ザ・グレート・展開予測ショー

夏の幽霊注意月間


投稿者名:dry
投稿日時:(03/ 8/ 1)

――都内、某小学校にて。





 やあ、みんな、こんにちは!
 …元気がいいなあ。
 僕の名前は西条。ICPO超常犯罪課…いや、オカルトGメンの方が、みんなにはわかりやすいかな?
 今日はそのオカルトGメンから、夏休み中の幽霊に対して注意を促すために来たんだ。
 15分程ですむから、僕の話に付き合ってくれるかい?

 ところで、オカルトGメンのことは知っているかな?知っている人は手を挙げて!
 …はいはい、上級生も恥ずかしがらずに。
 1人、2人、3人…数えるまでもないようだね。
 うん?バスジャック事件をテレビで見た?それでみんな知ってるのか。
 改めて説明すると、ああいう幽霊を退治して市民の安全を守るのが僕の仕事だ。
 君たちの中に、将来オカルトGメンを目指す子がいてくれたら、お兄さんは嬉しいなあ。

 幽霊については、怪談話や都市伝説なんかに出てくるのを想像してもらえばいいかな。
 現世にさまよう死者の魂…ああ、そんなに怖がらなくてもいいよ。
 交通事故に遭うよりも、みんなが幽霊に出会う確率のほうが低いだろうからね。
 この前、幽霊に会ったって?神社にいるお姉さんみたいな格好をしてた?…それはおキヌちゃんだな。
 彼女はともかく、演歌歌手のジェームズ伝次郎のことは、みんなも知っているだろう。
 ゴーストシンガーとして結構話題になってるからね。
 これらの人たちはむしろ、友好的な幽霊の見本だな。
 幽霊にも色々いてね、本当に危険な幽霊はわずかしかいない。そういうのは特に悪霊と呼ぶんだ。
 いや、ちょっと違うかな?普通の人が見えるほどに力が強い奴は、大抵悪霊だからな。
 つまり、目に見える連中は悪霊と思ったほうがいい。

 とりあえず、危険ではない幽霊と悪霊とを見分けるポイントについて教えようか。
 それは見た目で区別する方法だ。
 今、話に出てきたおキヌちゃんやジェームズ伝次郎は、人魂があって宙に浮ける以外は生きている人とあまり変わらないだろう?
 こういうのには友好的な人たちが多い。
 一方で悪霊は、例えばゾンビみたいになっていたり、骨だけになっていたりして、いかにも恐ろしげな姿をしている。
 だからと言って、中には姿を変えて友好的なふりをする悪霊もいるから油断は禁物だ。
 重要なのは、見慣れない幽霊には決して近づかないこと。そして声をかけられても付いて行かないこと。
 誘拐される代わりに取り憑かれることがあるからだ。わかったね?

 その悪霊だけど、夏の間、主にお盆の頃によく出てくる。
 家が仏教徒の人は知っていると思うけど、この時期、あの世から亡くなった人の霊が帰ってくると言われてるよね。
 それで、ついでに悪い霊も帰ってきてしまうんだ。
 だからこそ、今こうして、僕がみんなに注意しているんだけどね。
 そうそう、お墓参りはきちんとしよう。
 そうすれば、ご先祖さまも安心してあの世に帰ることができるんじゃないかな。悪霊を減らすことにもつながるしね。
 このあたりの詳しい話は、お寺の住職さんなんかに聞いてみるといい。

 あくびをしている人もいるようだから、そろそろ本題に入ろうか。
 ここからは特に大事な話だからよく聞いてね。
 夏休みということで旅行や里帰りをしたり、キャンプをしたりする人も多いと思うが、くれぐれも注意してほしいのが肝試し。
 間違っても、幽霊の噂がある場所には近づかないように。どんな恐ろしい目に遭っても知らないよ?
 ただの噂だとあなどって行ってみれば本当に出たなんてことは、別に珍しくもない話だ。
 心霊現象を取り上げた特別番組なんかでは、よく真夜中の心霊スポットを取材したりしているけど、絶対に真似をしてはいけない。
 ああいうのは、事前にお祓いをしていたり、専門家が同行していたりするから大丈夫なんだ。
 …実際は興味本位で取材をした挙句、霊障事件を引き起こしたなんてこともざららしいが。
 とにかく、肝試しをするときは危険の無いところで、先生やご両親など必ず保護者同伴ですること。いいね?

 では、悪霊と出会ってしまったらどうするか。
 刺激しないよう目を合わせずに、静かにその場を去るのが一番いいだろうね。
 もし追いかけてきた場合は仕方がない、全力で逃げよう。
 悪霊には地縛されている…つまり、『出る』場所から離れられない者が多いんだ。
 だからこうすれば、大抵の悪霊をやり過ごすことができる。
 そして、オカルトGメンに連絡。すぐに駆けつけて退治するよ。
 ゴーストスイーパーでもいいんだけど、お金がとてもかかるからなあ。
 えっ?モガちゃんを連れ戻すのを頼んだらタダでしてくれた?よくわからないけど、その人は良心的なGSだったんだろう。
 そうだね、急いでいるとき以外はご両親と相談することをお勧めするよ。
 ちなみにオカルトGメンの電話番号は○○−□□□□−△△△△だ。
 本当は110番みたいな憶えやすいのにしたいんだが、ウチの規模はまだ小さいし、役所の連中が…。
 …おっと、話がそれてしまったな。ゴメンゴメン。

 それでは、最後におさらいだ。
 1、幽霊が出そうな場所には、絶対に近づかないこと。
 2、もし幽霊に出会っても、騒いだりせず速やかにその場を離れること。
 3、そして、すぐにオカルトGメンに通報すること。
 みんなわかったかな?
 …うん、いい返事だ!

 これで僕の話は終わりだ。最後まで聞いてくれてありがとう。
 くれぐれも幽霊には気をつけて、楽しい夏休みを過ごすようにね。





 …一仕事を終えた西条は、強い日差しの中、小学校をあとにした。
 クーラーの効いた車内でハンドルを操りながら、独り言(ご)ちる。

「ふう、広報活動も楽じゃないな。もう一度、人員の補充を上に打診してみるか。上司はいないが部下もいないのでは、流石にきつい」

 信号停車のついでにタバコを吸おうとして、考え直した。
 このあとさらに、2つの学校を回らなければならないのだ。
 信号が青に変わる。アクセルを踏み込む。
 ふと、あることが頭に浮かんだ。

「横島君にはああ言ったが、やはり令子ちゃんをGメンに勧誘するべきか?いや、しかし、あの性格では…」

 以前に子供の相手をさせたときの彼女の様子について、同行していた警官から話は聞いていた。
 想いを寄せる女性には、美点も多いが欠点も多い。
 公務員、西条輝彦の苦悩は深かった。色んな意味で。





――ICPO超常犯罪課日本支部、只今隊員募集中。





     END

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