ザ・グレート・展開予測ショー

横島とメドーサ(5)


投稿者名:横叉
投稿日時:(03/ 6/28)

「そのころ横島は妙神山にちょくちょく修行に出かけていたわ。
上を目指すことは悪いことじゃないから別に止めなかったわ。

そんなある日私達はある人からの依頼で幽霊屋敷の除霊を頼まれたの。
そこで事件は起こったわ。



『幽霊屋敷?』

冴えなさそうな中年の頬のやつれた男がうなづく。

『はい、そうです。
私の屋敷にすっかり幽霊や妖怪などが住み着いてしまって、

おまけにものすごく統率力のある強力な妖怪がいまして、

そのため何人かのGSに頼んだんですがみな帰らぬ人に......。』

『それでギャラはどれほど出していただけるんですか?』

何人かがやられているんだからギャラはかなり出るはず

私はそう確信していた。

『はあ、まあそれほど出せませんが五億くらいならー』

『ご!? 五億!?』

『何よ、横島!別にこの世界じゃ五億なんて珍しい額じゃないわよ。』

『あのー足りませんか?』

『うーん』

私はもうすこし取れそうかどうか依頼者をよく観察した。

(一見みすぼらしく見えるけど着ているものや付けているものは高級品ねえ。
おそらくはどこかの会社の社長ね。今回の件で疲れてみすぼらしく見えるのね。)

(『美神さん、引き受けてあげましょうよ。
なんだか見ていてかわいそうなんですよ。』)

おキヌちゃんが小声でぼそぼそと言ってきた。

(『そうですよ。美神さん。』)

横島も相槌を打つ。

(『何言ってるのよ二人とも。あれはどこかの会社の社長よ。
もうすこし粘れば絶対値依頼額を上げてくるわ。
取れるところからは取らなくちゃ。』)

(『あんた鬼か....。』)

そんな声が聞こえた気がする。

『何か言った横島クン?』

『いえ何も。』

まあ横島は後でぼこぼこにすることにしよう。

『なんでGメンに依頼しないの?』

『えっ!?』

『ちょ、 ちょっとタマモ!?』

『つまり何でタダで依頼出来るGメンじゃなくて
わざわざ民間のしかも高くて有名なこの事務所を選んだのよ。』

『そ... それは....。』

『それにあなたけっこうお金を持っているはずよ。
そんな幽霊屋敷をとっとと捨てて新しい屋敷を建てることだって出来るはずよ。
それをしないのは..... フガフガフガフガ』

『おほほほほほ。すいません。
何ぶん躾の出来ていないもので。』

『考えてみればそうでござるなあ。なんでGメンに依頼し...フガフガフガフガ。』

私は後ろからタマモとシロの口をふさいだ。

(『ちょっと二人とも。
せっかくの依頼をフイにするような真似しないでくれる。』)

(『何でよ。ミカミ。
私は何かありそうだからそれを聞き出そうと。』)

(『そうでござるよ。』)

(『タマモあんた当分油揚げ抜き。
   シロは散歩禁止。』)
『『そ、そんなーーーーーーーーーーー。』』

『あのーさっきの話なんですが
実はGメンにも依頼して除霊をやってもらったんですが...。』

『失敗したのね。』

『はい。』

『ってことは美神さん。その悪霊相当に強いじゃないですか。』

『うーん』 思わず眉間にしわが寄ってしまった。

(GメンがやられるくらいだからBクラスかAクラス、
場合によってはAAクラスの妖怪と見てもいいわ。
これは除霊にかかる費用を考えると5億じゃ割に合わないかも)

『それにその屋敷は亡き妻との大切な思い出なんです。
捨てるなんてことは出来ないんです。
だからいくらかかっても必ず元に戻してみせると誓ったんです。』

『い、いくらかかっても!!。』

このとき自分でも信じられないほど嬉しそうな声を出していたわ。

『えっ..ええ。』

『それじゃあねー、これくら』

桁をもう一桁増やそうと思ったときにおキヌちゃんが後ろから肩をつついた。

(『何よ、おキヌちゃん。』)

(『美神さん あれ以上請求してはいけませんよ。』)

(『何でよ。依頼者がいいといってる以上は私の勝手でしょう。』)

(『美神さんあんまりお金をがめつく稼ぐとまたお母さんにしかられますよ。』)

(うっ.......)

さすがに母親の名前を出されてはかなわない。
しかしそうなると五億円と危険性などで板ばさみになる。
私の頭の中で5億円と危険性が量りにかけられる。
しかしどちらにも振り切れない。

(うーん、五億円か危険性と除霊にかかる費用か)

その悩みを解決させてくれたのは依頼者の鶴の一声だった。

『あのー何でしたら除霊にかかった費用はこちらでお持ちしましょうか。』

『えっ。いいんですか。』

その一言で5億円の方に針は振れた。
いや、正確には振りきった。

『はい。』

『それではお引き受けします。良い結果を期待してお待ちください。』

しかしこのとき私は気付くべきだった。

依頼者の親切すぎる態度とこの後起こる危険な出来事に。

そしてそれこそ横島に本格的な修行を決意させた。

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