ザ・グレート・展開予測ショー

ひのめ奮闘記(その33)


投稿者名:ユタ
投稿日時:(03/ 7/18)





二人の戦いはいつから始まったのだろう・・・

一人は己の存在意義を守るため。
一人は相手の存在意義を否定するため。

いや、それだけじゃない。

一方は名家に生まれ、幼き日に霊力を封印されコンプレックスを感じ自分の存在を希薄を感じ、
もう一方も名家に生まれ霊力の資質の高さゆえに苦しみ、さらに母を失う・・・

両者共に苦しみ悲しみを感じここまで来た・・・
努力で才能を開花させた者・・・
才能を努力で伸ばした者・・・




・・・・・・・・・・・・・・・・・・────果たしてその決着は────










「発火能力!?つ、使っていいの!?」

ひのめは素っ頓狂な声で右手首に装着した心眼に声をかけた。
心眼からの提案、それは誇れる特殊能力ながらひのめ自身を幾度と無く危険な目に合わせてきた発火能力の解禁。

「もちろん問題、リスクはあるわさ・・・
 下手すれば・・・・ひのめ、あんた自身が燃えるかもしれない・・・
 それでもいいの?」

半分は脅しの効いたよう言葉だった。
事実心眼は出きれば発火能力を使わせたくはない、まだ修業が足りず心眼がフルに働いても使いこなせるかは微妙。
しかし、このまま戦ってもジリ貧ということは明らか・・・この勝負に賭けるひのめの想いも大切したかったのだ。

「・・・・・・・・」

ひのめはほんの1、2秒だけ考えると・・・

「・・・いいよ」

と、短く答えた。
覚悟は出来た、この勝負は敗けれない敗けたくない敗けるわけにはいかない。
そんなひのめの気持ちが心眼にヒシヒシと伝わってくる。

『はぁ〜、もう少しマシな駆け引きが出来るGSにしようと思ってたのに・・たくぅ』

ブツブツと文句を言いながらも、もし口があれば心眼は少しだけ笑みをこぼしていただろう。
『バカな子ほど可愛い』・・・それに似たような感情だった。

『よし、じゃああたしも頑張って『失敗したらアフロヘア』になるくらいで済むようにしようかねぇ』
「アフロ!!?」

その言葉にひのめは自分がアフロになった姿を思い浮かべてみる・・・

イケてない・・・かなりイケてない。

「シンガンサン、デキレバシッパイシナイデクダサイネ」

『はいはい、あたしに任せればイチローの打率並に成功するわさ』

「うわ〜なら安心♪・・・・・・・ってそれって成功率高いように見えて高くないっ!!」

ギャーギャーと場を忘れて漫才を続ける二人。
そのとき・・・


パン、パン!

響く音、京華が柏手を打つように手を叩いて自分に視線を向けさせた。
その表情は憤怒・・・・ではなく余裕と嘲笑。

「何でもいいけど早くしてくれないかしら?
 今日はこの後屋敷でパーティーがありますから」

(ムカァ!!やっぱ腹立つ────っ!!!)

今の話で自分に発火能力があることを知ったはずなのに、
京華がいまだに余裕の表情を浮かべてることにひのめは少し怒りを覚えた。
制御しきれないかもしれないとはいえレアな能力をも歯牙にかけてない、そんな感じだ。
しかし、

(・・・・発火能力・・・・やはりそういうことでしたの)

京華の内心は違っていた・・・いまだにうっすら残る右足首の火傷。
前にひのめにつかまれたときの手形がまだ残る、あのときから京華は何となくひのめの隠し能力を理解していた。
発火能力・・・・人類史上どれだけの人がその力を持てたのだろうか、いや制御し扱えたのは?
もし目の前の少女がそれをやったら・・・・。言葉とは裏腹に背中に冷や汗がジワァと浮かぶ。
一方そんな京華を放って置くように相談を始めるひのめと心眼。

『いい?まずは封印してる残りの霊力を開放して・・・』

「え!!?まだ霊力残しておいたの!?」

『まあ2割程・・・。勘違いするんじゃないよ?これは制御し切れなくて使わなかっただけだわさ!
 それを開放しなきゃ発火能力が使えないわさ』

「へ?」

『いい?今のあんたじゃ霊力を90%以上開放することが発火能力を使う前提条件、
 慣れれば霊力を押させえつつ、使えたりもすけど今のひのめは『ガー』と力入れて『ガー』と一気に使い果たす・・・
 これしかないわさ』

「長時間は使えないってこと?」

『そういうことだわさ。ま、失敗しないよう祈るしかないわさぁ』

軽く言ってくれる。
ひのめは心眼の言葉に少しだけ顔をしかめるがやがて覚悟が決まったのか・・

「じゃあいっちょやってみますか!」

と、元気よく腕をまくってみせた。


「長かったですわね・・・・」

はんと鼻で笑いながら京華は隙の無い構えを見せる。
それにつられひのめも両肘を腰のあたりで折り静かに瞑想を始めた・・・
精神集中・・・・時間にして5秒くらいだろうか・・・。
その間京華はいっさい攻撃しようとはしなかった。発火能力を侮るわけではないがそれに打ち勝つ自信があるから。

そして心眼とひのめの瞳がカッと見開く!

『ひのめ!いくわさ!!』

「了解!!!」

ひのめが心眼の掛け声に応えた瞬間・・・



ズンッ!!!!!!



まるで自分の周りだけ重力が増大したような感覚に陥るひのめ。
心眼が『80・・・83・・・86%』と言っているが今のひのめはそれを悠長に聞いてる余裕はなかった。

(こ、これが・・・!?ちょ、ちょっと予想外ぃ〜!!)

今は心眼が発火能力発動制御に重点を置いているため本体の霊力制御はほぼひのめまかせになっている。
8割の霊力ならもう自由自在に制御できると思っていたのにそれは思い上がりだった。
心眼のサポートを少し省いただけでその重圧は一気にひのめに襲いかかりさらに霊力と共に上昇していく。
ひのめは自分にこんな力がまだ残っていることに驚きと恐怖、嬉しさと希望・・・様々な感情が入り混じらせるが・・・


『霊力95%開放!!発火能力封印解除!!』
「う、うあああああああぁぁぁぁ────っ!!!!!!!!」



パリ!ピリ!!バリビリっ!

まるで放電のように思念波が周囲に飛び火する。
心眼がなんとか制御しているおかげでそれは小さなものだが、
雑草や緑葉がチリチリと焦げていき、それは京華にも及んだ。

「くっ!・・・・制御しきれてないとはいえ何ていう霊圧ですの!!?」

京華は飛んでくる思念波を弾きながら顔を歪める。
その表情は余裕などない・・・先程キレたときより必死の形相だったかもしれない。

『ひのめ!霊力は血、全身を駆け巡らせるイメージ!!
 精神を集中させ力を上手くためるわさ!!』

「ん、んなこと言ったってぇ!!」

まるで自分の中の血液が熱く沸騰し駆け巡るような感覚、いや、実際にひのめの体温は急激に上昇していた。
今は微熱程度だが少しすれば人間の限界体温を越えるだろう・・・ついにひのめはその苦しさと重圧からガクっと地に膝をついた。

・・・・やっぱりまだ早かったか・・・・

心眼が心で舌打ちをしたとき・・・

「く、くくくく・・・・あははははははははっ!!!!!!」

笑い声・・・
嘲笑とは違う腹から出す声だった。
その主は京華・・・。京華は『くくく』と肩を震わせ右手で顔を覆いながらその視線をひのめに移した。

「な、何がおかしいのよ!!」

「・・・・・・・」

京華はひのめの睨みに対し冷たい視線で返す。
そしてゆっくりとその口を動かした・・・

「これが・・・わたくしが散々求めてた美神の人間なんだなんて・・・笑うしかないでしょ?
 力なく弱く・・・少し手応えが出たかと思えばその力も制御しきれない・・・
 そんなザマで自分も守れず、ただ吠えるだけ・・・・全く・・・・」

京華は冷めた視線で

「・・・・・・・・・・・イライラしますわ」

地に膝をついたままのひのめを見下しながら言った。

屈辱・・・、ひのめがここまで腹が立ったのも人生で数度しかない。
そして何より怒りを覚えたのは・・・・・・・・・己の力すら制御出来ない自分。
京華の言ってることが正しいだけに余計に悔しくて腹立たしい・・・

(悔しい!!悔しい悔しい悔しい!!!
 ・・・何も変わってない!!私は何一つ!!力が無くて、辛くて、悲しくて、泣いて、八つ当たりして・・・
 情けないままだ・・・・努力してるなら・・・・・結果を出す・・・そして!!)

ひのめは身体をブルブルと震わせながらゆっくりと起き上がる。
身体がダルい、重い、息が切れる、視界が歪む、全身が痛い・・・・・・だが、
そんな泣き言はもう十分だった。

「私はあんたに克つっ!!!」

ゴオオォォ!!!!!

ひのめが啖呵を切った瞬間炎が巻き起こりひのめを囲むとしだいにその右手へと集束していく。
炎が包む右手の甲を京華に見えるように構えるひのめ。

「私のこの手が真っ赤に燃えるぅっ!!!!」

本当に燃える右手はひのめの叫びと共にますます火力を上げる。
完璧に制御とは言いづらいかもしれない・・・それでもひのめが劇的進歩を遂げたのは間違いない。
ひのめの炎・・・やがては、業火、猛火、烈火にすら進化するであろう小さな火種がここに誕生した。

それに呼応して



燃えるひのめの瞳・・・





燃えるひのめの魂・・・





燃えるひのめの想い・・・・




燃える・・・・・






























・・・・・・・・・・右手のフィンガーグローブとリストバンド(心眼)

「『あぢゃあああああああぁぁぁぁぁぁ───────────っっ!!!!!』」



涙を滝のように流しながら叫ぶ二人の声が夕陽に照らされる六道女学院にこだました・・・・














                            その34(第二部最終回)に続く



─────────────────────────────────────────────
あとがき

ヒートぉっ!!エンドォォォッ!!!!(挨拶)

今回は分かる人に分かる挨拶とネタでした(笑)
いや、ガン○ムじゃないって言われるけどあの作品好きなんです (ノД`)


というわけで『次回』で第二部『ひのめ激闘編(仮名)』終〜了♪

「第一部はどこじゃボケェ!!」
その1〜その18(だよね?)じゃああ!!!

作者が勝手に決めたんじゃぁぁ!!!
ちなみに副題はそのまんま『第一部・ひのめ落ちこぼれ編』じゃああ!!


あれ?紳士なあとがきにしようと思ったのに・・・^^;
え〜とえ〜と・・・夏祭りの季節ですね・・・・浴衣美人のうなじに萌える季節です!!!(ぉ

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa