ザ・グレート・展開予測ショー

〜キツネと仕事とウェディングと 最終話 〜


投稿者名:かぜあめ
投稿日時:(03/ 8/18)

〜キツネと仕事とウェディングと エピローグその3後編〜



「すんませんでした〜!!」

・・ドアを開けた瞬間、土下座である。これには流石の美神も面食らった。


「よ・・横島君?」

「もう朝帰りなんていたしません!!セクハラも一週間ぐらいは我慢しますから!!
 ですからひらに!!ひらにお許しを!!」

横島は、もうこれ以上ないような早口で叫びながら、
これ以上ないような速さで頭を下げ続け・・、

・・・。

「あ・・あの・・横島さん?美神さんはそんなに怒ってないんですよ?」

「へ?」

戸惑うようなおキヌの声に彼はぴたりと動きを止めた。
ね、と呼びかけながら、彼女は美神へと目を向ける。

「さっき、西条さんから連絡があったわ。
 ずいぶん大変な依頼だったみたいじゃないの。」

「え?ああ・・まぁ・・。」

「時間がかかったぐらい大目に見るわよ。よく頑張ったわね2人とも。」


苦笑しながらそんなことを言った後、美神は2人にねぎらいの言葉までかけたわけで・・。

・・・。
・・・・・。

ヘナヘナと・・2人はその場にへたり込んだ。


「・・なんだ。心配して損した・・。」

「奇跡だ・・・。というか西条・・お前っていいヤツだったんだな・・。」

普段からいがみあっている西条が今回ばかりは仏に見えた。
あのウザい長髪も、微妙に太いあのまゆ毛も・・
(今、この場においては)目をつむりたい気分だ。
横島は祈るような気持ちで空を見上げて・・・・。

・・・しかし・・・・



「・・あの。」

次の瞬間、事務所のドアが控えめに開いた。
そこから、1人の女性が顔を出し・・。

・・女性・・よく見れば少女と呼んでも差しつかえない年頃である。

「あれ?たしか君・・。」

「はい。その折はどうもありがとうございました。」

ぺこり、と頭を垂れる少女に横島は目を丸くする。
彼女は昨晩、自分が手当てをほどこした・・あの花嫁だった。


「西条さんという方が『ぜひとも今すぐに』お礼を言いに行きなさい、
 と申されまして・・。それで、住所を尋ねて、参った次第です。」

「こりゃまた・・ご丁寧にどうも。
 ・・でもオレなんかよりも早く旦那さんに顔を見せに行ったほうが・・。」

困ったように笑う横島は・・、全く気付いていないのだ。

わずかに上気した花嫁の表情にも、周りから放たれる強力な殺気にも・・。



「・・あの〜。」


「?はい?」


「横島さんは・・人妻はお好きですか?」


「??・・は・・はぁ・・」

頭に浮かぶのは?マーク。
なんだかよく分からないが、目の前の若花嫁さんは、瞳をキラキラさせながら自分を見つめたりしている。


「これでも私・・高校を卒業したばかりなんです。10代で人妻って・・なかなかポイント高いですよね?」

・・いや、よね?と言われても困る気がするが・・、
とにかく、彼女は、ハッシと横島の手をつかんだあとタマモに、そして他の女性陣にも目を向けて・・・、


「・・ライバルは1人だけかと思ったんですが・・、以外に多いようですね・・。でも、私がんばります!」


・・なんてことを高らかに宣言した。

対して、横島は、
『え〜と・・あ〜・・うん。がんばってください』・・などと、
あらゆる意味ですごい言葉を返したわけで・・





「・・・横島?どういうこと?」

タマモが・・、顔をヒクヒクさせながら、微笑んだ。


「な・・・なんだ?タマモ、何を怒って・・・」


「不潔です。横島さん。」
「本当でござる。それに拙者のセリフがこれだけなのもあんまりでござる。」

あわてる横島から、普段は真っ先にフォローに入るはずの2人が目をそらし・・・。
シロにいたっては出番の無さから、怒りゲージ5割増といったところだ。

・・・。


・・そして・・。


「・・・横島君・・・・?」


ごごごごご、という効果音とともに、鬼神の如き声が聞こえてきた。


「あ・・あの〜・・美神さん?何すかその神通棍・・・。おキヌちゃん?シロ?なんで目を合わせてくれないの? ・・・・うお・・タマモ・・なんだその今まで見たことないくらいにドでかい火球は・・・。」



・・・。

・・・・・。

・・・・・・・。


いやーーーーーー!!!


事務所に絶叫が木霊する。

追記だが、そのころ式場では西条がほくそえんでいたとか、いなかったとか・・。


       
               ◇


時間はまたまた、数時間流れ・・・、


「・・もうどうでもいいや。」

ベランダの床に倒れていた横島は、ボロきれのように夜風に吹かれていた。


・・空しい。

どれぐらい空しいかというと、空しすぎて何が空しいのか判別できないくらい・・。
・・・とにかく空しい。


「ってか・・今回オレってなにも悪いことしてないような気がするんだが・・・。」

どうせここまで殴られるなら、タマモにセクハラの8発や9発程度かませばよかったかな〜
・・などと、彼はまた性懲りもなく、生傷が増えそうな発想を展開して・・。


「・・・あんたって・・、ほんとにバカよね。」

先程から隣に座っている相方が、あくびをしながらそうのたまった。

それに横島は、

「・・あのさ・・お前、フォローするとか言ってたんじゃ・・。
 あ・・でもいいや、めんどいし、オレがバカでした、ごめんなさい。」


と、かなりなげやりな口調でそう返して・・、





・・そして・・、ゆっくり月を見上げたのだ。




・・空に浮かぶ、まんまるな月。
欠落なんてどこにもない、なのに何故か殺風景な・・・・そんな景色。
もしかしたら、タマモにはこの満月も違ったものに映るのかもしれない。




・・・。
気が付けば、いつの間にか彼女をみつめていた。



ジーー。


「――・・・な・・何よ?」

「ん?いや。別になんでも・・・。」


ジー―ー。


「・・だ・・だから・・。何なのよ?」

「・・別に?」


ジー―ーー。


・・・。

ぱこん!

「ってぇな!!殴るこたぁねえだろ!?」

「わけがわからないでしょ!?理由を説明して!」

・・・・。

「・・理由?」

「そうよ。」


そわそわしながら、タマモはソッポを向いて・・。

・・・・。

・・・・・・。

「・・・どうしようか?『君がキレイだから』とか答えたら、殴らないでくれるか?」


・・ぱこん!
・・・当然のごとくまた殴られた。




すっかりむくれる少女をよそに、横島は堪え切れず苦笑する。


半分はウソ。
しかし、半分は本当なのだけれど・・・。


・・・。



ウェディングドレス身を包む彼女。
敵を前にして、決して屈しなかった彼女。
泣きながら、自分の服にしがみついた彼女。




あの温もりを感じた時、自分は確かに・・・・・


・・・・。




「・・まあ・・・いっか・・。」


横島は、わざと自分の心にフタをすることにした。


・・やめておこう。きっと答えはいつでも出せる。
それよりも今は、『今』しかできないことを・・・・

・・それが多分、大切なわけで・・・。



「う〜ん・・。タマモちゃ〜ん、ヒザ枕してよ〜」

「!!な・・ちょっと・・こら!何をやって・・!」

ジタバタ暴れるタマモを無視して、横島はガッシリ彼女に抱きついて・・・
それでもって顔面を壁にめり込ませた。
またいつも通りの・・・日常の風景。

何はともあれ・・こうして横島とタマモの長い一日は、騒がしくその幕を閉じたのだ。


まんまるな月は・・よく見れば、とてもやさしい光を投げかけていて・・・。



自分も・・この夜空がまんざらでもなくなったかな?


のびをしながら、横島はのん気にそんなことを思うのだった。




〜おしまい〜






〜『あとがき』〜

このお話もようやく完結しました〜

一度でも読んで下さった皆様、本当にありがとうございます。
そして間が空いてしまい本当に申し訳ありませんでした〜

(ご無沙汰した理由がサモンナイト3をやってたからというのはもっと秘密です(笑))

なんだか、伏線を引くだけ引いて終わっちゃいましたが、今回登場の少年が出るのは相当先のことになりそうです(汗

・・それにしても、かぜあめ=横島×タマモみたいな勢いになりつつある今日この頃ですね〜
たまにはおキヌちゃんも書いてみようかな・・。

あ・・番外編はもう少しばかりおまちくださいませ〜

それでは最後にもう一度ここまでお付き合いいただいて本当にありがとうございました〜


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