ザ・グレート・展開予測ショー

一緒にいるために。〜志狗さんに捧げます(笑)〜


投稿者名:hazuki
投稿日時:(03/ 6/19)

「こぉんのおおおおおおおおおおおおおおっ」

走りながら、目の前の悪霊に剣を振るう。

隣には一応コンビ(?)を組んでいるタマモは狐火で結界を作っている。

闇に包まれたところにぼうっと、霊破刀が光る。

しゅっと、タマモが指を動かすと同時に炎が動き、シロの突進する場所を空ける。

そこに、最大質量の霊破刀。


ぎゃあああああああああああああああっ

断末魔の声と、音が響き渡った。







「成長したなあ」
しみじみと、壁にもたれかかりながら、横島。

実は今日は始めて、『二人(匹?)だけで』除霊をする日なのだ。

なんだかんだで、実力だけはあるのだが、どうにもこうにも危なっかしい二人だったりする。

が、美神曰く人件費の無駄(そんなものが、この事務所にあるかどうか激しく疑問なのだが)だろうという有りがたいお言葉の元にこーなったわけなのである。

まあ、実力はあるのだし、自分でなんとかするのも覚えないといけないんだよなあと思うし、美神もそう思ってはいるだろう。

(例えお金の次だとしても)

「せんせーっ♪」

ぼんやりとそんなことを思いっていると、ぱたぱたと尻尾を揺らしながらシロが駆け寄ってきたのだ。

「拙者がんばってござるよー♪」

頑張ったんだから誉めて誉めてっといいたげな、得意満面の表情でシロ。

にっと笑うその笑顔が、子供のようにあどけない。

「なぁにいってんの?私のサポートがあったからでしょうーがっ」

とてとてと、その後ろを歩きながらタマモ。

「なにいってるでござるかっ!拙者の霊破刀が勝敗の決め手でござろーがっ」

むうっと頬を膨らませシロ。

「……力押しのばかはこれだからっ」

ふっと額を抑えタマモ。


「二人とも頑張ったじゃねーか」

ぽんっとそんな二人の上に手のひらを載せ横島。

くしゃくしゃっと髪の毛を少々乱暴にかき回し、笑う。

「へへっ」
シロはくしゃっと顔を崩し笑う。

「あれくらい当然よ」
可愛くない事をいうタマモにしても、尻尾が喜びのために激しく左右に揺れてたりする。


「じゃ、やることやったし、帰るか?」

そんな二人の様子に微笑ましいものを感じながら、横島がそう言った瞬間。

くいっと、横島の手のひらをシロが掴んだ。

「ん?なんだ?」

と横島。

シロはにこにことご機嫌な表情で

「拙者もう一人前でござるか?」

と言う。

「んーまあ…なんとか一人前にはなったんじゃねーの」

うーんとしかめっ面で、だけど瞳だけは優しい光を浮かべて、言う。


ぱあっとその言葉にシロは顔を輝かせて、

「じゃあ、拙者せんせーと添い遂げられるで御座るかっ♪」

と、爆弾発言をやってのけた。


うわっとその発言に、顔を手のひらで覆うタマモ。



「はぁ???」

この横島の返答は、至極もっともといっていいだろう。


「あ、アタシ…オアゲ買いに行かないと」

だから先に帰るわねっ
と、まるで運動会の行進のように手足を動かしながら、タマモ。

ちなみにただ今、午前一時である。
こんな時間帯に、おあげを買いに行かないといけない用事なんぞあるわけない。

「またんかいっ!!」

走り出しそうな、タマモの服を掴もうとするが、寸前のところで逃げられる。



「……何をいったんだ一体」
走り去るタマモを見つめながら横島は、そう呟いた。

シロはきょとんっと目を見張り、首をかしげている。
服を掴む手はそのままに、言う。

「駄目でござるか?」

と。

「拙者一生懸命頑ばったでござるけど、駄目でござろうか?」

幾分自信のなさそうな、しょんぼりとした声で言う。

「たまもが、ずうっと一緒にいたいんなら強くならないといけないっていったんで御座る。だから拙者、せんせーを守れるくらい強くなったつもりでござるが」

とつとつと、あどけない声に、強い思いを込めて。

くしゃっと横島は、自分の髪を掻き回し、苦笑する。


「駄目とか、駄目じゃねえよ」


ただ、そーゆうのは違うだろ?
と笑う。

女は男が守るものだし、ずっと一緒に居たいってって理由で強くなるのはおかしいだろと。

(まあ俺の身の回りには、強すぎるくらい強い女性達ばっかだけどなあ)


そう付け加えると、シロはぐっと横島の服を握る手に力を込めてふるふると、首を振った。

「ん?」

「おんなのひとは、そうかもしれないけど、拙者は違うで御座るよ」

「え?」

「拙者は、武士でござるから」

「好きな人は拙者は、守りたいで御座る。一緒に戦いたいでござるっ」

にひっと、特徴的な八重歯を見せ笑う。


「だから、拙者はタマモのいう事が正しいと思ったので御座るが?」


女だから、守られる─そんなことはない。

女だって戦う。

背中を合わせて、血まみれになって、一緒にいる。

安全なところで帰りを待つのではなく、危険なところへ一緒にいく

そうやって一緒にいる。


そのあどけない言葉に隠された情熱に、どくんと、心臓が鳴る。

まっすぐで、あどけない。


だけど嘘のない

純粋な想い


「いや…まあ正しくないとは…」


うーっと、すこしばかり顔を赤く染め横島。


「それともっ拙者まだまだ弱いでござろーかっ」

あわわっと目を白黒させながらシロ。



一緒に、生きたい。


言葉の端々から伝わる感情。


「やっぱし、山に篭って修行せねばいけないだろうかっ!!ああけどそんなことをしたら、拙者の至上の楽しみの散歩がっ」

ぐるぐるとせわしなく表情を動かしながらシロ。


(なんかこれは…)

苦悩しているシロに横島は苦笑しながら、

「ま、とりあえずそれは置いといて、帰るか」

と言った。

てーかふつーに横においていける問題でもないような気がするのだが

まあそれはシロである。

にこっと笑い、


「はいでござるっ」


と返事をした。










(てーか…おれロリコン…ロリなのか…)


シロが走っていった後、顔を抑え横島が赤くなっていたのはここだけの話。

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