やかま椎やつら(10話目Part2)
投稿者名:ライス
投稿日時:(03/ 6/28)
とある喫茶店。
その一席に、ICPO超常犯罪課捜査官、いわゆるオカルトGメンである、西条輝彦、28歳が一服をしていた。
「フゥ……。」
新聞をめくり、コーヒーを啜る。昼の和やかな一時。まだ仕事はあるが、それでもこの一時はそれに変えられないくらい、落ち着いたものであった。
彼らがやって来るまでは。
バリンッ。
ガラスの割れる音。それと同時に店へ転がり込む二人。西条は何かと思い、覗き込む。すると、二人が自分の方に駆け寄ってくる。最初は二人とも黒コゲになっていたので誰かと思っていたが、すぐに横島と弟の秀樹だと分かった。二人とも開口一番、すぐさまこう言った。
「た、助けてくれ〜〜〜っ!?」
「どうしたんだ、二人とも。黒コゲじゃないか?まぁ、お似合いではあるが……、」
「ウルセェ!!今それどころじゃ…………、来たぁぁぁぁぁぁ〜〜〜!?」
「ん、なにがだ………? ……げっ、恵美里ぃ!?」
ゆっくりと、じりじりと喫茶店に入ってきた彼女。その表情は正に……鬼の如き。
「二人とも逃がしませんことよ!?…………え?て、輝彦お兄様!?」
「や、やぁ……、ひっ、久しぶりだね?恵美里……。」
あの沈着冷静な紳士である彼が彼女を前にするとしどろもどろだ。しかしの彼女の顔を先程と打って変わって、嬉嬉として、笑顔に変わる。
「いつに日本に?」
「半年?イヤ、それ以上になるかな?」
「そんなに……、今まで何故黙っていたのですか?」
「いや、その、まぁ……。」
「まぁ、いいですわ!これからはいくらでも会えるんですもの!!これほど嬉しいことはないですわ!?そうだ、これから一緒に遊びましょう!!ね、そうしましょう?」
「い、いや、僕はまだ仕事があるから、また今度に……、」
「…………輝彦お兄様のバカァァァァァッ!?」
彼女はスカートをたくし上げ、素足を見せる。しかし、そこには手榴弾ホルダー、携帯用の小型マシンガンが装備されていた。そして彼女は、残りの手榴弾のピンを衝動のままに全て引き抜き、地面に落としたのだった……。
喫茶店は一瞬にして戦場と化した。
そして、爆発音が街中に鳴り響く。
そして、銃声がけたたましく響き渡る。
そして逃げ出す男が三人。
「こぉんのアホ兄弟!!テメェが頷きゃ、事が済んでたんだぞ!?」
「ス、スマン、横島クン……!!」
「とにかく早く手を打たないと……」
「んも〜、何処行っちゃったのかしら、ヨコシマったら……。」
空を飛ぶルシオラ。横島が待ち合わせのプールにいないので探している。
「全く、アレほど、待っててって言ったのに……、ん?なにかしら、アレ……」
煙が街角、というよりは中央街から出ている。彼女は何かを感じて、その方向へ飛んだ。通りに着くと、そこには道を駆け抜ける三人の人影が。その一人は横島だった。彼女はそこに向かう。
「なにやってるのよ!?プールで待ち合わせって言ったじゃない?」
「あぁ、ルシオラ!悪い、面倒なことに巻き込まれちまって……、そうだ!ルシオラ、後ろから追っかけてくるあの女の子を止めてくれないか?頼む!!」
「えっ、ナニよ、いきなり……」
いきなり言われて困惑する彼女。しかし隣にいた西条兄弟も言う。
「僕達からもお願いします!!」
大の男三人に懇願される。しかもその目はかなり本気だ。すると彼女は、しょうがなさそうに言った
「………もうっ、今回だけだからね?」
そう言うとルシオラは、低空飛行のまま、後方の彼女へと向かう。彼女は爆弾、マシンガンでその、見慣れぬ空飛ぶ女性に応戦する。
「ホーッ、ホホホホホ!!」
飛び交うミサイル、手榴弾。そして彼女の両手にはマシンガン二丁。煙が舞い上がり、視界はかなり悪い。
「これじゃ、埒が明かないわ……。こうなったら……!」
その攻防はすぐに終わった。
痺れを切らしたルシオラが一瞬の隙を突き、彼女の目の前に現れる。そして……、
バチンッ!!
ルシオラは彼女の頬に平手打ちを打つ。一瞬の静寂の後、ルシオラが口を開いた。
「あなたが誰だか知らないけど、ヨコシマを傷つけるヤツは例え、女の子でも容赦しないわよ?」
「………痛い。初めて人に叩かれたわ……。」
「それはあんたがそれ相応のことを……」
ルシオラは彼女を諌めようとする。しかし、彼女の口から意外な言葉が飛び出した
「お姉さま!!」
「え?」
突然、ルシオラを抱きしめる恵美里。そこにいた関係者全員が驚いた。
「ちょっと、アンタ、何を……?」
「私、決めました!!何処のどなたか存じませんが、お姉さまにさせてください!!私、今まで、叱ってく
れる人がいなかったし、お兄様たちには甘えてばっかり。でも、お姉さまは美しい上に、お強く、それに私を叱り付けてくれました……。お姉さまは私が望んでいたお方なのです!!是非とも、お姉さまと呼ばせて下さい!!!」
「え、ちょっ、ちょっと!!私、そんな趣味は……!ねぇ、ヨコシマ、助けてよ!?」
「………どーするよ?」
「う〜ん、恵美里を説得しようにも、後が怖いからなぁ……」
「彼女が飽きるまで待つしかないな。ルシオラには可哀想だが……。」
「そ、そんなぁ!?」
「うふふ……、死んでも離しませんからね?オ・ネ・エ・サ・マ………!」
「いぃやぁぁぁぁぁぁ!?」
こだまするルシオラの叫び声。
こうして一日が過ぎ去ろうとしていた。
それは夏らしく蒸し暑い日であった。
P.S この後、横島はルシオラにボコボコにされました、マル♪
〜おしまい〜
今までの
コメント:
- いやいや、どうも。前回一年ぶり、今回は一週間ぶりかな?とにかく早めの帰還でございます。というか、本気で終わらせるつもりですのでw。
まぁ、西条家に関しては突っ込みなしでw。あと、ルシオラの登場も少なめですね、スミマセン。あ、あと、恵美里はこれ一回限りのゲストキャラです。ご了承を。まぁ、二度も使うと収拾付かなくなるのでw。ま、いっか♪(なにがだ)
とりあえず、前回のコメント返しをします。 (ライス)
- >ろげんろ〜さん
今回は行間空けてみました。どんな感じでしょうか?まぁ、久々の投稿だったので、設定も忘れちゃいますよねぇ。スミマセンでした。頑張って終わらせますので。
>ヴァージニアさん
わざわざ、一話目から読んでいただいてありがとうございます。今となっては初期の方は見るのも恥ずかしいのですけど、読んでいただけて嬉しいです。まぁ、内容は仰るとおり、このような御バカな内容ですので、笑って楽しんでいただけたら幸いです。今度も早めに投稿しますのでお楽しみに。 (ライス)
- 恵美里・・・・・・・・・・・・怖ッ!! アン・ヘルシングちょっと入ってる〜〜〜!!(冷汗)
だれか銃刀法違反で捕まえないのか?ということは置いといて、西条兄弟、苦労してたのね。(哀)
ですが今回の1番の被害者は、やっぱり横島でしょうか? プールに行けずルシオラの水着姿も見られず、
兄弟ゲンカ(恵美里は遊んでいるだけ?)に巻き込まれ、ボコボコにされて・・・(合掌)
・・・恵美里、遊び相手なら冥子がいるぞ。 冥子となら気が会いそうですし、
冥子の式神となら、きっといい遊び相手(いい勝負?)になりますよ♪ 最強のお嬢様対決! (ヴァージニア)
- セーラー服と機関銃!(挨拶)
とにかくこんにちわ。今回は、打って変わって全編ギャグに仕上がっておりますね〜。ヴァージニアさんのお言葉どおり、原作のアン・ヘルシングちゃん(ちゃん?)を彷彿とさせる恵美里が最高でしたw。
PS:恵美里のヴィジュアル・イメーヂについては、原作三十六巻の、タマモが化けた西条の首から下を愛子あたりに置き換えてみるといいかも知れませんよ? 読者の皆様(無責任)w
(ろげ)
- 爆弾娘のキャラって、あんがい見つからないものですね(笑)
とりあえず思いついたのは、女神様のスクルドくらい。
それはともかく、破壊工作をして兄の友人に迷惑かけまくるのは、いかにも『う○星』風のキャラの味が出ていて、面白かったです(^^) (湖畔のスナフキン)
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