ザ・グレート・展開予測ショー

どぉなっちゃってるんだよぉ!?


投稿者名:ライス
投稿日時:(03/ 6/29)




 オレ、横島忠夫、17歳は今、信じられない状況に陥っている。





 鏡の前。

 そこに立っているのは、オレの『身体』ではない。












 そこに居るのは美神さんの『身体』。








「どぉなっちゃってるんだよぉ!?」


 美神さんの『声』でオレは叫んだ。オレは頭を抱え、今までのことを思い出してみる。


「まさか………、アレのせいか?」


 話は昨日に遡る。




「いやじゃ〜っ!?」

 厄珍堂の入り口から飛び出す横島。その左足には店の当主、厄珍がしがみ付いている。

「頼むアル!もうボウズにしか、頼ることが出来ないアルよ!!」

「だからって、それとこれは話が別だろーが!!ヤだぞ、また新薬の実験台になるなんて!」

「ありゃ、バレてたアルか。」

「ったりめーだろ!!じゃなきゃ、俺に電話なんかくれるはずもないじゃネェか!!」

「……残念あるネェ、せっかく女にモテモテになる薬を手に入れたアルのに……。」

「飲ませろ!!」

 横島は強引に厄珍が手に持っていた薬を奪うと、そのまま口に放り込んだ。

「……飲んだアルね?」

「おう、ありがとうな。こんな良い薬飲ませてもらって。」

「ワタシ、その薬がモテモテになる薬だなんて、一言も言ってないあるよ?」








「………エ?」





「もちろん、モテモテになる薬なんてのもないアル。こうも見事に引っ掛かってくれるとは、ボウズも間抜けアルな……、ホー、ホッ、ホッ、ホッ……!!」











[[[[[[壊]]]]]]]











 横島は歩き出す。その後ろには瓦礫の山……。



 それが昨日の出来事だった。



 その後も、身体には何の変化も起きなかったから、効き目がなかったんだと思って、そのまま寝たんだっけ。でも、今の状況は違う。ここは美神さんの寝室だ。


 そして、オレは美神さんの『身体』にいる。


 これは喜ぶべきことなのだろ〜か?
 喜んじゃっていいのだろ〜か?
 多分、いいんだろう。


「イヨッシャアァァァァッ!?」

 大声で叫ぶオレ。でも『声』は美神さん。なんか変な気分だ。

 『身体』はなんだか寝汗をかいている。そういや、昨日は蒸し暑かったな……。


 ん?


 これは、もしかして風呂に入れるチャンスでは?


 ……………。






 ここは入るっきゃないでしょう!!!!!!!!!!



 そして『彼』は一目散にバスローブを片手に浴室へ向かった。









































「…………どうなっちゃってるの!?」


 鏡の前で佇む横島の『身体』。頭の中でもう一度整理してみよう。



 私は美神令子で、20歳。
 昨日はさっさとお風呂に入って、上がりの一杯飲んで、何事もなく寝たはずなのに……。
 なのに……



 なんでこのイカ臭いニオイのする横島クンの部屋にいるのよぉ!?


 しかも、横島クンの『身体』で!!



 もう一度、落ち着いて考えてみないと……。

 こんなこと、普通はあり得ない。
 もちろん『普通』ならだわ。
 でも、私はGSだし、こんな状況では驚かない。

 それじゃ、原因を考えてみましょう。

 こんなことして、喜ぶヤツはいないし、何の利益もないわ。
 不測な状況だと考えられるわね……。
 で、今、私は横島クンの『身体』にいるわけで……、



 ………待った。



 今、私が横島クンの『身体』にいるってことは………、





 ……………………。






 大変だわ……、急いで戻らないと!!




 『彼女』は玄関のドアを蹴破ると、事務所へと駆け抜けていった。





 ………浴室の前の洗面所。その洗面所の鏡を目の前に立つ『彼』。

「ついにここまで来てしまった……。」

 鏡の前にいるのは、美神さん。
 しかし、『中身』はオレだ。
 オレは今……、いや、何も言うまい。
 ここは素直に本懐を遂げようじゃないか。

「さぁ、まずは……と。」

 オレはまず『美神さん』の着ているパジャマを脱がすことにした。
 それはもう、ゆっくりとボタンを一つずつ、一つずつ外してゆく。
 段々と見えてくる、その胸の谷間。そして全てのボタンを取り終える。
 そして、今度はズボンの方。これもゆっくりと、ゆっくりと……。
 
 その滑らかで細く美しい足があらわになり、鏡の前に映し出された。
 今度は上のシャツをサッと脱ぎ捨てる。今度はその豊満な胸が現れる。
 ココまで来ると、着ているのは下着のみ。

 オレは全身からこみ上げてくる何かを無理に抑え付けながら、
 まじまじと鏡に映し出される『彼女』の姿を見る。
 さながら今のオレの気分はストリッパーとそれを見ている客の一人二役。
 その艶かしい肢体に顔を紅潮させながら、ポーズをとっている。
 自分でなっといて言うのもなんだが、顔が赤くなってる美神さんも可愛いなぁ……。



 でも、お楽しみはこれからだ。



 まず、オレはブラジャーに手をかけた。
 プチッと、ホックを外すと、それをスルリと、脱がす。
 その代わりに、腕で胸を隠す。胸の感触が伝わってくる。

「やぁ〜らけぇ〜〜〜〜………、」

 そのあまりの柔らかさに一瞬、俺の意識は遠のいた。
 しかし、まだ、先がある。
 いよいよ、オレはパンティへと手を……、




 バギャッ!!




 ドアが蹴破られる音。そして、中に入ってきたのはオレの『身体』。
 オレの『顔』は大分キレた表情をしている。
 それを見て『中』に誰がいるのかはすぐに予想がついた。


 そして、オレは蒼ざめた。もちろん美神さんの『顔』で。


「ヨ〜コ〜シ〜マ〜ァァ〜〜〜〜〜〜ッ!!」

「び、美神さん……!こ、これには深いワケが……。」

「そんなものどうでもいいわ………!!今すぐ、あんたを殺してやるからネェ!?」

 拳をパキポキ鳴らす美神さん。しかし、オレはある事に気付き、開き直った。

「へぇ、いいんですか?自分の『顔』をボコボコにしても……。」

「うっ!!そ、そうだわ……。あんたが私の『身体』にいる限り、こっちは攻撃できない……。どうしたらいいの……?」

「フッ、いくら美神さんでも自分の『顔』を傷つけられないか……。いつも、足蹴にされたり、ケチョンケチョンされてきたが、今日は違う!!美神さんは攻撃したくても攻撃できない!!オレはなにもしなくても、美神さんに勝ったんだ!!フハハハハハハハハハ………。」

「クッ……。」

 高らかに笑うオレ。
 苦虫を噛み潰す美神さん
 何もかもが上手くいった瞬間だった。


 だが、それも一瞬だった。


 それは突然始まった。


「アレ、なんか、いきなり目まいが……、頭もグルグル廻ってるみたいだ……。」
「わ、私も……。」

 二人とも、頭の中がミキサーでかき混ぜられるようにグルグル廻る。
 その後、オレと美神さんはしばらく意識が途絶えた。
 そして、気付いた時には手遅れだった。


「「ハッ!?」」


 オレ達は二人とも白昼夢でも見ていたかのような声を上げて気が付いた。
 気が付くと、目の前には美神さんの姿。
 視点が元の自分のものに戻っていた。
 オレは残念がったが、それを悔やむ時間はなかった。


 なぜなら……、

 
「ヨ・コ・シ・マ・ク・ン・?」

「…………ハ、イ………」

 そこには慈母神像のように微笑みかける美神さん。
 しかし、それは顔だけで、気迫、殺気はまさに鬼神のまさにそれであった。

「さぁて……、この始末、どうしましょうかねぇぇ♪」

「…………………。」

























(以下、とても描写に耐えない残忍、非道、悪意に満ちた拷問が繰り広げられるので、読者の皆様には、美しい音楽と、おキヌちゃんの朝食の調理シーンをお送りいたします。)












「♪フフン〜……」

 エプロン姿で野菜を切るおキヌちゃん。切った野菜はサラダボウルに入れて、ドレッシングをかけて和える。

「え〜と、タマゴ、タマゴ……」

 冷蔵庫を開けるとタマゴを取り出す。次におキヌちゃんはフライパンに油を引き、一回しさせて油を全面に延ばし、そこにタマゴを落とす。タマゴはジュワ〜ッと、音を立てて、白身が固まり、黄身も固まって、目玉焼きを形成させていく。

 目玉焼きが出来ると、次にベーコンを敷いて、ふたたび焼き上げる。その間、コーヒーポッドにあらかじめ粗引いてある、コーヒー豆をセットしておく。パンがトースターから飛び出て、ベーコンも焼き上がる。

 おキヌちゃんは冷蔵庫から牛乳を取り出すとコップに注ぎ、他の料理を皿に盛り付ける。 そしてマーガリン、料理の、のった皿をお盆に置き、食卓へと運ぶ。

 食卓にそれを並び終えると、おキヌちゃんは部屋中に響くように大声で、

「朝ごはんですよ〜〜っ!?」

 と。
























「アラ、朝食が出来たみたいね。………こんな姿じゃなんだし、シャワー浴びるとしますか。」

 美神さんは、そう言って、浴室へと入っていった。

 オレはというと、それを朦朧とした意識の中で、真っ赤になった視界から見ていた気がする。その後、オレは満身創痍の中、仕事にも借り出され、いつもの倍以上の荷物を持たされた。 今回、オレは改めて思い知ったのだった。


 美神さんはやっぱりオニだということ、逆らっても無駄って言うことを。



 そんなことがあったにも関わらず、オレはこの仕事をやっている。



 なんでだろ、マ○なんか?オレ……。




 あ、あと、やっぱり厄珍は殺しに行くことしよう……。



 そんなことを思った朝日の眩しい朝だった。



 〜おしまい〜



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