ザ・グレート・展開予測ショー

ひのめ奮闘記外伝U(その4(B))


投稿者名:ユタ
投稿日時:(03/ 8/21)




ガサ、ゴソ・・・


「う〜ん・・・・これも違う」


散らばった床にまた新しく本が積まれていく。

横島の私室の本棚や机の引き出しをまるで我が物のように漁る蛍。
もちろん立ち入り禁止と言われているこの部屋、
しかし、今日ばかりは探究心(?)が勝り誰もいないうちに・・・・ということだった。

「え〜と、『高等呪術の使用とその盟約法』、『文珠結界の効用と限界』・・・興味深いけどこれも違うなぁ」

分厚いファイルを元の場所に戻しながら『パパはやっぱり凄いGSなんだ♪』と心を弾ませる。
そして、次にそれらのファイルの隣にある冊子取り出した。

「何々?・・・・・『幻術の効果持続性及び打破、回避』・・・これは・・・ちょっと読まなきゃ・・・」

自分が使う能力の研究論文となればさすがに無視するわけにはいかないと蛍は表紙に手をつける。
幻術能力はまだ未発達だがこれを読めばその成長速度向上、それに弱点も分かるなんて一石二鳥!
と、ドキドキしながらパラパラと冊子をめくる・・・

しかし、次の瞬間そのドキドキが別の意味に変わる。

「『ついにあの大物アイドル達が脱いだ・・・濡れ濡れグラビア大全集・・・』・・・・・・・・・・・・・・・・。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・もう!パパ最低!!」

顔を真っ赤にして表紙と中身の違うフェイク本を棚に戻す蛍。
その後その手の本が何箇所かにあったのだが・・・・どれもチラチラっと見ては顔を赤くして
『え?何これ!?きゃーちょっと凄いよ!うそ、男の人ってこんなのが好きなの!?』とか呟いてのは内緒。

「はぁ・・・やっぱ見つからないや・・・」

本棚一つ分を流し読みとはいえ調べたがルシオラの『ル』の字も出てこない、
まだ資料や本はたくさんいるがそろそろ誰かが帰宅する時間、この部屋に入ったのがバレたらまずいと部屋を出ようとしたとき、
蛍の目にあるものが止まった。

「・・・・・・・・・金庫かぁ」

蛍の視線の先にあるもの、それは灰色で高さ60cmほど、幅50cmほどの小さな金庫だった。
ロックは電子キーで正しい4桁の数字を打ち込めば開くが3回間違えると設定を変えない限り開かなくなるというもの。

「う〜ん・・・大事なものは金庫にあるっていうのは当たり前だけどいくら何でも金庫を開けるなんて・・・」

と良心と相談しつつもちゃっかり金庫の前に座り番号を打ち込みはじめる。(←ここらへん令子の血)
ピ、ピ、ピ、と『1』を三回押してみる・・・そして最後はやっぱり『1』。

「いくら何でもママの誕生日(11月11日)で開くわけないわよねぇ〜」

と言いつつenterキーをポチっとな。


ピーピロピロ。ガコン・・・・。




「・・・・・・・・・・・・・・・・・・パパ・・・・もう少し暗証番号考えなよ・・・・」



まさかこんなに簡単に開くとは思っていなかった蛍は苦笑いを浮かべるとそ〜と金庫の扉を手前に引いた。
そこには古臭い紙切れから、いかにもというMOディスクなのが数枚、『禁』とかかれた資料や本などが何冊入っている、
どれもあやしくて先程の本棚漁りより困難を極めそうだった。

「うわ・・・これ古代の呪術語・・・、うっ!これなんて『失われし大古の秘法』だわ!
 この資料読んだら秘密諜報機関に捕まりそう・・・まあ古代語なんて全然読めないけど・・・・・、ん?」

何冊かの資料をピックアップしていく蛍の手が止まる。
それはこの金庫の中にあるものでは珍しく表紙に日本語で書かれている、
どうやら日本で起こった霊的災害の資料だった。
それは・・・


「────極秘文書────アシュタロス事件・・・・」

蛍は表紙に書かれた文字を口に出すと同時に『アシュタロス』という言葉に胸から何かがわいた。
懐かしさと、悲しみと、親愛と、忠誠と、罪悪感・・・・いろいろな感情が混じった何かが。

「アシュタロス事件かぁ・・・一応聞いたことはあるけど」

この時代アシュタロス事件という名を覚えている者は別に少なくない。
15年も前の出来事、情報操作が行われたとはいえ世間一般ではアシュタロスが世界を滅ぼそうとした・・・
一般大衆はそれくらいの認識はしていた。
だが、裏で美神、横島ら活躍の中心になったことは一部の関係者しか知らない。
GSとは言え女、子供がを前面に立たせたことがバレたらやオカルトGメン国連の権威に関わるからと・・・。
しかし、少なくともあのとき活躍した者の身近な家族や仲間達はおおまかな事実は知っていた。
もちろん蛍も。

「確かパパとママが一番活躍したっておばあちゃんが言ってたなぁ〜・・・うふふ、さすが私の親よね♪」

両親の勇ましい活躍を想像し誇らしい気分になる蛍。
ニコニコと笑顔を浮かべアシュタロス事件の資料を読んでいく、
大衆よりも詳しく知ってるとはいえ、それは『パパやママ、その仲間達が活躍した』程度の知識だからだ、
事件の全貌を知るのはこれが初めてだった。


アシュタロス事件・・・

魔神アシュタロスが自らの消滅を望んだために起こした乱。
アシュタロスはまず人界侵攻のために数々の策を・・・

(以下略)


蛍は冒頭を読み流すと次に目次に目を移す。
そこにはこの事件で起こった出来事が各分野に分けられている、その中でなぜか気になったのが・・・













11、コスモプロセッサの発動

12、アシュタロスの最期
   ・究極の魔体
   ・最高指導者の出現
   

13、事後処理
   ・美神美智恵隊長の時間移動による帰還
          ・

          ・

          ・

   ・アシュタロスの部下ルシオラ、ベスパ、パピリオについて


「ルシオラ!?」

ついに見つけたその文字に猛然とページをめくる。
そして、84P・・・そこには三人娘に関する文書が細かく分けられ記載されていた。
蛍は少しだけ高鳴る心臓を落ちつかせ『ルシオラの章』を読み始めた。



ルシオラ・・・

アシュタロス直属の部下、通称『三人娘』の一人。
蜂の変化ベスパ、蝶の変化パピリオの姉で蛍の変化・・・。

(・・・・・・・・蛍・・・・・・・・)


はじめは他の二人と同様アシュタロスに従うも・・・


────美神除霊事務所GS助手・横島忠夫通じ人類側へと引き込むことに成功。

「!!?」

その一文に蛍の目が大きく見開く。
ルシオラという者が魔族でかつて人類を滅ぼそうとした存在の一人だということでも驚いたのに・・・
さらに自分の父と一緒にそれを裏切ったことにも少し動揺してしまう。

「・・・・・・・・・・」

その先は無機質な文章ながらいかに二人が愛し合い幸せな時間を過ごしてきたのかが蛍には手に取るようにわかった。
自分のことではないのになぜか懐かしく目を潤ませ細くする・・・・しかし、・・・最期に待っていたのは悲劇・・・

「・・・・・ベスパの霊波砲を受けた横島忠夫はその妖毒により霊基構造の崩壊を始める。
 しかしそこでルシオラは・・・・・・・・・・・・・・・────自分の命・・霊基構造を分け与え・・・・・・死んだ・・・・」




死・・・────






まだ13歳の蛍とはおよそ無関係なその言葉・・・

だけど・・・

なぜか悲しくて仕方がない・・・、確かに涙もろいほうだが今の気持ちはそんなもので表現出来るものではなかった。
どうしてこんなにルシオラに感情移入してしまうかも分からず蛍は読み続ける・・・しかし・・・

その最後は蛍の悲劇でしかなかった・・・



「・・・・・・・・・・・・────ルシオラの霊体は十分集まらず復活は不可能だった・・・・が・・・」





























────ルシオラの霊体を細胞に取り込んだ横島の遺伝子を継ぐ者・・・
    つまり横島忠夫の子供に高確率で転生すると思われる・・・────
















パサッ────


ゆっくりとファイルが音をたて床に落ちる。
蛍はファイルを落としたことも気づいていない・・・・

ただ呆然とした表情・・動揺した瞳で虚空を見つめた。

体がなぜか震えて止まらない、さっき水を飲んだばかりなのにカラカラと喉が渇く・・・

言われようのない恐怖と不安で胸が潰れそうだ・・・

心臓がバクバクと加速し今にも破裂するのではないかと錯覚してしまう・・


「・・・・・で、でも・・・・あくまで確率の問題だし・・・、そ、それに忠志や令花だっていう可能性もあるし・・・・」

震えた声で自分を励ますように呟く蛍。
だけど・・・・そんな蛍の言葉を打ち砕くもの・・・・ソレが床に落ちたファイルからハミ出ていた。
蛍はゆっくりとソレを拾い上げ・・・・



────見てしまった。












































「何よ・・・・・・・・・・コレ・・・・・・・・・・・・・・



         






















































────キモチワルイ・・・・・」








蛍がクシャっと握り潰したソレは・・・・・・・・・・・






























資料用に撮られたとはいえ・・・・現存する最後の・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・────ルシオラの顔写真だった────






                          
 


                                    その5に続く




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あとがき


世界よ!俺様中心に回れ!!!(挨拶)

そんなことを一日三回は考えてしまう社会不適合者のユタです!おはこんばんは♪(死語)

あ、あの・・・決してルシオラーの方にケンカ売ってるわけじゃないですよ?(^^;
ね、ネタがね?思いついたらこんな展開にぃ (ノД`)

まあ、人生や恋愛なんて傷ついてナンボですからね・・・・・・・みんな・・・みんな泣いてしまへ ( ゜Д゜)y-~~
多分あと2、3回で終わりますそしたらいよいよ本編第三部開始予定です。
これからもいっそう(痛くなるよう(マテ))頑張りますので応援よろしくお願いしますm(__)m

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