ザ・グレート・展開予測ショー

とら、トラ、虎!39) バレンタインパーティー


投稿者名:ヴァージニア
投稿日時:(03/ 6/24)


■白井総合病院前■
2月13日、タイガー退院の日。

松葉杖をつき、右足にギブスをいているタイガーと、
退院祝いに来た一文字・茜・水樹・洋子・ピート・愛子、そして医者がいる。

「 ―――というわけで、無茶な除霊はせんように。
  現代医学をもってしても、死んだら治療することは不可能じゃからな。 」
「 タイガー、退院おめでとう! 」

花束を渡す一文字。

「 一文字サン、皆サン・・・ありがとう! 」

「 んじゃ帰ろうぜ! 」
「 タクシーの所に行きましょう! 」
ひょいひょいっ
「 あーちょいまち。 」

手招きする洋子。

「 ? 」
「 はいこれ。 」

洋子はきれいに包装された包みをタイガーに手渡した。



「 チョコや。 明日バレンタインやろ。 」


ぴしっ
「「「「  !!!!  」」」」


タイガー一同、驚き固まる一文字達。


「 うちはこれから親戚の法事に、実家に戻らんといけんのよ。 そやから1日早いけど、それ渡しとくわ。 」
「 ・・・・・・・・・・・・。 」
「 タイガー? 」

ピートが振るえるタイガーの顔を覗き込む。
そして次の瞬間、タイガーは号泣する!

うおおおおおおおおっ
「 この世に生まれて19年!!
  はぢめて・・・・・・初めておなごからチョコをもらった――――っ!!!!!

うおおおおおおおんっ
  いっつもいっつもピートサンが紙袋いっぱいにもらっとるのを横目にみながら、
  わっしはわっしは寂しい思いを!
  横島サンでさえ、おキヌちゃんやら小鳩ちゃんやら何個かもらっとるとゆーのに、
  わっしは・・・・・・わっしは・・・・・・!!
がしっ 
だばだばだばだばだばっ   
  洋子サン、ありがとー!!! 義理でもなんでも、わっしは嬉しいですジャ〜〜〜!!!  」

「 ・・・喜んでもらえて光栄さね。(汗) 」

洋子の肩をおさえ、涙を流して喜ぶタイガー。

ほろっ
《 これも青春よねー。(涙) 》

「 寅吉、エミさんからはもらったことないのか? 」
「 あの人はこういうことに参加する人じゃないケン・・・・・・ 」
「 え? もらってないんですか? 」

ピートが言うとタイガーは沈黙する。 そして沈黙のカウントダウン。



「 ・・・・・・・・・・・・ 」(5)



「 ・・・・・・・・・・・・ 」(4)



「 ・・・・・・・・・・・・ 」(3)



「 ・・・・・・・・・・・・ 」(2)



「 ・・・・・・・・・・・・ 」(1)



ぐおおおおおおおっ
がしっ ぐらんぐらんっ
「「「 なんじゃ、いまの発言は!!??
    ピートサン、あんたまさかエミサンからチョコを―――――!!?? 」」」

「 あ、いや、そのー!!(汗) 」

ピートのからだを揺さぶり、問いつめるタイガー。

《 これはこれで青春よねー。(涙) 》

ハンカチを目にあて、涙をぬぐう愛子であった。





■街路■
その後、一文字と水樹は事務所と自宅のあるビルまでタイガーを送り、一緒に女子寮へと帰っていた。

「 ・・・水樹、おめえは去年タイガーにチョコ渡してねえのか? 」
かあっ
「 あ、あのときは修行修行でそれどころじゃなかったし―――! 」
「 渡す気はあったのか? 」
かあああっ
「 あ、あの頃はまだ、あげようとかどうとかそういうことじゃなくて義理であげようとかも思ったんだけどそれじゃあ抜け駆けみたいでエミさんや一文字さんに悪いと思ってでも一応お世話になってることだし今年はどうしようかな〜って考えたり――― 」 ぶつぶつぶつぶつ・・・

「 あ、春華と聖羅だ。 」

真っ赤になってごにょごにょ言ってる水樹をよそに、
一文字は御菓子屋の店の前で、D組の春華と聖羅がチョコレートを吟味しているのをみつけた。

「 よ、お2人さん何してんだ? 」
「 あら、一文字さんと神野さんじゃない。 珍しい組合せね。 」
「 まーな。 今日はタイガーの退院の日だったんだ。 」
「 そっか、トラ男退院したんだ。 」
「 ああ。 」
「 あんたはトラ男に買っていかないの? 」
「 私? 私はそういうのガラじゃないし・・・。 」
「 でもほらー、あのコ聖羅と一緒にチョコ選んでいるわよ。 」
「 え? 」

キャーキャー 
「 こちらのほうがいいと思いません!? 」
「 ちょっと派手すぎないかなあ? 」

「 ・・・・・・。(汗)」


・・・いつのまにか、水樹は聖羅とチョコレートを吟味していた。






■六道女学院 廊下■
翌日2月14日。 学校の放課後。

「 あのー、これ、受けとってください!! 」
「 あ、ああ・・・。(汗) 」

下級生たちにチョコをもらい、引きつった顔をする一文字。

たたたたっ
「 きゃーっ! 」

走って逃げていく下級生達。 そこにおキヌと弓が来る。

「 一文字さんすごいですね! 今日6個目ですよ! 」
「 まったく、女性には人気あるんですのね。 」
「 はあ〜っ、女子高って奴はなんでこう――― 」
「 でも、もっとうわてがあそこにいるわよ。 」


弓が指す窓の外に女生徒に囲まれているA組の小町がいた。
彼女はすでに、手提げ袋からあふれんばかりのチョコを貰っていた。(彼女については“〜虎!”7話参照)

キャーキャー
    「 小町サマー!! 」
    「 このチョコ受けとってくださーい!! 」
    「 お、おまえら、バレンタインをなんか勘違いしとらんか!?(汗) 」 


「 わっ、ピートさん並ですね! 」
「 あああっ! 歪んでる・・・歪んでるぞこの学校は!! 」

苦悩する一文字。

「 ところで、あなた達は誰かに上げるアテはあるの? 」
「 私はなーし。 」
「 私は毎年横島さんにあげてたんですけど、
  今年はいないですし、同じ事務所仲間の雪之丞さんにあげようかと・・・ 」
ぴくっ
「 氷室さん! ちょっとお話があります! 」
「 は、はい・・・。 」

こそこそと、小声で話すおキヌと弓。

『 はあ〜あ、昨日は洋子があげてたし、水樹もチョコ買ってたしな〜。 ・・・どーしよーかなあ〜。 』

一文字がそんなことを考えてると、突然廊下の奥の方で、女生徒達の騒ぎ方の反応が変わった。
騒ぎの方を見ると、そこには茜が自分の学校の制服のまま、この六道女学院へやってきていたのである。

「 よお、魔理。 ここがおめえの高校か。 」
「 あかね!! 」
「 金かけてんなー、うちの高校とえらい違いだ。 」

茜は興味深そうに周りを見渡していた。

「 おまえ、目立つようなことすんなよ! つーかよく中に入れたな。 」
「 まあな、いいじゃねーか、別に殴りこみにきたわけじゃねーんだからよ。 」
「 ・・・で、なにしにきたんだ。 」
「 朝ガッコにいったら気づいたんだけどよ、今日バレンタインデーだろ。
  そこであたいは考えた。 所長の退院パーティーをやろうかと。 」
「 ・・・バレンタインと何の関係があんだよ。(汗) 」
「 でもいいアイディアですよ! やりましょう! 」
「 おお、賛成してくれるかキヌっち! 」

『 ・・・おキヌちゃんもやる気だし。 てゆーか茜、なんかかわったな。(汗) 』

「 問題はどこでやるかなんだ。 予算もないことだし、人数もどんだけ集まるか・・・ 」
「 あ、それならいい場所がありますよ! 」





・・・・・・で。





■魔法料理 魔鈴 本日貸切■

「 ―――というわけで、タイガーの退院を祝って、 乾杯ーー!!  」


「「「「「   かんぱ―――――い !!!!!   」」」」」


がつがつっ
「 こらうまい! こらうまい! 」
「 あ、それは拙者の肉でござる! 」
「 みなさん、どんどん食べてくださいね〜! 」
《 ・・・もう見慣れた光景だニャ〜。 》

貧とシロが魔鈴の料理にがっつく。
毎度おなじみのように、どんちゃん騒ぎするGSの関係者たち。
そんな中、魔鈴におキヌが礼を言う。

「 ありがとうございます魔鈴さん。 急に無理なお願いしてしまって。 」
「 いいんですよ。
  今日は魔法チョコの販売だけで、夜は休業するつもりでしたし。
  それにこういうことは何度やっても楽しいですもんね! 」

窓側のテーブルでは、ピートの両隣にエミとアン・ヘルシングが座っていた。
エミはピートの口にチョコを入れようとしていた。

「 ピ〜トォ〜! はい、あ〜ん♪ 」
「 ちょ、ちょっとエミさん! 」
「 オバサン! ピートおにーさまから離れなさいよ!! 」
ピクッ
「 誰がオバサンなワケ〜〜〜!(怒) 」
「 エ、エミさん落ちついて・・・!(汗) 」
「 ムネもシリもないガキに言われたかないわよ! 」
ムカッ・・
「 なっ・・・どこ見てるのよ!! ちゃんとあるじゃない!!(怒) 」
「 その程度じゃまだまだね♪ ピートも大人の女のほうがいいわよね〜♪ 」
「 エ、エミさん・・・!(汗) 」
「 ムカーーーッ!! こうなったら“ゴリアテ”を呼んでこのオバサンを・・・! 」
「 あーーーー待った待った! アンちゃん!!(汗) 」

2人にはさまれ、羨ましい立場なのかどうかわからない状態のピート。
とそこに松葉杖をついたタイガーが近づく。

「 エ、エミさん! ワ、ワシにはなんかないかノー! 」
「 ああ、そうね忘れてたわ。 はいこれ。 」

エミは封筒を、中指と人差し指にはさんでタイガーに渡す。

「 これは? 」
「 こないだの旅館の被害請求代。 ちゃんと払っときなさいよ。 」

がんっ☆
タイガーの頭の上にたらいが落ちる。 イメージ的に。

そしてだばだばと泣くタイガーの所に水樹が近づく。

「 あ、あの〜、タイガーさん、これー・・・ /// 」
「 水樹サン、これは・・・ 」

彼女は、綺麗にラッピングされた箱をタイガーに差し出した。
水樹はみるみる顔を赤らめ、鼓動が高まっていく。

「 その〜・・・・・・・えと・・・・あ・・・・・・・・・ /// 」

『 ま、まさか・・・! 』


タイガーもつられてときどきする。
沈黙する2人。
そして水樹は言う。


「 退院祝いです!! 」

「 あ・・・ありがとう・・・。 」

「 え、ええ・・・ 『 私のばかー!!(心泣) 』 」



《 微妙な心境のタイガー、心で泣く水樹さん・・・

  まさに青春真っ盛りよねー! このお話はまだ続きまーす♪ 》

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