ザ・グレート・展開予測ショー

ひのめ奮闘記(その26(A))


投稿者名:ユタ
投稿日時:(03/ 6/19)



心眼によって京華と心を接続されたひのめはゆっくりとまぶたを開けた。
まわりは暗い空間でそこに浮かぶように存在する自分。
ただ暗いだけではなく前から後ろに空間が流れ、ときどき大きな正方形のパネルみたいなものとすれ違った。

『何、ここ?』

『三世院京華の心の世界だわさ』

『え!?決闘は!?私どうなちゃったの!!?』

『心配ないわさ、表の時間じゃ1秒にも満たない時間で戻れるから・・・・・・・・・ほら、見えてきたわさ』

心眼の言葉に視線を移すと一際大きなパネルがひのめに向かって飛んでくる。
このまま行けば間違いなく直撃・・・と、思った瞬間。
ひのめの体は傷つくことなくそのパネルへと吸い込まれていった。










三世院京華・・・15歳。
1999年12月24日生まれ。父・三世院京一、母フラウ・サイトウとの間に生まれた三世院家の令嬢。
しかし、母のフラウは父・京一がイギリスに事業研修出かけ時に作った妾、つまり京華は愛人の子だった。

その後父・京一が病死すると3歳のときに母と共に日本へ呼ばれた。
正妻の三世院和江に子がいないためだった。
はじめはそれは絵に描いたような幸せな生活だった。
豊かで、楽しく、何の苦労もない・・・・・・・・・・・・・・・このまま続けばどんな幸せな未来だろうか。
そう思えた矢先・・・

祖父・三世院京介の日本GS協会からの追放。

これが京華の人生を狂わせていった・・・・・・



三世院家家系図


          京介───妻(故人)
             │
             │
       ────────────────────────
      │                        │
      │                        │
フラウ━━━京一(故人)━━━和江(正妻)         京二━━━妻
    │                            │  
    │                            男児×2  
   京華                            






2005年 11月20日

ひのめがケルベロスに襲われ2年が経ったこの年・・・、日本GS界衝撃が走った。
それは・・・・

長年日本GS界のドンとして君臨してきた『三世院京介』がその権力を剥奪された日。



東京・日本GS協会本部
地上30階のこの巨大な高層ビルの最上階に大会議室。
ここでは今

「もう一度言ってもらおうか・・・美神美智恵クン・・・・・」

静かで太い・・・それでいて通る声がシーンとした大会議室に響いた。
今、この大会議室の円卓にはスーツ、制服、正装と公式の場の服装をした約40人ほどの男女が席についている。
そして一番の上座に座っているのは日本GS協会会長ではない・・・日本GS協会名誉顧問・三世院京介だった。

「はい・・・。西条クン・・・その資料をもう一度貸してくれる?」

「どうぞ」

西条から2、3枚レポートを受け取ると場の緊張が一気に高まる。
この場にいる全員がGS協会、もしくはオカルトGメンの上役、責任者。
その全員が緊張する言葉を美智恵はさらっと言ってのけた。

「三世院京介・・・・右の者今後永久にGS免許、指導の権利を剥奪。
 そして、日本GS協会名誉顧問を解職する」

一枚の紙キレに書いた衝撃の文章。つまりGS界のドンに正面切ってケンカを売っているのだ。
はじめは薄ら笑いを浮かべていた初老の三世院京介だが、やがて怒りを露にて口を開いた。

「ほぉ・・・オカルトGメンの隊長風情がワシの進退を決めようというのか・・・
 はっはっはっ!これは愉快愉快・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・ ・・・・なめるなよ小娘が」

ギロっ。

今年で63歳。
普通なら定年してそろそろ落ちついたであろう年齢。
しかし三世院京介の眼光はそんな甘いものではなかった、
人格はどうあれ長年最強と君臨し、死線を越えてきたその男の視線は並みの者なら喋れなくなってしまうだろう。
だが、美神美智恵は普通ではなかった。

「三世院老・・・・・・・・・あなたは今まで不正にひいきのGS受験者を合格させましたね?
 政界との癒着、過去に行われた禁術、邪法の使用・・・・挙げればまだまだありますよ」

「ふん・・・・・・・・・・そんなこと昔から言われとるわい・・・・いつも証拠がないがのう」

三世院京介はそう言って口元をニヤリと歪めた。
美智恵が言ったことなどいつも通り証拠など潰している、事実を知っている者は金を掴ませ圧力をかける、
これで大抵のことは通ってきた。今回だってそうだ・・・ここにいる半分の者は支配下にいる。
何も危惧することなどない・・・・そう思っていた。
だが・・・

「ではまず・・・・・・・・・GS受験の不正合格の証拠ですが・・・・・・・・後藤田さん?お願いします」

「は、はい・・・」

「!!?」

美智恵に言われて口を開いた男の名を聞いて京介の表情が変わった。
その男は40代くらいでメガネをかけている、そしてGS審査委員会の会長でもあった。
後藤田は京介の視線に怯えながらゆっくり立ち上がると、声を震わせて言った。

「わ、私は・・・・この5年間・・・・・・・三世院老から・・・ゴク・・・・
 に、任意の受験者を合格・・・さ、させろと言われました」

後藤田が述べ終わった瞬間、その体に凄まじいまでプレッシャーかかり思わず腰を抜かすように着席をさせられた。
京介の後藤田を刺す視線の意味するものは『後で覚えているがいい』。

「では・・・・次は5年前に行われた禁術の・・・」

ドンっ!!

「もうよいっ!!」

激昂した声と拳が会議室の円卓を揺らした。
多くの者はその会議室と共に体を震わせ、ある者は顔を伏せ目を上げない。
だが、オカルトGメンチームだけは動じず三世院老のいきり立つ表情を冷静に見つめた。

「こんな奴の言葉が何の証拠になる!!?証言だけでワシを追放出来るとでも思っているのか!!!?」

「まさか」

相手が怒れば、逆に心が落ち着くものだ。
美智恵はふと微笑を浮かべると目で西条に合図を送った。
西条は何も言わず頷くと一枚のフロッピーディスクを会議室のパソコンに差し込み起動させる。
ブラインドとスクリーンを降ろし、部屋の電気を消すと『パチっ』という音のあとにスクリーン様々な数字と文字が浮かんだ。

「こ、これは・・・!?」

三世院老の表情がみるみるうちに青くなっていく。
なぜなら・・・・・・・
そこに写されていたのはおよそ自分が行っていきた違法、禁法の証拠、証言、検証結果の全てが載っていたのだから。
しかも、どれも自分がもみ消し、この世から完全に消えたものまで正確無比に調べてあった。

「現代調査科学と心霊捜査・・・そして私の部下をなめすぎましたね・・・
 苦労はしましたが、私達の力なら調べれないことなんてありませんよ?」

冷ややかで挑発的な美智恵の言葉がブルブルと三世院老の体を震わせる。

「今、この場にいる全員があなたの解任に承諾しています・・・・
 辞任という形なら退職金もでますけど・・・」

ガタンっ!!

上座の椅子が勢いよく引かれたためそのまま壁とぶつかり大きな音となる。
その上座から三世院老は地団駄にも似た足音で会議室を駆けその扉を開いた。
暗い部屋に廊下の光が差し全員が一様に目を細めると・・・

「・・・・・・・美神ぃ・・・貴様だけは絶対に許さぬからなぁっ!!」

それが美神美智恵が聞いた三世院京介最後の言葉だった。








30分後。

日本GS協会本部24階ロビー

「はい、西条クン」

「あ、すみません」

自販機で買った缶コーヒーをソファーに座していた西条は受け取ると一礼してからそのフタを開けた。
一口含みその苦さを堪能してから西条はゆっくりと口を動かす。

「先生・・・・・・・これでいいんですか?三世院老は先生のことを目の敵にしますよ?」

西条は目の前のテーブルに缶を置くと隣に座っている敬師の返事を待った。

「西条クン・・・・・・私は始めから目の敵されるつもりだったのよ・・・」

「え?」

美智恵の言葉に短い驚きの声を漏らす。

「三世院老と繋がっていた役員にこれまでの違法行為を恩赦するかわりに取引を持ちかけて・・・
 上の連中を半ば強制的に説得させて捜査を敢行・・・・・・私のやり方も決してきれいなものではないわ・・・」

「しかし!このまま三世院老が牛耳ってたら日本GS界に未来はなかったはずです!
 確かに・・・・汚い戦略かもしれませんが・・・・・・・僕は・・・・必要悪だと思いたい・・・・・」

最後のほうの言葉は小さいものだった。
今回の目的は巨悪の排除・・・そのために小さな犯罪は見逃し、小悪党を利用する。
必要とあらば金もバラまいた、自分達が持てる権力で黙らせた。
決して真っ白な正義という計画ではなかった。

「私達が正しかったどうかは次世代が決めてくれると思うわ・・・
 少なくとも今回の結果は私は自分が正しいと信じてる・・・」

「先生・・・」

「でも・・・決してきれいなままで終わろうなんて思ってない、三世院老に恨まれるのも当然よ」

美智恵は言い終わると自嘲気味に笑うと立ち上がり缶をゴミ箱へ捨てた。

「じゃあ、西条クン・・・・今日はここまで。明日の朝の会議遅れないように!」

笑顔でと人差し指を立てるとそのまま振り返らずそばの階段を下りていった。
残された西条は視界から消えた師の後姿を思い浮かべまぶたを閉じる。
そしてゆっくりと自分に言い聞かせた。

「僕達は正しい・・・・・・・・・・僕も信じますよ先生・・・・・・・・・」





そして、これより一年・・・
三世院京介はありとあらゆる手で美神潰しを敢行した。
が、いまやGS界を追われたこの男に力はなく、逆に美智恵の持つ権力は伸びていた。
ならば自分を追い詰めた役員のほうに目をつけるが、
そのほとんどは辞職、または退職、転勤と・・・もはや力の届かないところへ行っていた。

ドン!ドン!

「おのれっ!!おのれっ!!」

両の拳を赤絨毯が敷き詰められた私室の机に叩きつける。
この数十年思い通りに行かないことはなかった、名家三世院の嫡男としてこれほどまでの屈辱はない。
怒りが頭をショートさせ、脳を焼く・・・・・・・・・・・怒りは恨みへ恨みは憎しみへと進化し、
そしてついに三世院京介の強烈な野心をさらに変革させることなった。

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