ザ・グレート・展開予測ショー

最後のシロタマの惑星(中編)


投稿者名:アフロマシーン改
投稿日時:(03/ 7/18)



ぴと

横島の背中ごしに、まあるいものがくっつくと
耳の中へ熱い息をふきこまれた。

(タマモさん!!)

「うふっ♪こ・う・い・う・こ・と」

(僕は、ぼかーもう、うおおおおお!!横島不肖17歳お願いしまーす!!)

横島はタマモに飛びかかった。



・・・・・・



「こういうことよ」

われに返ると同時に、タマモの冷静な言葉が飛び込んできた。
タマモはバスタブに身を沈めたままだし、
横島は、シャワールームの入り口に座り込んだままだった。

〜幻術〜

「いったいどこからどこまでが真実で、嘘なんです?」


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          シロタマの惑星/帰還



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横島忠夫日誌抜粋

 7月某日

今日、タマモさまは、鞭を振りつつ
「もっと作りなさい!さもなきゃお仕置きよ!」
と私のキツネうどんづくりのモチベーションを高めてくださいました・・・・・・

 7月某日

・・・・・・あぶらあげの材料をとりにいくため、50名のタマモさまと死者の谷へでかけました。
途中怪物に襲われ、私は重症を負いました。
タマモさま達はもったいなくも私に丹念にヒーリングを施してくださいました・・・・・・」



 7月某日深夜・・・・・・


「さて、なんて書こうかな・・・・・・タマモさまはこの夏どこで過ごされるのだろう?忠夫は水着を着て海に行きたいな・・・・・・そしてぐふふふふ」

横島は屋根裏部屋に座って、毎日日記を書いていた。ふだんは到底書く男ではないのだが・・・・・・

カリッカリッ

屋根裏部屋の窓ガラスをひっかく音がする。
横島はタマモとの妄想にふけって気付かない。

ガチャン!!

窓ガラスが割れて、黒い影がいくつも進入してきた。

「先生!!ご無事でござるか!?」

「んっ!?くせものっ!誰だお前ら!?」

くせもの達はシロだった。

「ううっ、やっぱりあの女狐にたぶらかされておるでござる〜」

「先生は操られてござる〜〜!!」

「みな、手はずどおり先生を押さえ込むでござるよ!!」

ドタンバタン!!

「さあ、これを飲むでござる。シロさまゆかりの万能薬”倍羅”でござるぅ!」

「んげ〜〜!!まじ〜〜!」

ワラワラと横島を取り囲んだシロ達が、心配そうな目で横島を見つめていた。

「・・・・・・ハッ!・・・・・・シロ!」

「先生気がついたでござるか!」

「いったい俺は今まで何をしていたんだ?」

横島は床に落ちていた自分の日誌を拾い上げると覗き込んだ。

「なんじゃこりゃ?」

「先生!それは・・・・・・」


「そこまでよ!」

いつのまにか、タマモが姿を現していた。

「あんたたち話をきいて」

「やるでござるか!!上等でござるっ、皆のものかかるでござるよ!!」

シロ達は、タマモに向けて霊波刀をかまえた。

「話を聞けっていってんでしょ!!このバカ犬!」

タマモが怒鳴ると、妖狐の霊波の渦が屋根裏部屋を揺らした。

「ふんっ・・・・・・、少しは静まったようね」

「タマモさ・・・タマモこれはいったいどういうことなんだ!?」

横島はタマモの気色に気押されながらも聞いた。

「俺を操ってどうしようとしたんだ。」

「暇つぶしよ」

「えっ、はあ?」

「だから暇つぶし」

「男はあんただけだしね」

「どういうことでござるぅ!?」

「ぶっちゃけていえば、ここはあたしがつくった世界。正確にいえばこの地球上の知的生命体は、あたしがみなつくったの」

「シロも?」

横島は驚いてシロを指差した。

「そうよ。もっとも実際はシロとあたしの分身のコピーしかつくれなかったけどね。どうしてかしら?種族的な近さのせいかも、バカ犬でもね」

「犬ではないでござる!オオカミでござるぅ!!」

シロ達はめいめい抗議した。
タマモは無視して話を続ける。

「ここは未来の地球。オリジナルの生き物は長生きしたあたしだけ。でも理由はしらないほうがいいわ。だって横島はあたしとまだ出会ってもいないんだから。知ってしまったら帰れなくなるかもよ?」

タマモのクールな表情に、一瞬かげりがよぎった。

「おっ俺に何かできることはないか!?タマモ」

横島は、さんざタマモにたぶらかされたが、タマモをなぜか憎むことができなかった。

「ないわ」

タマモは、再びいつもの冷静な表情に戻るときっぱりことわった。

「あんたをさんざからかって暇つぶしも十分したしね。もうあんたは用済み!さっさと元の場所に帰りなさい!」

「こらっ!タマモ!せっかくの先生の申し出になんて冷たい申し出でござる!!そもそも拙者らはお前に創られた覚えなんかまったくないでござるよ!」

シロ達の文句を、タマモは研ぎ澄まされたポーカーフェイスで一蹴した。

「もう横島がここですることはないのよ!!あんたたち、横島に幸せになってほしいでしょ?」

「うっ、こっここで、拙者たちが先生を幸せにするでござるよ!」

「シロが、シロがいるでしょ?元の世界の横島の大事な・・・・・・」

「ぁ・・・ぅ・・・」

シロ達は黙り込んでしまった。

「せっセンセー〜〜!!」

「せっセンセー〜〜!!」

「ウワーン!せっセンセー〜〜!!」

くーん、くーん、シロ達は甘い声を出して、横島にすがり付いて泣き出した。
やがて夜が明け始めた。

「拙者たち覚悟を決めたでござる!」

「タマモに協力するでござるよ!」

シロ達はかぶりついていた横島の胸から、少し気恥ずかしそうに身を離すと決意を固めた。

「シロ・・・・・、いままでありがとうな?あやうく散歩死しかかったけど、楽しかった!」

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