ザ・グレート・展開予測ショー

#まりあん一周年記念『ヒト』(前編)


投稿者名:hazuki
投稿日時:(03/ 7/ 3)

その人が、自分の全てだったんだ。




声が、聞こえる。
そこは、既に廃墟と化した町並みだった。
よくある内乱であり、そしてよくあるであろう光景。
そこに住んでいたであろう人は、既に物言わぬ人になっており、かろうじて命が助かったものも地に膝をつき、呆然と虚空を見つめている老人やら、幼子を胸に抱え路頭にまよったように、彷徨う女性など…お世辞にも喜べるものではない。
そして、内乱のどさくさまぎれに、起きる強奪。
あたりにはすすり泣く声と、悲鳴そして怒号で満ち溢れていた。

「…………なんで、こう人間というもんは、進歩がないんじゃろうか…の」

町並みを颯爽と歩きながら、男は言う。
その表情は苦々しげであり、そしてやりきれなさが浮かんでいる。

「イエス・ドクターカオス」

そしてその少し後ろについてくる、女性は無表情のまま頷く。

「馬鹿が多すぎるわい…」

吐き捨てるように、言うその視線の先にいるのは、既に息たえた女性。
腕には、まだ乳飲み子の子供をかかえるように抱きかかえておりその幼子は、まだ息があるらしい。

これも、よくある光景だ。
こんなものを悲しいと思っていては、生きていけない。
周りは自分のことに精一杯で、こんな自分以外の生き物にさける余裕などないのだろう。

(では、ワシは…余裕ががるということじゃろうか…)
口元を歪ませ男は思う。

つと、隣にいる女性が、そんな男の表情を見、息絶えた女性の下へと歩いていった。
ひぃっくと幼子はしゃくりあげながら、も瞳があると、笑う。
とりたてて際立った容姿ではないが、可愛らしい、笑顔である。

その表情を見ながら女性は言う。

「ドクターカオス・マリア・戦闘レベルより・標準生活レベルの・能力への移行を・希望します・マリア・この子死ぬの・嫌」

一瞬、なにを言っているのか、男にはわからなかった。
なぜならば、この女性がそんな希望を言うのは、いままでなかったのだから。
拙い感情を、時々表す事はあったが、それでもこんな風に希望を言う事はなかったのだ。
男性はわれ知らす、心臓を抑えていた。
胸が震えるのだ。

「嫌…か」

「イエス・ドクターカオス」

「マリア…そう言うならば、オマエは自分の言葉に責任を持たねばいけないぞ」

男性はそっと女性の手を外し赤子を抱き上げ、短い祈りの言葉を捧げ言った。

「責任・ですか?」

「ああ…自分の発する言葉に責任を持って生きなければならんのだ」

「イエス」

「オマエはこの命に、責任が取れるか」
半ば自分へと向けるように、男性。

すると、女性は少しの間考え込むように、押し黙っていたが常と変わらぬ声で答えた

「イエス・ドクターカオス・マリア・責任とります・だから・標準レベル・への・メンテナンス・希望・します」



続く

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