Re>お手紙
投稿者名:えび団子
投稿日時:(03/ 7/16)
・・・今のオラは彼女にふさわしい男になっているのだろうか?
はたして彼女はオラを見てどんな反応をするんだろうか・・・?
そんな事ばかりが気にかかる。自分的には以前より確実に前進した気がした!・・・ような?あああ、もう駄目だ。やっぱり会うのをもう少し待ったら良かった・・・!!彼女に一秒でも早く会いたいが為にこんな・・・自分でも情けない
だが、この後に及んでそんな事を言ってられん!僕も男だ、人間だ。彼女のウケウリだけど・・・『人間、頑張ればどんな事だってできる!』そうだ、やるしかないじゃないか!!よーし、うおおおおぉぉおお!!!!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜てな感じで気合入ってたんだけど・・・〜〜〜〜〜〜〜〜〜
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・――――――――――10分後――――――――――
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「この浪人っ・・・てめえ〜!こなくそっ、こなくそっ・・・!!」
「五月蝿いっ!やめろ、この!このっ・・・」
そうなんです。何が何だか分からない内にこの少年が僕のアパートに飛び込んできて彼女との楽しい〜♪そらも〜ごっつ楽しい〜♪ウキウキワクワクを妨害しようとしているんです!この機会を逃したら次がいつあるかわからないだけじゃなく、もし彼女に、もし彼女に男なんかができてしまったら・・・。考えるだけでも恐ろしい。ならば取らざる得ない手段は唯一つ、少年を排除することだ!とうとう回答がでた。ならさっそく・・・
「あ、あれはな〜んだっ?!」
「んっ・・・?」
――――――――掛かった!――――――――
「すまぬなっ!少年―――――!!」
「う、うわっ!!な・・・何すんだ!!??や、やめ・・・モガモガ、モガモガ」
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「ここですか・・・♪浪人さん家は!!」
彼との距離をとうとう約30メートルにまで縮めたおキヌちゃんは、まるで宝物に巡り会った海賊かと思わんばかりに瞳を輝かせ2階建てのアパートを下から上に、上から下にと視線を移していた。そうする内に何故か鼓動が大人しくなっていくのを感じる。しかし、それとは裏腹に逢いたい気持ちはドンドン加速していく。
「す〜は〜。ス〜ハ〜・・・」
ゆっくり深呼吸。落ち着いたら一歩踏み出す、左足、右足っと。彼女にとっての歩くは普通の人がいつも繰り返している歩くとは理屈が違うのである。歩くとは大地を蹴ること。実体のある体を押し進めたり戻したり。そんな平凡で当たり前の動作がとても新鮮で、心地良い。それは、今まで抑えつけられていたモノを全て振り落とすかのような錯覚すら覚える。一歩一歩に・・・
―――――カンカンカンッ・・・―――――
「この階段の先には・・・♪」
結構古びた鉄製の階段を静かに音をたてて上がって行く。階段から空を見てみると雲も多少はあるが、まあだいたい晴れている普通の『晴れ』であった。天気予報では曇りなどと言っていたのを思い出す。『晴れてるじゃないですか♪?』なんて思ったりもする。けど、これからドンドン天気が悪くなるのかって不安や恐怖もあったりする。私と浪人さんも、そんな風に・・・??晴れから曇り・・・雨。のようになってしまうのだろうか・・・?いいえ、そんなことないです!私たち、出逢った時はきっと曇りだったもの!お互いのことを何にも分かってなかったもの・・・
だから、きっと晴れますよ♪今日の『晴れ』じゃなく。いつか来るであろう快晴に ――――一点の曇りもない空に♪―――――
―――――――――カンッ!!―――――――――
最後の一段を上った時の最後の音。左側に振りむくと目の前には年の頃20代前半ぐらいの一人の男性がそこに立っていた・・・。髪型は昔の時とは少し変わっていたけれど、眼鏡は掛けてなかったけれど、確かに彼は・・・
「ろ、浪人・・・さん?」
うつろな瞳で、すこし涙腺が緩んだ瞳でこう言った。手足の震えが止まらない・・
・。治まっていた鼓動までカムバックして来た。
「久しぶりだね・・・オラだよ。」
―――――――――ぶわっ・・・!!――――――――
堪えていたものが一気に溢れ出してきた。自分でも何が何だか分からない。
何故、泣いているのか?何故、嬉しいのにこんなに切ない涙なのか・・・
「浪人さんっ・・・!!!!」
駆け足で駆け寄るおキヌちゃん。早く・・・早く・・・。もう手を伸ばせば届く
距離にまで近寄った時・・・
「浪人さ・・・っ?!」
彼女の体は羽に包まれた。とても温かく優しい羽に・・・。どんなに綺麗な言い回しより、どんなに高価なプレゼントより遥かに重く、神聖な行為。彼の両腕が彼女の背中で交差して両肩を抱く。言葉や物で伝えられない想いが今ここに集結した瞬間だった。
「ありがとう、オラ何かの為に涙さ流してくれて・・・」
もう一つ彼は言い放った。
「逢いたかった・・・あの時しか会ってないのに。なんでだろう、無性に寂しかった。気になった。」
言葉がもどかしい。早く伝えたいのに・・・
「わ、私もです・・・浪人さん!!」
急いで、返答する。そうしないと彼に先を越されそうで・・・
「あ、あの・・・オ、オラ・・・オラ!!」
「浪人さん・・・っ!!!!!!!!」
二人の距離が接近する・・・と、その時!
――――――――じ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ――――――――
「う、うわっ!」
「きゃあっ・・・!?」
あまりに昇天していたので、彼らの背後にいるオジサンに気が付いてなかったのである。二人はすみませんと二度程素早く謝り道を開けた。ここの通路は一人と半分くらいの幅しかないので何かと不便なのである。恥ずかしさと申し訳なさが二人に襲いかかる。と同時に一転して水を打ったように静まり返った。もうオジサンはいない。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
二人ともどうかしてたのだ。会って10秒でメロドラマの世界に入っていたのだから。
「あ、あの〜・・・おキヌちゃん?」
先に口を開いたのは浪人の方で顔が赤くなっている。
「は、はいっ!な・・・なんですか??!!」
おキヌちゃんはおキヌちゃんで浪人よりも頬を紅潮させている。
「どうかしてたね、僕たち。へへへ・・・♪」
「そ、そうですね。えへへ・・・♪」
苦笑いか照れ笑い。
「けど、全然変わりましたね〜浪人さん♪最初、ちょっと戸惑いました。」
「えっ、そうかなあ・・・?今の僕って変かな?!」
彼が一番聞きたかった核心に迫った。どう彼女が答えるかが不安だった・・・
もし変!何て言われたらどうしよう?!それは死刑宣告みたいなもの・・・
頼みます神様、仏様、おキヌちゃん様〜!!どうか、どうか・・・
「・変・ですよ♪」
―――――――――グサアアッ・・・!!!!―――――――――
「ぬおおおおっ・・・!!神様〜・・・」
声にならない叫びをあげたがそれ以上は言えなかった。つーよりも言う気力がなかった。まさに人生最悪の日だった。何もかもが嫌になった。これからのこともどうでもよくなった。
「はははは・・・はあ〜」
生気のない吐息。
「か、勘違いしないでくださいよ!?変って言ったのは浪人さんじゃないみたいってことで前より全然素敵ですよ♪」
――――――――パアアアァアアア・・・―――――――――
「ホントっ!!??」
「本当です♪」
生き返った・・・地獄の狭間から抜け出た感じだ!今日は人生最高の日だ♪
さっきと全然違うがな・・・。
「あ、あのさ・・・ここで行ってておきたいんだけどいいかな?」
「何ですか?」
おキヌの笑顔に安心と不安を見た。これを言うと嫌われるか?いや、この前の手紙からして大丈夫だろ!いや、そんなつもりじゃなかったのかもしれないし・・・
彼は葛藤していた。言うべきか言わざるべきか。唯、普通におキヌちゃんと夏を過ごす、それはそれで良い♪けど、どうせならおキヌちゃんが見たことも聞いたこともない場所に連れて行ってあげたい。邪な考えじゃなく唯、幽霊だったおキヌちゃん。山の神様ってことで縛られていたおキヌちゃん(手紙のやりとりで知った)なら、今なら何処にでも行けるじゃないか!?自分の足で、体で!!そうだろう??
―――――――――言うっ!!―――――――――
「あ、のさ・・・オラの育った町に来て欲しいんだ!!」
言えた!ついに言えた・・・。さあ、どう返ってくる?!
「・・・・・・・・」
黙っている。黙りこくっている。もしかして駄目なのか!?やっぱなあ〜
まあ、最初から分かってたんだけど・・・。
「い・・・・・・・っ!」
『いっ?』来たいのか?かないのか?
「い、行きたいですっ!浪人さんの育った町に♪」
満面の笑みで答えてくれた彼女。心配じゃないのか?この僕を信用してくれているのか?しかし、彼女の表情からは彼の危惧している一片だって見当たらない。
「ありがとう!おキヌちゃん♪」
そうして二人は空港に向かった。席はあるのか?ぶっつけで行って・・・
彼は軽く、そして早く身支度を済ませ部屋に鍵をかけアパートを去った。
誰も彼の鞄の中に航空チケットが二枚予約されていることは知らなかった。
確信犯か彼は?しかし、おキヌを想う彼の気持ちもまたおキヌと同様に強いものが有った・・・。
〜〜〜〜〜Let is go 浪人CITY!!〜〜〜〜〜
――――――――その頃の横島くん・・・――――――――
「あえう、れってえー、ゆうさねえーーーー!!!!」(あいつ、ぜってえー、許さねえーーーー!!!!)
浪人の部屋に体をグルグル巻きにされた横島くんの姿が有ったとさ♪
心残りなのは彼がどうやって浪人の居所をつきとめたのか?
おキヌちゃんしか知らない筈・・・?まあ、いっか♪んなこと。ねっ?
「おほへてろおーーーー!!!!」(おぼえてろおーーーー!!!!)
チャンチャン♪続く
今までの
コメント:
- わっ、続きだっ!(♪)
かつておキヌが、横島以外の人に惚れ込むSSがあっただろうか・・・・・・・・・あるだろうな〜。(笑)
だけどおキヌと浪人さんのカップルは、極めて珍しいですよね。 お互いの逢いたい気持ち、再び出会ってどきどきする気持ち、そして浪人の精一杯の告白、ひしひしと伝わってきました。 なにせ文通を行ってたとはいえ、2度目の出会いですでに両想い状態ですから。 これは横島、三角関係にすら成りえていない、ていうかおキヌの眼中にないですね。 横島を気にする様子が1つもなく、頭の中は浪人さんのことでいっぱいで・・・・・・哀れ横島。 いや、こんな横島も面白いです〜、ステキなお話ありがとうございました〜♪ (ヴァージニア)
- いや、おキヌちゃんと浪人さんのカップリングにチャレンジした快挙は凄いと思います・・・
でも・・・嫌だぁぁ!! (ノД`)
おキヌちゃんがあんな奴(←失礼)の物になるんてぇぇ!!
何よりも何かいきなりすぎて・・・・_| ̄|○
今後そういうとこも明かされるのでしょうか?
それとも凄いオチがあるんでしょうか?
今の心境は
「横島!!奴を亡き者にしてやれぇぇ!!ヽ(`Д´)ノ」
って感じです(笑) (ユタ)
- まずはありがとうございます!ヴァージニアさん♪え〜と、続き書いてみました!!何はともわれ当初一話完結ものが早2話目・・・(笑)何か自分的妄想世界に入りつつあるみたいです・・・。唯、何故横島くんが眼中にないのかなどの質問に対しては、確かにおキヌちゃんは横島くんに好意を抱いてますが〜。横島くんのお母さんが出てくる話(うる覚え)で何か好きだけど〜何かよく分からないっぽいこと言ってたような?(う、うる覚えですので)だから浪人さんが良いかな?みたいなです(汗) (えび団子)
- ユタさん、コメントありがとうございます♪あ、あの〜実は反対票が初めて何で見た瞬間に全身が固まりました(笑)ど、どんな事が書かれているんだあー!って感じでびびりまくってました・・・(汗)けど、何事も経験です!私はユタさんに感謝しています、次こそは絶対とりますよ?!賛成票♪もちろん凄いオチで!(けど、あんまり期待はしないでくださいね?凄いオチとか苦手なもんで) (えび団子)
- たしかにおキヌちゃん浪人に抱きついてましたよね、自分から。横島以外には唯一人。ちょい役のくせに。こーゆーのもありかも!
おもしろいです。新鮮です。びっくりしました。
しかし浪人よ調子にのるなよ!ちょい役におキヌちゃんはゆるされないのだー!続編期待してます。オチとやらにも! (なかんだかり)
- 初めまして&コメントありがとうございます♪なかんだかりさん!!
へへへ・・・へ♪新鮮ですか?狙い通りのところなのでとっても嬉しい次第です♪
けど、やっぱちょい役にはメインヒロイン(?)との恋は許されないのか!?
書いてる私にも今のところな〜んも考えてないです(笑)まあ、全ては直感ですよ
ハハハ・・・こんな当たって砕けろな自分が悲しいよお。オチは多分・・・普通かも?凄いかも? (えび団子)
- うふふっ、おキヌちゃんは本当にやさしいですねぇ。浪人の言葉を理解しているようなしていないような仕草が可愛いです♪ 一人称を『僕』にまでしている浪人の変わり様を素直に喜んで、“好奇心から”浪人の育った街を見て“みたい”なんて(自分勝手な解釈ですので、本当に他意はありません)、ああ、可愛いですよう(でろ〜ん)。あの頃の浪人から見れば、おキヌちゃんは天使だったんでしょうねぇ。最後は何としてでもおキヌちゃんを取り戻した横島に拍手です♪(爆)
ということで、まともな判断の出来る状態でなさそうなのでコメントだけ(核爆)。 (マサ)
- マサさん、コメントありがとうございます♪浪人さんの変わり様には私もびっくりとのことです。(何でや)浪人さんが僕と言っており、かなりの変貌です。たまにはオラと言う時がありますんで(結構多用してるかな?オラ)僕とオラを区別して頂くと。誠に勝手ながら頑張ってください!おキヌちゃんは天使ですよね?やっぱ
浪人さんにはもったいないかなあ〜?おキヌちゃんを好きな者にとって、おキヌちゃん=横島くん、ってな概念がすごいようです(泣き)私もおキヌちゃんがたまらないくらい好きなんで・・・。いや、浪人さんならきっと新たな(おキヌちゃん=
浪人さん)NEW ROADを築いてくれることに一時、酔っときます(笑) (えび団子)
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