ザ・グレート・展開予測ショー

AFTER DAYS!!(11)<絆>


投稿者名:ハルカ
投稿日時:(03/ 6/27)


「すまない・・・
 今はまだここを離れるわけにはいかないんだ。
 姉さんとパピリオでひとまず脱出して欲しい。」

「な、なんでよ!?
 あいつらの考えくらい分かってるでしょ!!
 神族は私達を生きて返す気なんて無いのよ!?」

ルシオラの驚きの声が響く。
まさか拒絶されるなんて思ってもいなかったから。

「私はこの身をアシュ様に捧げたんだ。
 あの馬鹿な神族どもに絶対にアシュ様を否定なんてさせやしない!!
 どんなに不利な裁判だろうとも私が必ずアシュ様を証明してみせる!!!!
 ・・・・だから、今この場を逃げ出すわけにはいかないんだ。」


ベスパの意志は固い。


そのことはルシオラにも痛いほどに伝わってきた。

だが・・・・だがっ!!
頭ではベスパの決心が理解してもどうしても心では納得できない。
今となってはパピリオを含めたった3人だけの肉親なのだから。


「ルシオラ―――――憶えてるかい?」


ベスパがゆっくりと口を開く。
ゆっくりと・・・・ゆっくりと。赤子を諭すように。

「前に初めて姉さんと戦ったとき・・・・
 ―――――東京から少し離れた隠れ家で姉さんがヨコシマのやつと
 ヤるかヤらないかで戦いになったときのことだよ。
 姉さん、こう言ったね。
 『一度心に決めたら―――――戸惑ったりしない!!』って。
 私だって同じ事さ。
 私の心は―――――アシュ様と供にある。
 今までも・・・・そしてこれからもね。」

納得しきれないルシオラの顔を見てベスパが自分の想いを伝える。




『魂の牢獄』

かつてそう呼ばれる無限の苦しみに耐えきれなくなった魔神がいた。
その魔神は苦しみから抜け出す為に
もがいて・・・・もがいて・・・・・そして安楽の死を選んだ。

その魔神を愛した女がいた。
その女は愛する造物主の願いを叶えるために―――――その愛する造物主を殺した。
女は今も魔神の亡き意志を継いで闘っている。
これ以上『魂の牢獄』に苦しむ存在を生み出さない為に。
―――――愛した魔神と同じ存在を生み出さない為に。



ベスパの決意を聞き、ルシオラは何も言うことができない。
姉妹とは言え本人以外がどうこう言える重さの決意ではないから。












永い沈黙。








永遠にも感じられる沈黙を破ったのは
パピリオの所から帰ってきた眷属だった。

「・・・・・・話は聞いたでちゅよ。
 ベスパちゃん、ルシオラちゃん。
 そうでちゅか、ベスパちゃんは残ることに決めたんでちゅね・・・・」


羽ばたくことを決めた蛍。
決意を胸に残る蜂。

蝶の決断は―――――?


「わたち・・・ずっと決めてた事があるんでちゅ。
 アシュ様が死んじゃってからずっと決めてたことが・・・あるんでちゅ。」






「それは―――――何があっても
 わたちがルシオラちゃんとベスパちゃんを支えようって。
 この世にたった3人しかいない姉妹なんでちゅから。
 辛いとき―――悲しいとき―――
 そばに立ってるだけでもいいでちゅ。
 どんな時でも心の支えになれるようにしようって。
 

 ・・・・・ごめんなちゃい、ルシオラちゃん。
 わたちはベスパちゃんと一緒に残りまちゅ。
 だって、ルシオラちゃんにはヨコチマがいるけど
 ベスパちゃんの心を支える人はもう――――――――――・・・」



―――――蝶は護ることを選んだ。

姉妹の中で誰よりも幼いはずのパピリオが
自分が背負っている不安、恐怖、焦燥・・・すべてを抱えた上で
その小さな手でルシオラやベスパを支えようと言うのだ。










「―――――ごめんなさい・・・
 私、自分のことしか考えてなかった・・・」


ルシオラの頬に一粒の涙が滑り落ちる。


「私・・・・早くこんな所オサラバして
 ヨコシマに逢いに行こうって考えてた・・・・
 パピリオに言われるまで考えもしなかった・・・・ベスパにはもう―――――」


大切な人に二度と会えない・・・その思いは嫌というほど分かってたつもりだった。
私は手に入れた幸せに浮かれてたのかもしれない―――――その為の犠牲も忘れて。


「私も・・・残るわ。
 みんな全員が生き残らなくちゃ意味がないもの。
 それに・・・一番年上の私が支えられっぱなしってわけにもいかないしねっ!!」

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