ザ・グレート・展開予測ショー

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投稿者名:えび団子
投稿日時:(03/ 7/20)


あと何日あるのか?
どれくらい現世に留まれるのか?
いつ逝くのか?
僕の命のカウントダウンが始まった・・・容赦なく。





    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜う、海に来た・・・〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



遂に来た、僕らは。青空が遥か彼方まで延々と伸びている。
太陽が南中して微妙に西に傾いている。波は白く、海の水は透き通り、
沖にいくほど色彩は青に近くなり中間あたりの色が一番綺麗な水色だ。



「うわあ・・・綺麗な海♪」

君の方が綺麗だ・・・おキヌちゃん。口が滑っても言えない、けど言いたい!!

「そうだろ?ここらの海はほぼ自然に近いんだ!」

これだけ綺麗と自然に人は集まって来るもので、観光客は少なからず20人はいた

「でも、人が来るのに全然汚れてないですよね?!」

「うん、こんなに綺麗な海は今じゃ希少価値が高いんだ。だから、徹底したルールがあるんだよ。地元はともかく、観光に訪れる人だってそれくらいは心得て来るんだ。まあ、中にはそう言うのを守らない奴もいるんだけどね。」

おキヌちゃんは黙って浪人さんの話に聞き入っていた。

「守れない奴は、ほらっ!あそこの・・・」

 〜〜〜〜〜〜〜〜海の家『只男』〜〜〜〜〜〜〜〜

古ぼけた木で立て掛けられた板にはそう書かれていた。
ここの海の家には、畳を敷き詰めている座敷。おでん、ラーメン、アイス、
カキ氷その他etc・・・の店。脱衣所にシャワー室。極めつけは水着売店。

「その中でもあの親父。」

煙草を咥えて椅子の深く腰掛けている50代前半の男の姿が。

「あの人・・・ですか?」

「ああ、あの人で30年もここを守ってきたんだ。」

いかにも・・・ってな腕っ節だ。顎にはひげが生え、肌など真っ黒だった。
麦わら帽子を被っていて目元はよく見えない。


「まあ、とりあえず海に入ろうよ。水着買ってさ♪」

「えっ、あ・・・はい。////(ぽっ)」

二人は海の家に入った。片方は嬉しそうに、もう片っ方は恥ずかしそうに。



「すいませ〜ん!!」

僕は椅子にもたれてうたた寝している男に声を掛けた。

「あ〜、はいはい。何ですか?」

サングラスを掛け麦わら帽子を被ったその男はどこか不気味だった。

「おキヌちゃん、何が良い?」

何が良い?と言っても持ち合わせからして高いものは買えないが。

「えっ・・・と?!やっぱり悪いですよ・・・」

遠慮してからか恥ずかしさからか、おキヌちゃんが口にした。

「別に構うことないんだよ、僕は。」

きっぱりと言った。

「えっ、でも・・・」

迷っているらしい。恋人同士でもないと一緒に水着を買うって所には障壁があるのか?

「無理強いは駄目っすよ?あなた??」

いきなり店員の男がしゃしゃり出てきた。

「ぬぬぬ・・・」

何なんだこの男は!?

「やっぱり、その・・・恥ずかしいし。」

頬をピンクに染めて彼女は言った。そんな姿も愛らしく僕の理性の炎に拍車をかける。

「綺麗だと思うけどな・・・。」

なるべく聞こえないように小さく呟いた。俯き加減で。

「えええ・・・////(ぽっ)」

作戦通りだ。彼女の心は動いたみたいだ、この調子で一気にまくし立てる!!

「勘違いしちゃいけないぜ!?その男は唯、自分の欲望の為だけに!私利私欲の為だけにあなたに水着をっ!!」

またも口を挟む店員。一体なんだ?こいつは!?さすがの僕も堪忍袋の緒が切れた

「君は一体どういうつもりだっ!?さっきから!!!!」

更に一言。結果的にはこの言葉が吉を呼んだのだが。

「僕は邪な考えなど抱いてないぞっ!決して。そう思うだろ!?」

おキヌちゃんを見据えて大真面目で言った。

「あ、はい・・・」

押され気味に肯定した。

「じゃあ、これください!!!!」

アドレナリン全開で掴んだ水着を釣りはいらないと言って店員に
金を渡した。後になって恥ずかしさが込上げてきた、女性物の水着を
握っている自分に。

「あ、あの・・・これで良かった?!」

おキヌちゃんに手渡した。

「えっ、ええ。良いですよ?」

問いかけが混じった返答だった。

「あの・・・じゃあ、脱衣所で着替えて来なよ?」

それを聞くと彼女はしばらく考えて脱衣所に向かった。
何故か心配だった。もしかして嫌われた?かと思って。
こいつ強引な奴だなあ・・・とか。いやらしい奴・・・とか。

「あの、浪人さん・・・?」

彼女が振り返り僕を見た。何て言われるんだ?彼女の瞳はどっちとも
言い難い。吉か凶・・・

「これ・・・とっても嬉しいですよ♪」

美しい笑顔だ。同時に僕は、ほっと肩の荷が降りた。

「い、いえ・・・どうも。」






彼女を待っている間さっきの店員を見ていた。どうも気にかかる・・・
どっかで見たことがある。頭のバンダナ。薄汚れたシャツ・・・
ん〜、誰だっけなあ。

「おい、浪人っ・・・!!」

浪人って言う言葉に反応して『僕はもう浪人じゃないっ』と言おうとしたら、(おキヌちゃんは例外♪)僕の眼前に予想だにしない男の姿が映りこんできた。
サングラスも取り、帽子も。シャツからいつの間にか水着に着替えている。

「き、君は・・・!?ありえない!!」

そう、確かに排除したあの少年・・・横島忠夫だったのだ!!

「浪人っ、貴様にはおキヌちゃんは渡さない!世の中奪ったモン勝ちってことを思い知らしてやるっ!」

僕と少年は二度目のバトルに突入していた。

「この野郎っ!おキヌちゃんを返せようっ・・・!!」

(ポカポカ)効果音

「ええい、少年こそ手を引けい・・・!!」

(パコパコ)

低次元の争い。



 ――――――――――タッ、タッ・・・タッ、タッ・・・――――――――――

「お待たせしましたっ・・・♪」

彼女が来た。水着姿で・・・肩にはバスタオルを羽織っているあたりがまるで天女のようで。比喩表現されると美しいものばかりのおキヌちゃん。サンダルも砂に触れるたびに短い音がして海の家独特の新鮮感。砂の香りと塩の香り、おでんの良い匂い・・・そしておキヌちゃんの甘い香り。美神さんとは別のフェロモンを放っている。争っていた二人も一時休戦で・・・

「「き、綺麗だ・・・♪♪」」


おキヌちゃんの詳しい水着の説明は次回です、ちょっと刺激的な水着かも♪



             チャンチャン♪続く

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