ザ・グレート・展開予測ショー

300年の恋の記憶


投稿者名:えび団子
投稿日時:(03/ 7/31)


むか〜し、昔のお話です。
私が幽霊になる前の・・・生きてた時代の・・・
ちょっと・・・聞いてくださいね♪
     ――――――――300年の恋の記憶・・・――――――――






      〜〜〜〜〜〜〜〜御呂地村のとある寺〜〜〜〜〜〜〜〜



蝉の囀りが寺を響き鳥の歌声が心地よい子守唄になるそんな昼下がり。
寺の中を支配するのは幾つか分からない木々達。夏風に揺り動かされる雑草。
一際目立つのが寺の中央に咲いているひまわり。夏の風物詩だ。



「きゃあーきゃあー、こっちこっちい〜!!♪♪」

子供たちが数人で騒ぎ遊んでいる。よく見るいつもの光景。
ここに居る子供は皆、親を失くした孤児たちで身寄りがないのでここで暮らしている。そんな子供たちを優しく見つめている女性がこの寺の『お姉さん』的存在の彼女で名は『キヌ』。通称おキヌちゃん、長髪の黒髪は村一番の小町である。白い肌も綺麗な顔立ちも人気を募らせる要因の一部である。

「どうじゃ、いい相手はおるかな?」

顎に長ヒゲ、片手に杖。服は藍色のような着物で質素な雰囲気だ。
それでも風格だけはある。

「い、いえ・・・私、まだ・・・」

顔を紅潮させて俯く彼女。

「おキヌ・・・長い間子供達の面倒を見てくれて本当に感謝しとるんだ。もう自分の幸せを掴みなさい・・・」

嫁ぐことなら幾らでも相手はあった。唯、彼女の意志がそうさせなかった。
『鉄の意志』。彼女の代名詞。

「そ、それに・・・////」

彼女の唇が動いた。ゆっくりと・・・

「わ、私っ・・・!!」

太陽から出発した光達はどこかを目指して進んでいる。
当ても無いけど、確実に青い星に。降り注ぐ。彼女に。

「誰か、心に決めた人でも・・・?」

老人が察した口ぶりに唱える。この老人、寺の管理人者のような者で皆からは、
『おじいさん』と呼ばれ親しまれている。まあ、お父さんだよな。

「・・・・////」

静寂が寺の縁側を包み込み、優しい風が吹き抜ける。
太陽の雨は大地に下り、可愛い声が耳を撫でる。

「ふっ・・・好きにしなさい。おキヌ・・・お主が決めた男じゃからな。」

「はい・・・♪」

得意の子守唄が彼女の口から運ばれる。










「で、その男・・・どんな奴なのよ!?」

彼女に問い詰めるタマモ。

「ええっ、それは・・・ちょっと!」

「教えて欲しいでござるう〜!!」

泣き叫ぶシロ。

「もうっ、こんな遊びやめましょうよっ・・・!」

おキヌちゃんに抱きつくシロ。タマモも微笑しながらおキヌちゃんに近寄る。

「順番なんだからっ♪」

「あなた達は言ってないじゃない?!」

じゃれながら叫ぶおキヌちゃん。

「だって、拙者たちは経験が少ないでござるう〜!おキヌ殿に伝授して欲しいでござるよ!!」

    ――――――――ええ〜ん、助けて〜っ・・・――――――――





で、続きだが。


「行って・・・しまわれるのですか?」

寂しげな彼女。

「はい、僕はまだ修行中の身でして。きっと帰ってきます・・・」

      ――――――――帰ってこない・・・――――――――

そんな簡単な事は分かっていた。

「では、おキヌちゃん・・・」

彼の背中がどんどん小さくなっていく。

「・・・・さん」

あまり聞こえなかった、鼻声だ。水田の畦道を蜃気楼の中に消えていく彼。
と、その時。


      ――――――――ドドドドドッ・・・――――――――



「はあ、はあ、はあ、はあ・・・」

息を切らせている彼。

「えっ・・・?!」

まったく予想ができない展開。

「さ、最後・・・」

彼が何か言った。

「・・・・」

彼女は聴いていた。








      





     ――――――――・・・抱かせてくれ・・・――――――――



彼女はそこで抱きしめられた。温かい、夏の太陽より。



みんみんみん・・・みんみんみん・・・



蝉だけが見ていた。




彼は帰って来なかった。彼女が人身御供になる前の話である。
たった1ヶ月前のことである。淡い・・・想い。




      ――――――――300年の恋の記憶♪――――――――





むか〜し、昔のお話である。








                
              チャンチャン♪おしまい   




           

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa