあ・・・」

全身ボロボロで精も根も尽きた感じが一目瞭然である。

「が、まだ新婚ほやほや・・・♪そんな疲れ吹っ飛ぶわい・・・」

全力疾走で居間に駆け込む横島。靴はバラバラ、ネクタイ解き掛けのだらしない格好で。

「今帰ったよおーーーー!!今日は早速・・・♪」





        ――――――――んっ・・・!?――――――――





例の匂いに気付いたのか動きが『ピタッ』と止まる。
そう思うと足が勝手に台所に・・・。





「あっ・・・おかえりなさい♪もうそろそろ帰って来ると思って・・・」





冷めた料理を温めている彼女の姿があった。エプロン姿がこれ程までに似合ってる女性は彼女以外いないだろう。暫くすると『カチッ』と音をさすと温まった肉じゃがを底の深いお皿に。一通り夕ご飯の用意をすると・・・。





「・・・で、もう寝ちゃったの?」

横島が彼女に優しく問う。

「・・・はい。頑張ってたけど・・・♪」

にこっと汚れなき瞳で、笑顔で。そう答えた。

「俺に似なくてよかった・・・。」

しんみりと横島は呟く。

「どうしてですか?!横島さっ・・・忠夫さんに似てたほうが・・・」

彼女が本気で答える。

「女の子だよっ?俺なんかに似てたら・・・どうなることか」

「う〜ん・・・それはそうですけど・・・」

「んっ?!あの・・・そこで肯定しないでええええ!!」

幸せの一時。これが永遠になったら・・・

「でも・・・本当、そっくりだね。見た目も性格も・・・♪」

「・・・♪♪////」

幸せ過ぎて怖い。不安になる。しかしそれ以上に嬉しくて、安心する。
二人の意見だ。

「・・・おいしいね♪」

おかわりを出しながら言う。

「はいっ・・・♪」

青い。青い空は夜になっても世界のどっかで顔を出している。
青い。青い空はいつでも必ず雲の上にある。そう・・・永遠に。

「ねえ・・・?」

「何ですか?」

間が数秒空き・・・。

「もう一人・・・家族が増えてもいい!?」





     ――――――――えっ・・・?!////――――――――





「どうせならさっ・・・多い方がいいじゃん!賑やかだし!!」

両手をパーっと広げる横島。

「・・・・・・・・」

沈黙ぅ〜。

「あっ、ごめんっ!!えっ・・・と変なこと言っちゃって・・・。」

土下座する横島。彼女はずっと黙っている・・・むしろ考え込んでいる?
どっちかな??

「・・・・・・・・あの、私は構いませんよ♪」

「うおっしゃあああああ〜〜〜〜!!!!」

こうして次の年に元気な男の子が生まれたそうな・・・。





















      ――――――――ジリリリリリッ・・・――――――――

目覚まし時計が勢いよく響いた。彼女は手を伸ばしそれを消し。
ほんの少し考えて・・・。

「あれっ・・・夢?」

にしても布団が狭い。

「ですよね・・・私なんか・・・」

現実と夢の狭間・・・。





















「もう、起きたの?おキヌちゃん・・・」

隣には・・・彼が。

「あ、あれっ・・・?!」

夢と現実が交錯する。

「昨日、結婚したばかりじゃないか?驚くことないだろう〜・・・?!」

思い出す。

あっ・・・そうだった。

「えへへ、昨日のことがあんまりにも夢みたいで・・・♪」

苦笑する彼女。

「可愛いっ♪」

朝の陽射しがカーテンを突き抜け本当に綺麗だった。
空の上には・・・空の上には・・・永遠に続く、青空。










             

             チャンチャン、おしまい♪
                     

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