ザ・グレート・展開予測ショー

#まりあん一周年記念『手当て』


投稿者名:hazuki
投稿日時:(03/ 6/29)

ぎっこんばったん。

今日も今日とて騒がしい、工事現場。
ドリルの音やら、鉄橋を作る音やらとんでもなく騒がしい。

耳が痛くなるなるような音の中平然と、動き回り、音の中心で働いている。
その男たちの中に、ひとりだけそこに似つかわしくない女性がいた。

全員が汗だくのなか、ひとり涼しい顔で、しかも大の男にも持てないような荷物をかかえている。

すたすたと、歩くそのスピードにも変化がない。

「よーマリア」

その女性に四十を越したと思われる男性が声を掛ける。
長身というわけでは無いが、その分がっちりと横に広く筋肉質だ。
頭には、安全第一のヘルメットを被っており、首には少々黄ばんだタオルで顔の汗を拭いている。
いかついがどこか、愛嬌のある容姿の持ち主である。


するとマリアと呼ばれた女性は振り向き
「はい・なんでしょうか・ミスター親方」

とその容姿とはすこしばかりアンバランスな、平坦な声でそう言った。

「みすたーはいいっていってるのによおお…て、ああカオスのじいさんは今日休みなんだって?」
顎を触りながら照れたように、みすたーおやかた(笑)こと親方は、言う。

すると女性は表情を変えずにけれど、少しだけいつも彼女より少しだけ声を沈ませて
言う。
「はい・ドクターカオス・腰の筋肉・の筋ちがい・ 結合組織の損傷による・腰痛のため・本日は・アパートにて・休養をとってます」

「損傷…??」

「ぎっくり・腰と・言うようです」

そういうと、親方は苦笑してじいさんも歳だからなあと、言う。

まあ歳をとりすぎていると言っても過言では無いが。

「で、おまえさんは心配なんだな」

と言う。

「……はい・ドクターカオスは・マリア・メンテナンス・いつもしてくれる・けれど・マリア・ドクターの・メンテナンス・できない・心配・です」

本当に心配しているかと思われるほどの平坦な声で、けれど人工の瞳の宿る、まがい様も無い心を宿す光が揺れている。

すると親方は、手のひらでタオルをくるくるっと回しすこしばかり困ったように言う。
「別に、めんてなんすってやつを、しないでもいいだろうが、人間額に手をあててもらったり、痛いところをさすってもらうだけでも、いいもんだぞ」

「さする・ですか?」

「おうっ」

と親方は笑う。

「でも・マリア・ドクターカオスに・標準性能ではなく・労働性能へ・メンテナンス・されています・この場合・運動性能50パーセント超・腕力・25パーセントUP・により・人体に・影響の無い範囲で・触れる事・できません」
しょんぼりと顔を下げ、それでも声音は平坦なままマリア。

「手加減すりゃいいじゃねえか」
何をいってるのやらと、親方。


マリアは、がばっとその言葉に顔を上げる。
「手加減・できますか?・そのデータ―・集められますか」

=実験台に、なってくれと言う事である。
うっとその言葉に、親方の言葉が詰まる。
それは勘弁してほしい。つーかしてくれないと困る。
助けを求めるかのように辺りを見回すが、さっきまで聞き耳をたてていたと、思われる連中がいたはずなのに、すでのそやつらはどこにも、いない。

嫌だと言いたいが、目の前のマリアを見るとそれもしのびない。

と、その瞬間目の前になんだかとっても、踏まれても蹴られても大丈夫そーな、少年を見つけた。
親方の長い人生経験に培われた人の見る目は、確かである。

「おーい、そこのバンダナの少年」
と親方。
「え?おれっすか?」
少年こと、被害者一号。
バイトにでもいく途中だろうか?どことなく急いでいるという空気がうかがえる。
「ちょっと可愛いおねーちゃんに触らせてあげれないかなあ?どうしても女の子がオトコノコ(つーか老人?)に触ってみたいそーだ…」
と親方の台詞は最後までいえなかった。

しゅんっと目にもとまらぬ速さで、被害者一号は親方の手を取り
「喜んで」
と言った。


その後、夜の工事現場に喧騒をつんざぐやろーの悲鳴が響き渡ったという。





そしてバイト後アパート内
カオスは、なにやら心地よいものを感じ目を開く。

すると一生懸命に、カオスの額をさすってるマリアが見えたのだ。

「どうしたんじゃ?」

「はい・ミスター親方が・こうすると・すこし痛みが・よくなると・言ってました」

だからしているらしい。

「が、ワシはそんな、力のメンテナンスはしとらんけどなあ」

少しだけ、苦笑しながら言うと。

「はい・適切な・データ―を・とってきました・人は・これくらいが・心地よいと・感じるようです・ドクターカオスも・心地よいと・感じますか?」

その採取された人がどんな目にあったかは置いといて、マリアの心遣いに感謝しながら

「ああ、心地よいぞ」

と言った。
そう言った瞬間

マリアは、その瞳に優しい光をともし


「イエス・ドクターカオス・マリア・手加減・インプットしました」

といった

おわり

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