君ともう一度出会えたら(06)
投稿者名:湖畔のスナフキン
投稿日時:(03/ 6/18)
『君ともう一度出会えたら』 −06−
「なにーっ! 人気歌手の奈室安美江を狙っているって!」
通信鬼の向こうから、西条が驚く声が聞こえてきた。
「文珠で転生先の計算を狂わせたんです。それでアイツら、美神さんと勘違いして……」
「でもこれはチャンスかもね。戦艦から降りている今が、アイツらを叩くチャンスかも」」
「これから、テレビ局に向かいます」
俺はそこで交信を切った。まだ時間的に余裕があるから、その間に待ち伏せの準備をするだろう。
数時間後、俺とパピリオはテレビ局のスタジオの天井に身を潜めていた。
「さー、ますます盛りあがってきました! 次のゲストは、人気絶好調の『奈室安美江』ちゃんでーーす!」
「キャーー! カワイイ!」
「アミエちゃーーん!」
俺の真下のステージでスモークが舞い上がり、長い茶髪をきれいにカールした奈室安美江が入場してきた。
彼女が入場すると、観客席からどっと声援があがる。
「ポチ、はじめるでちゅよ」
パピリオは懐から一匹の亀を取り出すと、ステージに投げつけた。
ステージにぶつかった亀は、そのまま5mほどの大きさにまで大きくなる。
ギャーーース!
下で巨大化した亀が唸り声をあげると、パピリオは俺の首輪をつかんでステージ上空に飛び出した。
「ジャジャジャジャーーン! パピちゃんの登場でちゅ」
観客の視線が俺とパピリオに集まった。
「せめて覆面を──。これじゃ俺まで悪人と思われちゃうじゃないですか!」
「キャメロン、やっておしまい!」
パピリオの指令で巨大化した亀が、ステージの上にいた司会の男性と女性に襲いかかろうとした時──
「芝居もここまでね!」
司会の男性と女性、それに安美江が覆面を取った。
覆面で変装していたのは、美神と西条、そしておキヌであった。
「オカルトGメン、見参!」
「ギャラリーも全員公安関係者さ!」
観客席にいた観客も覆面を外し、ポケットやバッグの中から拳銃を取り出した。
「結界展開! ヤツらを一歩も外に出すな!」
「結界出力は三千マイト。これでもう、逃げられませんわねーー!」
ヒャクメが意気揚々として、パピリオに告げる。
「全部ワナってわけでちゅか。本物の奈室安美江はどこでちゅ?」
「今頃は安全な場所に退避しているわ。あきらめなさい!」
その時ステージの脇のドアがバタンと開き、着飾った女性とその後ろからスーツ姿の男性が中に入ってきた。
「おはようございます。道が混んでて遅刻しちゃいました!」
どうやら、本物の奈室安美江のようだ。
「え!? な、何かあったんですか?」
奈室安美江はステージ内の緊迫した空気を感じ、一瞬たじろぐ。
「くおらっ! マネージャー、あんた何も聞いてないの!」
「え? え? え?」
マネージャーは何も聞いていないらしく、オロオロとしている。
どうやら連絡にミスがあったようだ。
「なーんだ。そこにいるじゃん!」
パピリオが、リング状の霊力探査装置を投げつけた。
「キャーーッ!」
霊力探査装置が発する衝撃で奈室安美江は気絶し、そのまま倒れ込んでしまった。
「わーっ! 一般市民が!」
「や、やっちまったよ、おい」
俺と西条が驚きの声をあげる。
「霊力22.45マイト、結晶存在せず。あれ!? ハズレでちゅか。それじゃもう用はないから帰るでちゅ」
「このっ! 逃がさないっていってるのよ!」
美神さんがポケットから竜の牙とニーベルンゲンの指輪を取り出すと、長剣と小さめの盾に変化させた。
「パワーは約千マイト、これで互角よ! 小竜姫たちの仇を取ってやる!」
「互角……、なに寝ボケてるんでちゅか」
突進する美神さんの前にキャメロンが立ちふさがると、美神さんめがけて霊波砲を発射した。
ドン!
美神さんはそれを盾で受けとめたが、パワーに圧倒的な差があり弾き飛ばされてしまう。
キャメロンが発射した霊波砲は盾で受け流され方向が変化するが、そのまま建物の壁と結界を突き破ってしまった。
「どうやったか知らないけれど、たかが千マイトでやる気でちゅか? お前なんかウチのペットで十分でちゅ」
パピリオは指を立てて、チッチッと振る。
「あとは頼むでちゅポチ。早目に帰ってくるでちゅよ」
そう言い残すとパピリオは、結界を脱出して引き上げていった。
「結界に穴が──そんな馬鹿な!」
「これだけの結界じゃ、足りないっていうの!」
結界が安々と破られ、西条とヒャクメは動揺を隠せない。
「ヒャクメ! あいつの本当のパワーは!」
「ご、五千くらいです……」
「え!? 単純計算でこっちのパワーの五倍あるじゃないの! 何それ!? 話が違うわーー!」
「そんなこと言ったって……。こうなったら、知恵と度胸で四千マイトの差を埋めてください!」
「そんなに埋まるかーー!」
(続く)
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