ザ・グレート・展開予測ショー

最後のお手紙〜〜〜〜〜12通〜〜〜〜〜


投稿者名:えび団子
投稿日時:(03/ 8/22)


約束・・・制約・・・誓約・・・契約・・・。
言い方はどうでもいいが、それらは時に無情なまでに強大だ。
条件を付けることにより、代償を払うことにより、
      ――――――――結果は・・・大きい――――――――





「浪人さん?!浪人さんっ・・・!?」

隣で彼女が何か言ってる、もう五感の感覚さえ殆ど掴めない。
何でだよ・・・いきなりかよ。もう少しは大丈夫って・・・
構えてたら。こんな結果かよ。

「生気が・・・ないっ!?浪人さん?!」

気付いたのか?いや、事情は知られてない・・・
僕自身が科した契約だ。破ることはできない・・・
あ〜あ、こんなことなら言っちゃえば楽になるのにな。
けど・・・やっぱ駄目だ。彼女の・・・く・・・

「やっぱりな。お前、あの時に・・・」

遠のく意識の中で懐かしい声・・・鈴木だ。

「す・・・す・・・ずき?!」

「浪人君、何でぇ〜〜〜〜!!お願い逝かないで!」

田中さん・・・?何で・・・

「君って奴は、何て馬鹿なんだ?何で・・・何で・・・!!」

佐藤・・・。泣いてんのか?

「浪人くん・・・」

木水さん。悲しい瞳だ・・・。

皆が来てた。僕の大切な旧友達が、もしかして・・・知ってたのか。
なんだ・・・そうだったのか。まあ、彼女が知らないのならそれでいい。

「何なんですか?!一体浪人さんに何がっ・・・!!!!」

言うなよっ!お前ら・・・!!!!

「・・・・・・・・・・・・」

誰も口を開かない。

「ねえっ!?・・・一体何が何なんですか?!」

佐藤が首を横に振る。よし、それで良い。良いんだ・・・
僕の命なんて彼女の・・・く・・・。比べりゃ安いもんだしな。
彼女にはもっと良い人がいる。

「お・・・キヌちゃん。・・・・・・」

踏ん切りがつくと意識が少し戻った。いや、最初から僕は想い出が欲しかっただけかもしれないな・・・。最初からする気なんてなかったのかもな僕は。

「浪人さんっ!?」

彼女が僕に駆け寄る。こんなに近づいたのは初めてだ、もう訳を話しても良い・・
・よな?・・・優しいから。彼女は優しいから・・・言っちゃえばきっと省みないから。彼女・・・おキヌちゃんは。

「ごめ・・・ん・・ね。」

遠のく意識・・・目の前が少しずつ・・・少しずつ・・・

「浪人くんっ・・・!!」

木水が浪人に抱きついた。

「わたし・・・。」

「やっぱり、お前・・・浪人のことを・・・・。」

控えめな木水ができる最後のアタック。虚しくも浪人の瞳には光がなく、
もはや、人形のように体には生命が入ってなかった。

「え〜〜〜〜ん、え〜〜〜〜ん・・・!!ひっく、ひっく・・・」

田中はどうしていいか分からず泣いた。

「・・・・・・・・」

佐藤は少し顔を濡らして、誰にも見せないように長い前髪を下ろして黙っている。

おキヌちゃんはショックと悲しみで涙がどんどん溢れ出てくる。付き合いは一番短かったかもしれないけど想う気持ちは中でも一番だったろう。

「もう、遅いがいいだろう。なあ、浪人!おキヌちゃんに話しても・・・」

鈴木が昔話しを始めた。それは数年前、まだ皆学生だった頃・・・
クラスの女の子が霊的なものに襲われると言う奇怪な事件が発生した。
田舎の人々は信仰深く、霊を恐れていた。けど、浪人だけは信じていなかった。
発生する時間、姿形、狙われる女の子には全て規則性がありどうしても霊と信じれなかった。まるで被害者の行動が筒抜けの様に図ったような・・・印象があったから。結局、真相は闇に消えたが俺たちは知っていた。あの頃、町を仕切る金持ちの息子が霊的なヨリシロを使ってたこと、そしてそれを浪人が見つけ女の子をかばったこと。その時『呪』を掛けられたこと。





「そんな、浪人さん・・・何も言ってくれなかった。私、私・・・何も知らずに
・・・」

「その時、かばった女の子が木水だってことも結局知らなかったもんな。」

佐藤が思い出したように言った。

「何でわたしじゃ駄目なの?わたし・・・何も出来ない・・・まま終るなんて嫌っ!!」

木水が浪人の唇にKISSをしようとした瞬間・・・

     ――――――――ごごごごごごごっ・・・――――――――

殺気。木水が『びくうっ』と止まった。もちろん他のメンバーも泣いている田中も
視線が一点に集中した。

「な、『何を』しているんですか・・・!?木水さん・・・」

殺気の先にはおキヌちゃんの姿が・・・。

「何って・・・KISSすれば蘇ってたからです・・・。」

平然とそんなこと抜かす木水。ますます訳が分からなくなるおキヌちゃん。

「彼の『呪』には契約があったんだ、余命数年。自分の選んだ人とKISSをし生気を吸収すること。更には同意がなければならないと言うこと。事情を知られてはいけないこと。まあ、後者の二つは浪人自身が付け加えた契約だけどね。何でも、同意じゃないと無理やりは嫌なんだと、事情を知られて儀式的なKISSは相手に申し訳ないし自分の選んだ相手ならなお更だと。全く、馬鹿な奴だろ?」

佐藤が赤い目を、涙の残る目で言った。

「そんな、私・・・浪人さんなら。浪人さんとなら・・・」

      ――――――――ビクウッ・・・!!――――――――

「本当っ!!??」

僕の意識が黄泉の国からその一言で一気に戻ってきた。何て現金な奴だろう?
自分でもそう思う。

「浪人さん・・・?!あの・・・私・・・私・・・」

僕は彼女に・・・もう90%は透明な体で・・・彼女に。

「・・・いいの?」

手を彼女の顔に伸ばす。

「・・・はい////」

最後の一発の花火がタイミング良く咲いた。僕と彼女はその時重なった。
きっと・・・この花火は永遠に散ることなく。永遠に・・・
僕の体に生命の火が灯される。これで僕は・・・















        〜〜〜〜〜〜〜〜数年後・・・〜〜〜〜〜〜〜〜



み〜ん、み〜ん

み〜ん、み〜ん

        ――――――――がちゃっ・・・――――――――

「はいっ・・・氷室です。あっ、美神っ・・・横島さん・・・ですね?今は♪」

電話の主はどうやら雇い主である。最近結婚したらしいのだが・・・

「えっ・・・////あっ・・・はい♪」

       ――――――――がちゃんっ・・・――――――――

電話を切る音が家の中に響く。居間では父、母、姉・・・浪人・・・
どうやら彼女のドラマはこれからだったりする。

「へえ〜、おキヌちゃんも結婚かあ・・・」

「良い人そうね♪彼・・・」

お姉ちゃんにお母さん。

「で、質量保存の法則とは?!」

「ですから・・・さっき申し上げたとおりに・・・」

お父さんと・・・彼であったりする。

「皆〜、昼ごはんができましたよ〜♪」

彼女の手料理。今回自分だけではないことが悔やまれるが、

「やっぱりおキヌちゃんは上手だべ♪」

「あんたも見習いなさい!!」

「おおっ、美味いっ!!」

三人からの評価は好評。

「うんっ、おいしいよ♪」

「えへへ・・・♪」

そりゃそうです、何たって『愛』の魔法スパイスがあるのだから♪






              末永くお幸せに。 
           ☆皆さんも涙と歓喜でご一緒に☆  






            チャンチャン、おしまい♪        

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