雨と、思いと
投稿者名:小天狗
投稿日時:(03/ 7/31)
「・・・・雨、かぁ。急に降ってきたなぁ・・」
僅かな給料を手に買い物に行った帰り―――コンビニだけれど。いつものラーメンに卵つけるだけですも。―――急に降ってきた、雨。当然の事ながら傘など気のきいたものは持っておらず。濡れる。けれども。
「濡れるのも、いいかも知れねぇな・・・」
結局、心を癒すのは時間なのだ。あのときの悲痛な思いも、彼女との思い出も、体を引き裂かれるような、あの喪失感も。絶対に忘れない、そう思いながらも、時はゆっくりと。しかし確実に忘れさせてゆく。はっきりと覚えているのは、笑顔で見送ってくれた彼女の最期だけ。これだけは、忘れれなかった。否、忘れるわけにはいかなかった。
あの事件の後、自分は変わった、そう思う。どこが、と聞かれたらはっきり答えれる自信はないんだけれども。なんとなく。少なくても以前だったら、濡れるのもいいとは思わなかったはずだ。
「横島さんっ!」
「あ、おキヌちゃん。どうしたの?」
「どうしたのじゃないですよ。風邪、ひいちゃいますよ?」
「ありがとう、おキヌちゃん」
傘を受け取り―――よく見ると一本しかない。おキヌちゃんも傘の中に入ってくる。
これって相合傘ってやつじゃないか? ―――自問自答してもしょうがない、か・・・
横を向いてみる。
・・・顔が少し赤いのは気のせいだろう。多分。きっと。
しとしとしと。しとしとしと。
世間話をしながら歩く。相槌をうったり、笑ったりしながら―――あれ、どうしてここに俺が居るのがわかったんだ?
「ねぇ、おキヌちゃん。どうして俺がここに居るのわかったの?」
「あ、いえ。私も買い物の帰りで」
確かによくみれば反対側の手で袋を持っている。気がつかなかった。
「あ、それ俺が持つよ。」
「あ、いえ、いいですよ。横島さんにそこまでしもらわなくても」
「いいの、いいの。傘貸してくれたお礼だって。」
そういって、彼女からもらおうとして―――手が触れた。
・・・・・・
・・・・・・
真っ赤になる彼女。さっきとは比較にならないぐらい。―――これも気のせいだ。うん。そうなんだ。
「あ、ごめん」
「い、いえ。きにしないでください」
結局、そのまま帰った。彼女はわかれるまでずっと真っ赤だったけれど。
―――俺って、恵まれてるのかなぁ・・・
何故か、周りに美人が多い。美神さんにおキヌちゃん。シロにタマモ。事務所を離れても、縁のある女は、ほとんど美人だ。
―――でもまだ、忘れない。お前の事は。
まだ時間が足りない。この心を完全に癒すには。
すくなくとも、おキヌちゃんが相手でも、さっきの状況で押し倒すような気にならない駄目だ(ゑ
とりあえず――――
「寝よ」
・・・寝た。
降り続ける雨。ただ、降り続ける。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
2回目の投稿となります。小天狗です。
なんか「寝よ」あたりの文はどっかでみたことあるなぁ・・・と自分でも思いつつ。
あったらすいません。過去ログ広場(斑駒さん、ありがとうございます)で探してはみたんですが、見つかりませんでした(汗
今までの
コメント:
- ああ、ミス発見(汗
気にならない駄目だ>気にならないようでは駄目だ です
こんな短い作品で脱字・・・申し訳ないです(汗 (小天狗)
- おキヌちゃん、可愛いです♪買い物の帰りにあいあい傘、気遣う横島くん。
そして忘れられない人・・・時・・・かあ。ハートフルストーリー、ありがとうございます♪ (えび団子)
- 過去ログ広場では作品の内容にまでキーワード検索をかけることは出来ませんしね(長挨拶)
しかし当該ページが少しでもお役に立てたのであれば何よりです。
横島くんの心模様を表すかのようにハッキリとしない天気、そしてそれを甘受して雨に濡れる横島くん、そしてそしてそれを是としないおキヌちゃん……というのはさすがに深読みしすぎでしょうか(笑)
とはいえ、最後の文が横島くんの中で雨が降り続けていることを象徴的に表し、とりあえず「寝る」横島くんがその現実を直視することを拒んでいるととるなら……
ともかく、底の見えない深さのある投稿でした。
そういえば、もしもどこかで見たようなフレーズを自分が使っていても、ちゃんとそれを自分なりに消化した上で使っていれば特に『真似た』などと気にする必要は無いと思いますよ。 (斑駒)
- はじめまして、小天狗さん。
雨が降っているけれど、こういったあたたかいお話、いいですね。 なんだかんだいって、横島の周りには美人ばかりで恵まれていると思いますけど、その中でもおキヌは最も近くにいる女性の1人なのに、横島は手を出すようなことはしませんよね〜。 もし傘を持ってきたのが美神(ありえないが)だったら、美神におもいっきりセクハラしてどつかれて、水たまりに流血しながら顔を沈めてることでしょう。(笑) ラストの「寝よ」という言葉は、確かに捉え方次第で横島の印象が色々変わります。 色々と、ね☆ (ヴァージニア)
- 初めまして、小天狗さん(^^)
過去の思いを抱きながらも深刻にはならずに、少し淡白にも見える横島が何だか良かったです。
あの場面で現れたのがおキヌでなく、美神でも、シロでも、タマモでも、やり取りに差はあるでしょうが、最後に抱く横島の感情は変わらなかったんだろうなぁと思えます。
それだけ横島の感情は素直に受け入れられるものでした(^^)
投稿お疲れ様です。 (志狗)
- コメントありがとうございました。
はりきってコメント返しをしたいと思います(笑)
>えび団子さま
おキヌちゃん、かわいく見えたでしょうか。会話文が変になってないかと心配していたのですが、そう思っていただけたのなら一安心です(笑)
>斑駒さま
はい。当たっています。雨ということで横島君の心の中を表すのが今回のテーマでした。私自身、そこまで考えては居なかったのですが。(ダメ)
自分なりにそのフレーズは消化できたと思うので、一安心です。 (小天狗)
- >ヴァージニアさま
あったかい話になってるのかな(笑)
押し倒す云々は、心がまだ癒されていないことを表そうとしたのですが、やや文章が足りなかったですね(汗)
>志狗さま
結局、思いを思い出として受け止めるようには時間がかかるということで。
横島君らしくないような感情ですが、受け入れてもらえてもらえてよかったです(^^) (小天狗)
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