ザ・グレート・展開予測ショー

彼の大きさ(10−2)


投稿者名:ANDY
投稿日時:(03/ 7/14)

「ほ〜う。何でそう思われたんです?」
 横島の回答に興味を持ったのか、ジャッカルが面白そうに尋ねた。
「いや。あんた、ジャッカルって言ったっけ?ただの勘さ。まあ理由を挙げるとすれば、まだ誰も死人が出てないってとこかな」
「ほう」
「これはこれは」
 横島の言葉に、狂乱角とジャッカルは驚きの声を上げた。
「ちょっと。どういうことよ?」
 なんだか三人しかわからない会話をしていることに不快感を感じ、美神は口を挟んだ。
 気に喰わなかった。つい一年前までは自分の後に、いや、隣を歩いていたはずなのに、何時の間にか自分よりはるか先を歩いているようで。
 だから、少しでも差を縮めるために口を挟んだ。
「おかしいと思いませんでした?」
「だからなにをよ?!」
「何であの六人が一思いに自分達を殺さなかったか、ですよ」
 それを聞き、美神、そしてその話を聞いていた全員が息を呑んだ。
 確かに、おかしかった。
 自分達が全力を出したにもかかわらず、致命傷と呼べる傷をつけることが出来なかった。
 そして、相手はその気になれば自分達を一分とかからずに殺すことが出来たにもかかわらず、殺さなかった。誰一人として。
「そ、それは・・・」
「美神さんたちがあいつらの予測より手ごわかったから、ですか?すいませんけどそれはないですよ。さっき六人を相手にしてわかったんすけど、あいつら一人に対して美神さん三人は最低でも必要な強さでしたよ」
「で、でも・・・」
「でも、一応互角に戦っていた、ですか?それもポーズだったんすよ。よく思い出してください。ジャッカルが何て言っていたか」
 横島の意志の強い瞳を向けられ、美神は思い出してみた。
 そして、気付いた。
 ジャッカルは自分達の前に現れたときに何て言った?
 横島に対して何と言った?
「ま、まさか・・・」
「そう。あいつは選定してたんですよ。あいつの言う実験とやらのためにね」
  パチパチパチ!!
 横島が憮然として言うと同時に、ジャッカルは大げさに拍手を始めた。
「いや〜。素晴らしい!まさか私の目的にすぐ気付かれるとは!!そう。その通りなのですよ、横島さん!!」
 拍手をしながら、ジャッカルは顔に笑みを浮べながら説明を始めた。
「いや〜。私はあなたのことを勘違いしていたようですね。あなたは頭がよく回られる」
「別に。普通に推理しただけだ」
「いやいや。ご謙遜を。そこにおられる美神美智恵さんなんて、初めてお会いしたときにそう説明をしたのに今までお忘れになられていたんですよ」
「ふ〜。もう年かしらね」
「なに言ってんすか、隊長。まだまだ若いくせに」
「ふふ。ありがとう。で、横島君。あなたの推理を聞かせて頂戴」
 美智恵は、横島に続きを促した。なお、その時美智恵の顔がほんのりと赤かったのは怪我による発熱のためだろう。
「ええ。といってもそうたいしたもんじゃないんですよ。まず、相手の実力、または能力を見極めるために互角の戦いをする。その時死闘に近ければ近いほど全部出るんでそれが狙いだったんでしょう。で、この空間になんか違和感を感じません?」
 横島の問いかけに、全員が首をかしげ、すぐに頷いた。
 何時の間にかこの空間に違和感が存在していた。
 その違和感は、まるで自分をどこかに引っ張り連れ去ろうとするようなそんな流れのようなものだ。流れ自体そう強いものではないので誰も今まで気付かなかったが。
「そうね。言われてみると感じるわ」
「ああ。俺も感じるぜ」
「私も」
「拙者も」
「この違和感が俺があいつらを殺さなかった理由ですよ。その流れって、まるで魂を回収しようってしてるように感じません?」
 その言葉を聞き、ジャッカルが浮べていた笑みが凍った。
 それだけで横島の推理がそう的外れでないことがわかった。
「・・・あなた本当に―」
「だ・か・ら、正真正銘横島忠夫だって言ってるだろうが」
 ジャッカルの問いかけに、苦笑しながら横島は答えた。
「で、何の実験なんだ?まあこの違和感で大体わかってるんだが」
「・・・なんだと思います?」
「経験からと素人意見でいいならば。ずばり、何らかのモノにここで死んだ者の能力を移行させようとしてる、だろ?」
 瞳に殺気を乗せて横島はとんでもないことをさらっと言った。
 その言葉を聞き、皆がジャッカルの顔を見つめる。が、そこには凍りついた笑みしかなかった。
「その通りだ」
 このまま無駄に時が過ぎるのでは、と思った矢先に狂乱角の口から横島の仮説を肯定する言葉が出た。
「ちょっとちょっと。狂乱角さん」
「かまわんだろう。わずかな情報でそこまで答えを導き出したのだからな。いまさら隠したところで無駄だ」
「いや、それはそうですけど」
「何か不服か?」
「そりゃ〜不服ですよ。私がどうかっこよく答えようかと考えてたら勝手に答えちゃうんですから」
「・・・そうか」
 目から涙を流しながら詰め寄るジャッカルに対し、さすがの狂乱角も少し引き気味で答えた。
「で?何に入れる予定なんだ?」
「ふふふ。知りたいですか?知りたいですよねえ。しょうがない。教えて差し上げましょう!」
 横島の投げやりな問いかけに、ジャッカルは勢いづいて答えた。
 どうやら今まで言いたくてたまらなかったようだ。
 その証拠に顔が輝いている。
「ここに取り出したるボタンをこのようにすると・・・あ、ポチっとな」
 どこからか取り出したボタンを掛け声と共に押す。
 すると、ジャッカルの上の空間に波紋が発生し始めた。
 そしてその波紋がひときわ大きくなると大きな穴が開き、こことは別の空間につながる穴が開いた。
 そして、その空間の穴にあったのは―

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