ザ・グレート・展開予測ショー

I need you♪


投稿者名:えび団子
投稿日時:(03/ 7/13)

―――――ピピピピピ・・・ピピピピ・・・・――――

時計の短針は5を指し長針は6に向いていた。まだ人々は長い長い夜の
夢から体半分帰って来ている程度の時間である。窓を開けると心地良い風
が頬を撫でた、早朝独特の山の息吹とでも言いようかそんな香りに包まれる。
ちょうど日の出で太陽さんに挨拶を済ました後、網戸に直して隣に眠って
いる姉に・・・

「早苗おねっ・・・ま、いっか。」

せっかくの日曜日だし、このまま寝かしといてあげよう。そんな彼女の優しさ
はあの時のまま。そうすると一人、居間に降りる。母と父はとっくに起床していて
神社の掃除やら何やらと忙しく動く。ここでは彼女の早起きもまんざら早起きで
もない。まあ、家が家だけにしょうがないといえばその一言に尽きるのだが。

「お母さん、朝ご飯作るの手伝おうか?」

母は台所でネギを切っているらしく、匂いが近くに寄ればうっすら薫る。
どうやら味噌汁をこしらえているようだ。今時、朝は「味噌汁」なんて
とこはいくつあるだろう??

「いいよ、いいよ。あんた今日は東京に帰る日だろう?あっちに行ったらまた大変なんだから家にいる間くらいはゆっくりしていきなさいよ♪」

「そ、そうだね。・・・ふぅ・・・・。」

こっちに来てから随分生活のリズムが変わってしまったらしく、朝などは30分
も遅くなった。けど、楽になったって言えばそれまでだけど何かが物足りない。
目まぐるしく動く社会か?刺激のある生活か?仕事・・・?自分の存在する席?
どれも候補としてあながち間違ってはいないのかいるのかは分からないが、これ
だけは、こんな簡単なことだけは自分でも分かる。「大切な人」・・・美神さん
タマモちゃん、シロ・・・あとETC・・・。けど一番逢いたい人は、あの人
―――――「好きな人」―――――?―――――「気になる人」―――――
―――――――――――――「愛する人」―――――――――――――――
言葉では足りないくらい・・・想い。

「逢いたいなぁ・・・」

朝の風はそんな想いを乗せて飛ぶ。どこまでもどこまでも・・・よ
やがて飛び疲れ羽を休める場所になるのは相手のHEART♪
きっと届くその想い。鞄に隠したお弁当も来るべき今日の為。
この長い階段を駆け上がり私を呼びに来てくれる人の為に・・・
きっと、きっと・・・

―――――ピンポーン―――――

「来たんじゃない!?」

「あ、うん・・・。」

ドキドキ、ドキドキ♪

―――――ガチャッ―――――

「お、おキヌちゃん・・・早く事務所に戻って・・・・。」

枯れかけた声で倒れこむ男。全身ズタボロになりながらもその言葉を
残し。東京で何があったかなど容易に想像できる。やっぱり美神除霊
事務所には彼女が必要なのだと。I need you♪

「はい♪」





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