ザ・グレート・展開予測ショー

心霊治療針医師、劉義明、登場!!


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(03/ 7/ 9)

美神令子のプライベート部屋に見かけぬ男が一人、立っていた。
比較的長身である。具体的には175センチといった所か。
顔立ちは30後半で、髪もやや後退しかかっているが、やや額が広いかという程度、
髪の有る場所はやや白色かかってはいるが、たわわであり、未来は十分に有る。
すらりとした体はやせぎすとまでは行かないが、女性的に見えなくも無い。
着ているものが黒色で半そでのワンピース型なのである。
その男がタオルで手を拭いている。
その隣には。
「な、何故!」
特に用事も無く遊びに来た横島をトンカチでたたかれた形相にするのも無理は無い光景であった。
「アンタ!何しに来たのよ!」
声を上げる美神令子、シーツを体に巻きつけているだけである。
「そ、そんな・・美神さんが年上好みとは思っていたけど、昼間からそんな・・」
放心状態の横島であり、彼のオーラは紫色と黒の渦巻き模様である。
「あのなー!私がそんな事をするか!劉さんも言ってよ!」
はいはい、と手を拭きながら名刺を横島に手渡す。
半ば瞳孔がしぼりつつある瞳で手渡された紙を見る。
『心霊治療針医師、劉義明』
とある。
「ん?じゃあオッサンは?」
オッサンとは何よと言いたげな美神であるが、くすと笑った男、針医師が遅らせながらと、頭を下げる。
「初めまして、人様の身体の気を直す仕事をしております劉義明と申します」
なるほど、視界の戻る目を見ると美神令子の寝そべっているベットの隣に有る机に煮沸されたであろう針が多く有る。
「心霊治療針医師?」
昼間からの情事ではないと安心するとこの聞きなれぬ職業に眉がつりあがる。
「はは。基本は普通の針医師、按摩屋とは変わりませんがね」
GSに携わる物、多かれ少なかれ『気』を酷使する事は事実であり、その目に見えぬ物を直す職業者も少なからず存在する。
「ヒーリングとは少々赴きが違います。その技は怪我を治すだけですが、私の場合は、そうですね、
 今はやりのRPGで例えるなら、マジックのポイントを回復する役目とすれば納得いかれますかな?」
「はー、成る程ね」
そうと判れば、横島の胸中、穏やかになる。
「当然ですが、普通の治療も出来ますよ、例えば・・」
と、横島の目をじっと見つめ、
「おや、君は少々寝不足のようだね」
ずばりである、試験期間ということも有り、無駄な抵抗をしきた日々である。
「動かれぬよう」
今までの口調と打って変わって厳しい一言とともに、横島の眉間のやや上に、針を指す。
「ッ痛?」
一瞬ちくりとしたが、なにやら身体が軽くなってくる。
「ほへー?」
旱魃をいれず、針を抜く。
「これは、一時的なものだけどね。眠気は引いたでしょ?あとは、とそこのお嬢さん」
はいっ?と何時来たのやら、お茶請けを持ってきたオキヌちゃんにつかつかと歩み寄り、
「お嬢ちゃんの年頃だからね、そういうこともあるよ」
と、首の後ろに針を刺す。
「きゃっ」
と、可愛い悲鳴を挙げたと思いきや。
「あっ」
己が腰の辺りに手をあてて、
「すいません。ちょっとトイレに・・」
恥ずかしそうに小走りである。
「ふーん。オキヌちゃんの顔を見ただけでわかったんだ。彼女の不調が」
当然ですよととでもいう感じで頷く針医師、劉義明氏である。
「不調とトイレ?」
「女の子の日、といえばわかるかな。ははは」
あっ、と大きな声を上げた横島である。
「では、私の治療はこれで。あぁ、二人の分はサービスしておきますよ。今後とも小見しおりおきを」
と、言いながら針を専用の入れ物に仕舞う。料金は前払いであったらしい。
仕舞い終わる最後に右薬指に指輪を入れたところを見ると既婚者で有ることが言える。
「ご苦労様。劉さん。そういえば、娘さんたち、大きくなったでしょ?」
なんでもない、美神令子の言葉に、このとき初めて本当の笑みが毀れる。
「えぇ。最近はパパ、おとーってもう、可愛い盛りなんですよ!」
と、声がひっくり返る己を振り返り、今度は劉氏がほほを染め、
「では、これで失礼しますよ」
ぱたん、とドアが閉まる。
「つまり、そういうことよ。劉さんは家庭持ちなの」
「まっ、そうでしょうね〜、考えたら美神さんが、昼から男を連れこむなんてねー」
と、心の中で珍しく決めることが、出来た横島であるので、若干の無音が続いて、
「で、私もこの所、気の不調が続いたからね。久しぶりに劉さんにたのんだって事よ」
「ふ〜ん」
と、美神令子を見る目がにやにやしているのは、男ならでは証拠であり。
「何よ!それに女が裸にいる部屋に入ってくるんじゃないの!」
「で、でも劉さんは?」
「当たり前でしょうが!それが仕事なんだがら・・って」
ちらりと見る横島の顔に羨望の眼差しであった事に腹を立てた美神の次行動は今更であるが。
「このアホたん!」
今回は机のアタックであった事だけを筆記しておこう。

さて、そんな事のあった数日後。
「そういえば、ワッシ、劉さんの診療所知ってるかもしらんでスノー」
と、事を話した横島を驚かせたのがタイガーである。
通学路の途中に確かそのような名前の針診療所があったと、記憶を辿り、ピートを引き連れ寄り道する三人の目の前には、
「本当だ、あったよ、タイガー」
やや薄色のこじゃれた建物に、中華風の外看板が目に付く針の診療所と大きく書かれている。
道路に面しており、扉が観音開きの曇りガラスになっているが、
「でも、今日は休診みたいですね」
お断りと、書かれてある札が表に出ているのである。
と、そこに、
「ぱーぱー。あそびにいこー!」
「いこー!」
「いくのー!!」
小さい子供特有のうれしさのあまりに力を振り絞る声が外に漏れる。
それも三つ。
「はいはい、いきまちゅよー!」
と、目じりが下がりっぱなしの劉義明氏がポロシャツ姿で出てくる。
当然、つい昨日見かけた高校生がいることに気が付く。
「おや?君は確か美神さんの事務所の!」
「どうもっす。いや友達が近くに住んでて、ついでに寄りまして」
で、友達のタイガーにピートと紹介する。
「これはご丁寧に。えっと、私の娘達です」
三つ子で有ることは一目瞭然である。
三つ子ちゃん達、お互いの好みも似ているのか、フリフリのワンピースに最近アニメ化したキャラの靴を履いている。
顔立ちも、母親似であるのか、将来を保障された美人であることには間違いない。
三人とも見事なぐらい、同じであるが、
長女、雪子ちゃんが髪をショートヘアーに対し、
次女 月壬ちゃんが、密編み、
三女 華香ちゃんが、やや髪をかき揚気味なので、若干大人らしく見えなくも無い。
「ねーねー。このお兄ちゃんたちと、パパ、お知り合い?」
「うん。ちょっと前にあったことのある人だよ」
長女の質問に答えた父親の言に三つ子は一度ひそひそと相談し、
「ねーぇー。お兄ちゃんたちも一緒に公園いこうよぉ〜」
「そうよ〜」
「そーよー、いこいこ」
頭をかきむしる横島に、苦笑いのタイガー、そして吐息を漏らしたピートであるが。
「うん。お父さんがいいって言ったらね」
一応、父親の意向を尋ねたピートであるが、三つ子の意向が前面に押し出されるのは目に見えている。
ただ、三人とも気が付いていた。
「なぁ、あの子達の着ている服って、アレだよな。ピート」
「中国式ですが、魔よけをモチーフにした形式ですね・・」
「何か、あるかも、知らんですノー」
首を捻る所もあるが、今は子供達のエスコート役にてっせれるかが肝心である。

前編リポート、終

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