ザ・グレート・展開予測ショー

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投稿者名:えび団子
投稿日時:(03/ 7/18)


君には、知ってて欲しい。僕の全てを・・・
君には、見続けて欲しい。永遠の未来を・・・
君には、聴き続けて欲しい。静寂の音色を・・・
君には、感じてて欲しい。五感を総動員して・・・


    ――――――――世界でたった一つのピュアな嘘――――――――




「もうすぐだよ、おキヌちゃん。」

隣に座っている彼女に話しかけるが、窓から見える自然の景色に完璧に魅入っているらしく何を言っても気付かない。まあ、彼女からすればこんな田舎の風景は新鮮なモノがあるのか?おキヌちゃんが住んでいた実家。氷室家はここまでじゃなかったんだろうな。江戸時代の頃は別として、随分都会の空気に慣らされていたからな
やっぱ気持ちいいんだろうな♪

「ぷっ♪」

僕は突拍子もなく笑ってしまった。彼女はまるで、どんなモノにも興味津々で純心で・・・まったく幼い女神様だ♪

「あっ、あれ・・・?!浪人さん何か言いましたか?」

僕の声に今頃気付いたみたいだ。

「もうすぐだよっ。目的地♪」

右手の人指し指を立てて僕は言った。正直少し浮かれてた、彼女と来れた事もあってかな?自分の故郷に戻ることが嬉しかった。今まで故郷にいい思い出などはなかった、だからなおさら。

「本当ですかっ!?早く見てみたいなあ・・・」

汽車が揺れる度に彼女の肩が僕の腕あたりにぶつかる。
ぶつかると表現したのは何分汽車が古くガタがかなりきているのでコーナーでは大きく揺れるからである。お陰で僕は彼女に触れることができ嬉しい限りだが。




『ええ〜、まもなく青空楼忍駅、青空楼忍駅に停車致しま〜す。御降りの方は左側のドアから御降り下さい』


車内にその声が響いた時、彼女が視線を外から僕の方に移してきた。

「着きましたね♪」

「う、うん・・・!!」

僕を見た瞬間、彼女の瞳の色が輝いていたので特別なことを期待していたのだが、
平凡な一言だった。どんな言葉でも彼女が言うと綺麗に聞こえるけど♪



    ――――――――ガララララァアアァラァ・・・――――――――


汽車の左側のドアが開いた。一度開きかけて止まり、再度開く。
ボロイ・・・。僕達は汽車から降りると駅員さんに切符を渡し、
汽車が出発すると僕たち二人は堪えられず笑いだした。

「あははっ・・・昔と変わんないや!」

空はすこぶる晴れている。雲なんて一片もなかった。風が頬を撫でる。
故郷の匂い・・・懐かしい。感慨な気分になっていた僕にもう一つ、
そんな思いをさらに募らせるモノに会った。

『受かったら言えるかもしれない。』

汽車のホームの陸橋の上に石で削り込まれている文字は、どうやら浪人さんが書いたモノのようだ。

「まだ、残ってたのかあ・・・。彼女は元気かなあ・・・?」

「どうかしましたか?」

後ろに立っている彼女がしゃがみ込んでいる僕に言った。彼女の黒髪は、
綺麗に規則正しくなびいていた。

「いや、何でもないよ。」

「?」

遠い話さ。5年前に置き忘れてきた、大きな大きな・・・忘れ物さ。





    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜僕らはこの町にやって来た。〜〜〜〜〜〜〜〜



「わあっ・・・すごい♪」

空は瑞々しい青。風は何の障害物もなしに真っ直ぐ身体を吹き抜ける。
大地は熱く、視界には青と緑のオンパレード。水田の草の匂い。
耳を傾けるとせみの鳴き声が五月蝿い位良く聞こえる。草が擦り合うハーモニー 太陽の光も眩しく僕らを照りつける。自然が僕らを歓迎している。

「気に入ったかいっ?」

自信はあった。良い思い出はあまりないがこの町は好きだ。

「ええ、すっごく♪」

良かった・・・。自信は過信。油断は禁物♪まず第一段階突破ってとこだな!
一応僕のローテーションの中にはこれから2日間で彼女をモノにする計画がある。
現在、13時。まだ今日の行動時間は8時間くらいある!!手持ち金から考えて、
花火祭り大会あたりが今日のメインディッシュになるだろう。しかし、問題が一つある!!前菜は?メインに持って行く前にこれが大事だ。田舎じゃあんまり面白いものはない、ならば自然を組み合わせるしかない!!!!



      ――――――――・・・海しかないっ!!――――――――



って?!水着はどうするっ!!もはや海は没か・・・。
な〜んて事はない、選ぶべき手段はまだある・・・!!
賭けてみせるっ。僕のセンスに・・・


「おキヌちゃん、せっかくだから海に行かないかな?」

下心などまったく・・・な・・・い?はずだ!!

「えっ、あ、あの私・・・水着持ってきてないですよ?!」

慌てている彼女。海に行く気は多分ある!行かない理由を水着がないってことにしているからだ。

「大丈夫、水着の事は何とかなるよっ♪ここまで来て海に行かなきゃもったいないよっ?それに・・・」

「それに・・・?」

彼女が尋ねる。

「正直・・・僕はおキヌちゃんと一緒に海、行きたいし。」

「えっ・・・?!」

彼女の表情が変わる。恥ずかしいのか顔を少し俯けている・・・

「僕は、おキヌちゃんとじゃなきゃ行きたくない。」

     ――――――――自分自身の勇気に感謝だ――――――――

「あ、・・・はい♪」

承諾!やった、言ってみるもんだなあ〜



  ――――――――――――人生の春、夏だけど――――――――――――

             僕らの夏は始まったばかり・・・

              チャンチャン♪続く  

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