ザ・グレート・展開予測ショー

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投稿者名:えび団子
投稿日時:(03/ 7/26)


大きな石版に『桜忍び』と書かれた旅館がある。
外側から見れば単なる木造造りの古い建物である。
周りを小高い木々で囲い、玄関前の池には鯉が数匹泳いでおり夕日が
オレンジ色を反射さして綺麗である。



       〜〜〜〜〜〜〜〜桜忍び観光旅館〜〜〜〜〜〜〜〜



「やっ・・・と、着いたあ〜。」

海からは結構な距離があり随分歩いた。

「綺麗な旅館ですね〜♪」

「えっ、でも古いだろう?」

旅館を真剣そうに見つめる彼女に僕は言った。

「そうですか・・・?私、こう言う旅館は大好きですよ。」

「そうなんだ・・・それは良かった!」

彼女は趣がある風物が好きなようだ。何はともわれ気に入って貰えて良かった。
第二段落突破としておこう!そうして僕らは早速旅館に入った。


    ――――――――ガラララアアァァアアン・・・――――――――


鈴付きのガラス戸が音をたてて開いた。すると40代中頃の女性がいそいそと
やって来た。

「あ〜ら、浪人ちゃんじゃなーい!?」

「お久しぶりです、この間予約してたと思うんだけど・・・」

僕の知り合いの女中さんだ。僕の家の近所に住んでいる人で昔からよくしてもらっている。

「あるわよ♪あっれえ〜、浪人ちゃん女の子連れて来てるのね!もしかして彼女かしら?」

「何言ってんですかっ・・・まだっ、そんなんじゃ!」

彼女も紅顔している、もちろんだ。僕らの関係は友達・・・

「まあ、いいわよ。はいっ、部屋の鍵!」

『405』と書かれたガラス水晶の付いた鉄製の鍵を渡された。

「ありがとうございます♪」

僕と彼女は深く礼をして部屋に向かった。エレベーターがないこの旅館では、
階段を使って最上階の四階に足を運んだ。唯でさえ海で遊んだ疲れと歩いて来た疲れとが折り重なって足が棒のようであった。

「四階にしといてエレベーターくらい付けろよなあ・・・」

「あはは・・・疲れますよね。」

手すりに摑まりながらようやくの思いで登りきった。

「ええと〜、405、405〜っと・・・?」

ドアの前を注意深く見ながら狭い廊下を進む。古い割りには部屋はほぼ満室。

「あっ、ありましたよ!」

彼女が405と書かれた表札の付いた部屋を見つけた。僕は木製のドアの前に立ちはだかり鍵を慎重に入れる。回せば・・・中が見える。彼女と過ごす部屋が・・・
唾を飲み込む。膝が笑っている。打ち勝たねば前に進めない。

「よしっ・・・!!」

ゆっくりと鍵を回す。カチッ・・・乾いた音が廊下に響き渡る。
開いた・・・。僕は緊張していた、この先にあるものに。
覚悟は決めたつもりだ、僕は彼女に何もしないしそんなことはルール違反だ。
しかし、部屋を見て決心が鈍ることはないだろうか?・・・ないさ!!

「それっ!!」

思いっきりドアを開いた。部屋の中は薄暗かった。ふすまが奥の間を隠すように閉まっており現在見えるものは玄関とトイレだけだった。

「じゃあ、入ろうか?」

「は、はいっ・・・」

僕らは奥のふすまを開けた。同時に夕日が射し込んで眩しかった。

「眩しいっ・・・!」

彼女が言った。

「丁度、西側に開けている部屋なんだね。ここからは町が一望できて最高に眺めの良いんだ。」

言葉の通り展望台さながらの眺めである。緑色の水田が鮮やかに映え、
山々では稜線が色を帯び樹木の息吹が聞こえる。光合成から呼吸へ。
活動を休める癒しの変換時間、夕方。鳥、せみの歌声が小さくなっていき、
鈴虫や蛙に主導権が移る。夜の音色に変わりつつある。

「綺麗・・・ですね〜♪」

連れて来て良かった。心底そう思った。

「よいしょっ・・・」

僕は二人分の荷物からやっと開放された。さあ、そろそろ・・・本題って?

「おキヌちゃんっ・・・!?」

彼女が窓を開けて外を眺めていた。オレンジ色・・・哀愁な色。
僕のイメージだ。彼女の顔はとても穏やかだった。夜の序曲風。
彼女の黒髪が夕日を浴びて色を載せる。長髪はゆっくりとゆっくりと・・・舞う。
瞳はずっと前を見つめている。潤いを保ち。



 ――――――――そんな君を見てると、言えないじゃないか――――――――


「あ、あの・・・おキヌちゃん?」

「何ですか・・・?」

聞かなきゃ・・・絶対。

「あ、のさ・・・おキヌちゃんは横島くんのことどう思っている・・・のかな?」

「えっ・・・?!」






               チャンチャン♪続く

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