ザ・グレート・展開予測ショー

とら2nd! 3) 魔鳥召喚!(後編)


投稿者名:ヴァージニア
投稿日時:(03/ 8/24)


茜はたった1人で悪霊に立ち向かっていた。 タイガー・魔理・洋子・水樹・仙香は見守っている―――


〈  鳥よ!! 鳥よ!!  〉


ピュルルルルルルルルルルルッ


茜が笛を吹くと、彼女の目の前に50センチ程度の黒い球体状の歪みができ、そこから黒い物体が飛びだした!

ばさばさばさばさっ
≪≪  ギェギェギェギェ―――ッ!!!  ≫≫
バシュンッ
≪≪ グオオオッ!! オノレヨクモ・・・!!  ≫≫

体長50センチぐらいの黒い鳥が、悪霊の霊体を貫く!

「 何だあの鳥は!? 一瞬で悪霊の腹を貫きやがった!! 」
「 前に授業で習ったことがある!
  禿鷲(ハゲワシ)に似た外見を持ち、
  肉食で獰猛(どうもう)な猛禽類(もうきんるい)、魔界の沼地に住む魔鳥!! 」
「 難しい言葉ばっか使うなよ・・・。(汗) 」

聞きなれない言葉を使って説明する洋子に、困惑する魔理。 そして仙香が言った。



「 そう、スカベリンジャーよ!! 」



ピュルルルルルルルルルルルッ

ばさばさばさばさっ
≪≪  ギェギェギェギェ―――ッ!!!  ≫≫

バシュバシュバシュンッ

茜の呼びだしたスカベリンジャーは、悪霊の周りを高速で飛び回り、悪霊の霊体を次々と喰い破って霊力をけずっていった。

「 すごい・・・本当に1人で倒しちゃう勢いよ。 」

感心する水樹。 洋子は仙香に質問する。

「 でも何であの魔鳥なん? もっと品のある奴を呼べんかったん? 」
「 いやーそれがね、魔導書に書かれてあることはいろいろやってみたのよ。
  生きてる動物・死んだ動物霊・動物妖怪・・・そして魔界生物。
  その中で唯一コントロールに成功したのがあのスカベリンジャーよ。 しかも召喚能力のオマケつき♪ 」

それを聞いた水樹は―――

「 召喚ってまさか茜ちゃんが!? 」
「 まあ確かにあの子には信じがたい能力だけど、現にこうして召喚してるわけだし。 」
「 だけどスカベリンジャーは肉食なんでしょ!? もし人を襲ったら! 」
「 大丈夫よ水樹。
  肉食といっても死肉しか食べないし、特にあのスカベリンジャーは人にになついてるわ。
  茜さんがコントロールしている限り、人を襲うってことは・・・ 」

ガッガッガガッ
≪≪  ギョワワーッ!!!  ≫≫
「 い、痛いっ!! わっしの頭を喰うのはやめてクレ―――!! 」

いつのまにかスカベリンジャーは悪霊を攻撃するのをやめ、タイガーの頭をつついていた。

「 仙香、言ってるそばから人を襲ってるわよ。(汗) 」
「 ・・・・・・えーと。(汗) 」

「 茜のコントロールが甘くなってきてる!! 行くぞ洋子!! 」
「 ホイ。 」



―――魔理と洋子は悪霊と戦い、1分としないうちに吸印札に封じることができた。
悪霊はスカベリンジャーの攻撃で、大半の霊力を奪われていたのである―――



だんっ
「 ちくしょう! もうちょっとだったのに! もうちょっとで、あたい1人であの悪霊を祓えていたのに! 」
「 除霊はチームで行うもんジャ、あかねサンはよう頑張ったよ。 」
「 所長・・・。 」

地面を叩いて悔しがる茜に、声をかけるタイガー。

「 みんなあかねサンの成長ぶりは認めとるし、そう焦ることないケン。 」
「 ま、いいんじゃねーか、あかねに似て品のない鳥で。 」
「 あんだと魔理ー! てめえに言われたかねーよ!! 」
「 そりゃどういう意味だ!! 」
「 言葉通りの意味だバカ!! 」
「 バカだと〜!! 」 「 バーカバーカ!! 」

「 やめなさいよ2人共! 」 「 ほっとき、面白いから。 」

水樹はオロオロし、洋子は笑っていた。

「 ・・・・・・・・・・・・。 」
「 どうしたのタイガー? 」

考え込むタイガーに、仙香がたずねた。

「 いやーあの鳥、前にどっかで見たことあるんじゃが・・・ 」
「 そんなまさか!? あのスカベリンジャーは魔界に生息する鳥で、
  実際に目撃された例はほとんどないわ。 いったいどこで? 」

「 魔界・・・・・・異界・・・・・・<ハッ>!? あ、そうか!! 」






◆   ◆   ◆






■異界■


≪≪≪ ギァギァギァギァ――ッ!!  ≫≫≫


数百羽ものスカベリンジャーが、髑髏(どくろ)の形をした山の上に屯(たむろ)っている場所。
ここは異界。 毒の沼地が広がるスカベリンジャーの群生地である。
そんな地獄を思わせるような場所に、1件の西洋風の古いレンガの家がポツンと建っていた。


ヴュン!

その家の中に、テレポートしてきた1人の魔女がいた。

「 ただいま小鳥さん。 今日はいい死肉がはいったわよ。 」

ゲップ・・・
≪ ・・・・・・・・・。 ≫

「 あら? いつもはお腹をすかしているのに変ねー、どこかで拾い食いでもしたのかしら? 」



―――彼女の名は魔鈴めぐみ。 中世魔法技術を現代に蘇らせている、世界屈指の魔女である。




◆   ◆   ◆




■翌日の昼 タイガー除霊事務所■

こんこんっ☆

タイガーが座ってる所長席の後ろ、【タイガー寅吉除霊事務所】と書かれた窓の外で、
ホウキに乗った魔鈴が出前の料理を持ってやってきた。

「 タイガー君お待たせー! ランチセット5人前、お届けに参りましたー! 」
「 すまんノー、こんな遠い所まで出前させて。 」
「 いいんですよ、空に渋滞はありませんから! 遠慮なさらずにどんどん出前してくださいね! 」

ちなみにタイガーの事務所は5階建てビルの2階にあり、魔鈴はホウキに乗ったまま、料理を手渡した。

「 おい・・・浮かんでるぞ。(汗) 」
「 茜は魔鈴さんが箒に乗るとこ見るの初めてなんやな。
  前来た時は玄関から入っとったし。 魔鈴さんは魔女なんよ。 」

洋子が答える。

「 それで店の名前が“魔法料理”だったのか・・・まあ今更魔女が出てきた所で別に驚かねえがよ。 」
「 さっき窓の外の人影に、一番びびってたじゃねえか。 」
「 び、びびってねえよ!! 」
「 ムキになる所があやしいぜ。 」
「 なってねえよ!! 喧嘩売ってんのか!! 」

喧喧とする魔理と茜。 その様子をみた魔鈴は微笑んで言った。

「 仲いいわねー。 親友は大切にするものね♪ 」


「「  だれが親友だ!!  」」


「 息 合っとるやん♪ 」

洋子がつっこむ。 魔鈴はにこにこしながらタイガーに言った。

「 タイガー君いいわねー、こんなかわいい娘たちを4人もはべらしちゃってー! 」
「 は、はべらすなんてとんでもない!! たまたまなりゆきでこうなってしまったわけで・・・! 」
「 ふーん、なりゆきね♪ 」

微笑を浮かべる魔鈴。

「 そ、それよりも今日はちょっと聞きたいことがあったんジャ。 」
「 あら、なにかしら? 」



―――タイガーは昨日茜が召喚したスカベリンジャーについて、魔鈴に聞いてみた。



「 そう、あなただったのねー。 “小鳥さん”にエサを与えてたのは。 」
「 “小鳥さん”って? 」
「 私になついているスカベリンジャーの名前よ。 」

『『『 ・・・さすが魔女。 』』』

スカベリンジャーの名前を“小鳥さん”にするあたり、魔鈴の人柄がうかがえる。

「 ワシは前に一度、魔鈴サンの自宅がある異界に招待されたことがあったケン、
  その鳥のことを覚えとったんジャ。
  でもあかねサンが召喚した鳥がまさか、魔鈴サンが飼っとったものじゃったとはノー。 」
「 あのコ、死肉しか食べないと思ったら、霊の霊力そのものまで食べちゃうなんて・・
  きっと私がいろんな死肉を食べさせているうちに、ヘンな能力を持っちゃったのね。 」
「 え? 死肉って・・・ 」
「 ○○○の内臓とか×××のモモ肉とか・・・あ、○○○の内臓は胃を強くする効果があってね――― 」
「 魔鈴さん、その話はいいです・・・。(汗) 」

水樹は聞いたことを後悔した。

「 あ、そうそう、茜さんの召喚能力のことなんだけど、正確には小鳥さんの能力なのよねー。 」
「 え? 」
「 あの子にはお使いさせるために、私が異空間とのチャンネル能力を与えているのよ。
  おそらく偶然茜さんの笛の音が聞こえて、それ以降エサ(霊力)につられて呼ばれてたわけね。
  さすがに魔方陣もなしに笛の力だけで召喚するのは、ちょっと難しいからね。 」

それを聞いた魔理は―――

「 な〜んだ、結局ほとんどスカベリンジャーの能力だったわけか。 」
「 そんな・・・。 」

さすがに茜は少し落ち込んでいた。 すると魔鈴が―――

「 あ、でも勘違いしないでね。
  異空間移動にはそれなりの霊力使うから、あの子の霊力を茜さんが肩代わりしているみたいだし。
  少なからずあなたの努力と能力が、あの子を呼べたことに繋がったのよ。
  それは間違いなく、あなたの才能なんだから。 だから自信もっていいことなのよ。 」
「 そ、そうか。 」

魔鈴のフォローに、茜は少し自信を取り戻した。 

「 才能といえば、魔鈴サンも魔法使いの才能をもっとるケンノー。 」
「 あら、タイガーさんの精神感応力もすごいじゃない! 」
「 いやー精神感応者は結構多いケン、水樹サンの心理攻撃もそうじゃし、
  仙香サンの霊体触手も一種の精神感応じゃし・・・。 」
「 でも確かに“魔法使い”ってなると、魔鈴さん以外の名前は聞かないわね。 」

水樹が言うと、魔鈴は少し真面目な顔をした。

「 そうね・・・今でも“魔女”という存在は社会的にあまりうけはよくないし、
  たとえいたとしてもみんな隠してると思うわ。 力に気づかないままの人も多いでしょうし・・・ 」

そこまで話すと、魔鈴は少し暗い顔をしたが、すぐにもとの明るい魔鈴に戻っていた。

「 そうだ! 明日は定休日だし、せっかくだから私の家に来てみませんか? 」
「 !! 」

驚く洋子。 魔理と水樹がたずねた。

「 魔鈴さんの家ってことは、“異界”にってことですか!? 」
「 いいんですか!? 」
「 もちろん! 是非みなさんでいらしてくださいね! 」



喜ぶタイガー・魔理・水樹・茜。
しかし洋子だけは神妙な顔をしていたのだが、前髪で顔が半分隠れているせいもあり、タイガー達はその表情の変化に気がつかなかった。









―――next key word 『人面鳥』

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