ザ・グレート・展開予測ショー

とら、トラ、虎!40) バレンタインの夜


投稿者名:ヴァージニア
投稿日時:(03/ 6/27)


■魔鈴の店■
2月14日、タイガーの退院祝いを魔鈴の店で行っていた。
前回水樹がタイガーに退院祝いの品(チョコレート)を渡した後、女性陣がタイガーの所にやってくる。


「 退院おめでとうございます! タイガーさん! 」
「 タイガーく〜ん、退院おめでと〜。 これどうぞ〜。 」
じわっ
「 ミナサン・・・ありがとう・・・。 」

タイガーに退院祝いの品(チョコレート)を渡すおキヌと冥子。
その様子を見た美神は、おキヌに聞いた。

「 おキヌちゃん、あれ雪之丞にあげるっていってなかったっけ? 」
「 え、ええ、まあ・・・ 」
「 そういえば雪之丞いないわね。 かおりちゃんも・・・! ははん、そういうことね♪ 」
「 そういうことなんです・・・。 」
「 まったく横島のバカはどこでなにしてるのやら―――! 」

横島を思い出し、急に不機嫌になる美神の所に、西条が花束を持ってやってくる。

「 やあ令子ちゃん、チョコレートどうもありがとう! お礼に花を買ってきたよ! 」
「 あら♪ 」

『 み、美神さん・・・(汗) 』

と、おキヌ。
別のテーブルの一角では、一文字と茜、
そして茜の後輩の、パーマをかけた赤髪の由布子と、髪を紫に染めている弥生の4人が話していた。

「 にしても、思った以上に人が集まったなー。
  事務所引越しの時もそうだったけど、ああみえて所長って、意外と人望あったりするのか? 」
「 そうだな。 」

『 もぐもぐ・・・てゆうかみんな騒ぎたいだけじゃない? 』

近くに座っていたタマモはそう思った。 とそこに、唐巣神父が来る。

「 やあ茜君、楽しんでいるかい? 」
「 あ、神父。 このあいだはどうも・・・。 」
「 いえいえ、元気そうでなによりですよ。 」

「 ! 」

茜は立ち上がり、照れながら唐巣に頭を下げると、離れた席に座っていた唐巣の弟子の聖羅がその仕草に反応する。
そして茜の後輩の由布子と弥生が唐巣を見て声をかけてきた。

「 せんぱ〜い、なんなんっスかこのオッサン。 」
「 あ、数学のセンコーにそっくりっスねー。 」
「 !! 」

ぽかぽかっ =☆  =☆

「 てめえら神父に対してなんて口の聞き方しやがるんだ!! ワビをいれねえかコラ!!  」
へこへこっ
「「 す、すんませんでした! 」」
「 どうも、後輩たちが失礼しやした! 」
「 あ、いや〜 そんなにかしこまらなくても・・・(汗) 」

後輩の2人に頭を下げさせる茜。

がしっ ずいずいっ
「 唐巣先生、こっちの席が空いてますわ! 座りましょう! 」
「 あ、ちょっと聖羅君!! 」

聖羅は唐巣の腕を取り、離れた席へ移動しようとした。 すると茜が・・・

「 てめえちょっと待て! 」
「 な! ・・・なんですの? 」

聖羅はビクッとして、唐巣の腕をつかんだまま、茜にゆっくり目線を合わせる。
そして2人は唐巣を挟むような形で互いをにらみ合った。
すると、その異様な気配にあてられた唐巣の額から、一筋の汗が流れる。

『 な、何ですかこのシチュエーションは・・・(汗) 』

現役(何が?)の茜のガン飛ばしに対し、聖羅は霊力で気を保ち、互角に睨み返していた。
そして唐巣は、エミとアンに挟まれてるピートを見て、ようやく彼の気持ちを理解できたとのちに語る。

ざわざわざわ・・・

その一方で一文字は、友人達と話しているタイガーをちらっと見ると、立ち上がって店の出口に向かった。
するとおキヌが一文字に気づいて声をかけた。

「 どうしたんです一文字さん? 」
「 ・・・ヤボ用。 」

そう言うと一文字は、パーティー半ばで魔鈴の店を後にした。


・・・そして2時間後、楽しい時間もすぎ、パーティーは終了した。
みんながそれぞれ徒歩や車で帰宅していく中、
まだ右足が完治しておらず、ギブスをして松葉杖をついたタイガーは、タクシーに乗って自宅へと帰った。




■タイガーの自宅■
松葉杖をつきながら階段を上がり、事務所の上の階にある自宅に入った。
タイガーの自宅は8畳ほどのフローリングの部屋と、3畳の台所、トイレと浴室は分かれている。
広さ的には2階の事務所とそれほど変わらないが、
事務所に入りきれない本や除霊用具など自宅に置いているため、幾分狭く感じられた。
それでもある程度整理されているので、適度に散らかっているといった感じである。

「 う〜〜〜寒いノー。 」

時計の針は10時を回っていた。
タイガーは電灯のスイッチとコタツのスイッチを入れると、
ギブスをした足に注意しながら、タイガーは部屋の真ん中にあるコタツに入る。
そしてコタツの上に置いてあるペットボトルや弁当のカラなどを端によせ、退院祝いの品を紙袋から取りだした。

どさどさっ
「 これは冥子サン、唐巣神父、西条サン、
  これはおキヌちゃん、魔鈴サン水樹サン・・・・・・ 」

タイガーは退院祝いの品を開封して確認する。

「 ・・・・・・え? じょ、女性陣は全員チョコじゃと!?
  退院祝いの日がたまたまバレンタインとはいえこれは・・・!
  義理でもうれしーーー生きててよかったーーー!! 」

嬉し泣きするタイガー。
だが彼は気づいていない。 中には本命チョコも混じってることを。



ピンポ〜〜〜ン



玄関のチャイムが鳴る。

「 どうぞー、開いとるケーン。 」

足のケガのため、身動きがとりにくいタイガーは、コタツに入ったまま叫ぶ。
タイガーのいる部屋と、台所の間にある扉は開けたままにしているので、
タイガーの座ってる場所からは玄関の扉が見えていた。
扉が開くと、そこには白い息を吐く一文字の姿が見えた。

「 よお、元気かタイガー。 」
「 一文字サン! どうしたんじゃこんな遅くに! 」
「 ちょっとな・・・入っていいか? 」
「 ど、どうぞ! 」

一文字の突然の訪問に戸惑うタイガーは、あわててコタツの周りを片付ける。
2階にある事務所にはよく訪問していたが、自宅に女性が訪問して来ることは滅多になく、
一文字もタイガーの部屋にあがるのは、事務所の片付けの時以来であった。
一文字は部屋に上がり、コタツの上のチョコを見る。

「 ・・・へえ〜、結構もらったんだな。 」
「 あ、いや・・・全部義理じゃけんどノ、退院祝いもかねとったし・・・ 」

微妙に焦るタイガー。

「 そうか・・・これもいるか? 」

一文字は手さげ袋の中からチョコを差し出した。

「 い、一文字サン・・・! 」

『 こんな夜遅くにわざわざ渡しに来てくれるとは、これはもう愛の告白と受け取っていいのか!?

  じゃがワシにはエミさんという心に決めた人が・・・・・・・・・じゃが・・・・・・くっ!

  ああああああっ! じゃが嬉しいと思うのは、これは男のサガなのじゃろーか!?

  一文字サンも決して悪くない! いや、むしろ好いとるけど・・・!

  ああ〜っ、ダメジャダメジャ〜〜〜! ワシって意外と優柔不断〜〜〜!

  今のワシにおなごを選ぶ権利なんてないケーーーン!!  』


苦悩するタイガーをよそに、一文字は手さげ袋を逆さにして、
ラッピングされた複数の箱を無造作にコタツの上に取りだした。

どさどさっ

全てチョコだが、その数はタイガーよりも多い。
そして一文字はごく自然に、タイガーと向かい合うように一緒のコタツに入った。
タイガーはチョコの山と、一文字の行為両方に驚いたが、とりあえずチョコの方をたずねた。

「 い、一文字サン、これは? 」
「 全部学校でもらったやつだよ。
  私甘すぎるのはあんまり好きじゃないし、おめえにやるよ。 」
「 やるって・・・ 」
「 勘違いすんな。 私はチョコなんか人のために買ったことねーよ。
  ケッ! どいつもこいつも菓子屋のでっちあげ企画にのせられやがって・・・! 」

一文字はコタツにひじをつき、手の平をあごに当てる。

「 どこかで聞いたセリフジャノー・・・(汗)
  でも学校でもらったって、六女は女子高じゃったはず・・・。 」
「 その女子にもらったんだよ。 まったくなに考えてんだか! 」
「 じゃがワシがもらってもいいのか? チョコを渡してくれた子たちの気持ちを考えると・・・ 」

ため息をつく一文字。

「 ・・・あのなあ、女が女からチョコもらってどうしろっていうんだよ。
  私はこんなに食えねえし、処分に困ってたトコなんだ。 いいから食え。 」
「 そういうことなら・・・
  でもわざわざもってきてくれんでも、魔鈴サンとこで渡してくれれば簡単じゃったのに。 」

一瞬たじろぐ一文字。

「 ま、まあこれはついでだ。 本題はこっち。 」

一文字は、B4サイズの封書をタイガーに差し出した。

「 ・・・開けていいのか? 」
「 ああ。 」

タイガーが開封すると、中には一文字の履歴書・GS資格証明書など、入所に必要な書類がそろっていた。

「 これは・・・ 」
「 前に言ったろ、卒業後はおめえんとこで働かせてくれって。
  ところがおめえは怪我して入院しちまったから、所員募集どころの話じゃなかったろ。
  洋子や水樹も近いうちに履歴書持ってくるはずだぜ。
  4月からは、所員を雇うのはおめえの自由だってエミさん言ってたしな。 」

「 そうかー、一文字サンたちも卒業まであと3週間もないからノー。 」
「 ・・・それでさー、やっぱ入所試験なんかやるのか? 」
「 いや、全然考えとらん。 でも一文字サンたちなら試験をするまでもない。
  GSの資格も持っとるし、むしろこっちからお願いしたいぐらいじゃし・・・ 」

それを聞いた一文字の顔に笑顔がこぼれ、コタツに両手をついてタイガーに詰めよった。

「 じゃあもう正式に決まりってことでいいんだな!? 」
「 あ、ああ、ワシのところでよければ喜んで! 」

微笑むタイガーを間近で見て安心する一文字。

「 よかった〜、これで安心して卒業できるな! 」

どさっ・・・一文字はホッとした様子で、下半身はコタツに入ったまま後ろに倒れ、仰向けになって寝転んだ。


「 頼むぜ所長。 」

「 あ〜、所長はやめてくれんかノー。 一文字サンに言われると、どうもなんか調子が・・・ 」

「 ・・・そっかー。 」

「 ・・・・・・ 」


しばしの沈黙。

チッ・チッ・チッ・・・ 時計の針の音だけが部屋の中に響く。


「 ・・・あのさー、タイガー 」





・・・続く

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