ザ・グレート・展開予測ショー

出会い


投稿者名:NGK
投稿日時:(03/ 6/26)

雨がザァザァと降り続ける午後。
空は真っ黒。
道は雨水で水びたし。
そんな中、傘を差さずに歩む魔女が一人。

「もうすぐ、大学卒業かぁ・・・」

魔女―――魔鈴は雨をまったく意に介していない様子で呟く。
実際、服は雨で濡れている様子はない。

「シェンナは結婚するって息を撒いているし、ジュネは西条先輩を追っかけてICPOになるって言っているし・・・私は如何しようかな・・・」

魔女としての任務や使命を上のほうから幾つか授かるだろうけれど。

色々考えても特に考え付かない。
思いつくのは友達との思い出。

「う〜ん・・・やっぱり、ちょっと寂しいかな」

やがて訪れる友達との別れ。
二度と合えないことは無かろうが、ちょっと、寂しい。

「オマエ、さびしいの?」

唐突に声がした。
魔鈴は周りに視線を走らせるが声の主は見えない。

「さびしいんだ」

足元を見ると黒い子猫が一匹。
・・・捨て猫だろうか?

「別に、大して寂しくは無いけど・・・」
「ううん、さびしいにきまっているよ。だってひとりだもん」

魔鈴はじっと黒猫を見つめる。
生後、一年にも満たないだろう黒い子猫。

「あなたは一人なの?」
「うん」
「ご主人様は?」
「この間しんじゃった」

よく見ると首輪にご主人様の名前と思しき文字が彫ってある。
世界で五指に入ろうかという老齢の魔女の名前。

「そっか・・・寂しいね」

時々、通り過ぎていく者たちは、猫が喋っている事に驚くが、魔鈴が魔女であることが解ると納得したように去っていく。

「うん。だから、オマエがさびしいならついていってあげてもいいよ」

にゃ と言いながら魔鈴の靴の上に乗る。

「ありがと」

そう言って魔鈴は黒猫を抱きかかえた。

「えっと・・・あなたの名前は何て言うの?」
「ねこ!!」
「あ・・・それが名前なの?」

あまりにそのまま過ぎる、名前。

「わかった。もっといい名前を考えてあげる!」
「ほんと?」


―――黒い子猫が魔鈴の使い魔になるのはもう少し先のことである。




―――おしまい。

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