ザ・グレート・展開予測ショー

とら、トラ、虎!33) タイガー寅吉除霊事務所


投稿者名:ヴァージニア
投稿日時:(03/ 6/ 8)


タイガーの助手が、白石茜に決定して2週間、タイガーは奔走していた。
事務所の手配、除霊道具の手配、各種書類の手続き、申請、登録・・・
エミにもらった仕事の報酬の180万はあっという間に消え、借金だけが増えていった。
そんなこんながあって、今日、タイガーは事務所に荷物を運んでいた。
エミの事務所や、六女の女子寮などがある町より電車で1時間ほど離れた町の片隅、
築20年、5階建てビルの2階の1室にそれはあった。
そして、横島のアパートにしばらく居候していたタイガーは、
1週間前からこのビルの3階の一室にすんでおり、今日は事務所用具の搬入を行っていた。

窓には【タイガー寅吉除霊事務所】と書かれている。

「 あかねさーん、昼飯買ってきたから食おう! 」
「 あいよー。 」

トラ柄ズボンにTシャツ姿のタイガーは、ダンボールを開封している茜を呼んだ。
茜はGパンにトレーナー姿で、その長い金髪の髪は、ポニーテール状に結んでいた。
もともと怪力のタイガーは、次々と荷物を部屋の中に運び、量も少ないこともあって1時間とかからなかったのである。
2人はダンボールだらけの部屋で、コンビニの弁当を食べていた。

もぐもぐ
「 う・・・やっぱりせまいなー。 エミさんとこみたいに、もっと広いとこ借りられなかったのかよ。 」
がつがつ んぐっ
「 無茶いわんでクレ。 これでもあちこち探してやっと見つけた物件なんジャ。
  それに、この荷物を片付ければ、少しはマシになるじゃろうて。 」
「 ・・・で所長、いつになったら除霊仕事ができるんだ? 」
「 保険の申請とかいろいろあるからノー、依頼自体は今日から受け付けられるが、
  実際に除霊仕事が始められるのは再来週ぐらいじゃろか。 」
「 げっ! じゃあそれまでオフかよ。 」
「 んーあかねサンにはそれまでに、除霊のレクチャーをせんといかんノー。
  エミさんにもらった“獣の笛の魔導書”はもろうとるんじゃろ? ちゃんと読んどるか? 」
「 あんなわけわかんねえ字だらけの本なんて、読めるわけねーだろ! 」
「 エミさんが日本語に訳しとったと思うが・・・。 」
「 訳してたけど、あんなの読んでたら5分で寝ちまうよ。 」

“獣の笛”は、エミがタイガーが精神感能の多用による暴走を抑えるためのマダラ模様の笛のことで、
“獣の笛の魔導書”は、その後エミが茜に貸した、“獣の笛”の使用などについて書かれている魔導書のことである。
その本は難解な文字で書かれているが、エミが茜のために、必要箇所を日本語で訳していた。

「 ・・・頼むからワシの精神を制御する呪文だけは覚えてくれの。
  じゃないと、あかねサンを雇うとる意味がないからノー。 」
「 わあってるよ! 」

タイガーはあっという間に弁当を食べ終わり、ペットボトルのお茶を飲んでいた。 そこに茜がたずねる。

「 ・・・なあ、おめー暴走すると見境なしにセクハラしまくるんだろ? 」
「 まーそうじゃが・・・ 」  
「 普段もなんかやばいことしてんじゃねえだろうな? 」
「 あのなー・・・(汗)
  ワシこの力のせいで、一時期女性恐怖症になっとったんジャぞ。
  それにワシを見たら、たいていのおなごは避けていきおる。 」
「 ふ〜ん。 ・・・<ピンッ>! ねえ、所長〜。 」

何かを思いついた茜は、突然あまい声をあげてタイガーに近づく。 タイガーは少し離れる。

「 な、なんジャ!?(汗) 」
「 給料のことだけど、もう少しあげてくんないかな〜? 」
「 ちょ、ちょっとあかねサン!! 」
「 時給5000円にしてくれたら、あたい、もっとがんばるよ〜。 」

徐々に近づく茜は、タイガーを壁際まで追い込んだ。

「 い、いかんですジャ、こんなこと! 」

ぴと・・・
タイガーに軽く触れる茜。

「 なんなら6000円でもかまわないよ〜。 」
「 増えとるじゃないか! 」
「 細かいことはいいの! それより給料〜。 」
「 やめてくださレ! こんなとこ誰かに見られたら――― 」 <がちゃっ>

入り口の戸が開き、一文字、水樹、洋子が入ってくる。

「 いやー、やっと見つけたぜ。 」
「 だから信号の所で右に曲がっとけばよかったじゃない! 」
「 そやからもう、済んだことはええやんか。 」

「「「  !!??  」」」

ダンボールだらけの中で、タイガーに抱きついてる茜を見つける3人。

「 ち、違うんですジャ! これは・・・・・・!!(汗) 」
「 ちっ! 」

















―――10分後。

むかーっ
「 ・・・・・・・・・・・・。 」
ぶすーっ
「 ・・・・・・・・・。 」

機嫌の悪い一文字と、目に涙をためた水樹。 タイガーは精神的ダメージを受けていた。
タイガーと茜、六道女学院の3人は、ダンボールだらけの中、狭いスペースの中で囲むように座っていた。
しばらく沈黙が続いた後、洋子が茜に言った。

「 ・・・まあ、あんたも悪さすぎんようにな。 」
「 ・・・ちっ、もう少しで給料UPしてたのによ。 」
「 なんだと!? 」
「 待ちいて。 今日は寅吉の引越し祝いにきたんやから。 ほら、寿司もこうてきたで。 」

洋子は一文字をおさえ、横においていたビニール袋を差し出した。

「 あたいらもう昼飯食ったよ! 」
「 ワ、ワシ、あと2・3人前ぐらい平気ですケン!! 」

フォローするタイガー。 一文字は不機嫌そうに茜に言った。

「 あかねお前なー、タイガーが今、金ないこと知っておきながら
  給料値上げを要求するんじゃねーよ!! しかもまだ一度も仕事してないうちからよ!! 」
「 午前中たっぷりとしたさ。 」
「 荷物運びだろ! 除霊の仕事だよ、除霊の!! 」
「 っせえなー。 魔理にはかんけーねえだろ。 」
「 なにい!? だいたいおめえ学年1コ下なんだから、名前呼び捨てにすんじゃねーよ! 」
「 3月生まれと4月生まれ、たまたま1ヶ月早く生まれたぐらいでえらそうにすんな!
  だいたいてめえだって、所長のこと呼び捨てにしてるじゃんかよ!! 」
「 う! 」
「 あ、そういえば・・・! 」

一文字は言葉につまり、水樹はハッと気づいた。 そこに洋子が大笑いする。

「 ぷっ、あははははは! 魔理、こりゃ1本とられたな! 」
「 わ、笑うな洋子! 」

一文字は真っ赤な顔をしていた。

「 まーええやん、呼び方なんかどうでも。 うちらいずれ同僚になる仲間なんやから。
  今日は楽しくやろ! うちもあんたのこといろいろ知りたいしな! 」
「 な、馴れ馴れしい奴だな。 目え見せろよ。 」



タイガー達は寿司を食べた後、一文字たちも手伝って、部屋の片づけをした。
人数も多かったため、早くに片付き、ようやく事務所らしくなった。
入り口の扉には【タイガー寅吉除霊事務所】の文字が書かれており、入ると左側にトイレ、
右側にパテーションで区切られた2畳ほどの台所がある。 奥に進むと10畳ほどの広さの中央に
来客用の椅子とテーブルがあり、右側の壁には除霊の本や資料が並べられた本棚がぎっしりと並んでいる。
更に奥に所長タイガーの机があり、そのバックに縦1.5m横4mの大きめの南向きの窓がある。



「 けっこういいんじゃない? 」
「 でもちょっと狭くないか? 」
「 ま、最初やからこんなもんやろ。 もっとかせいで、そのうち大きい事務所を建てたらええ。 」

片付いた部屋を見回し、水樹、一文字、洋子が話していた。
とそこに、新たな来訪者、ピートと西条がやってくる。

「 こんにちはー。 」
「 へえ、ここがタイガー君の事務所かー。 」
「 ピートサン、西条サン! 」
「 タイガーこれ、僕と西条さんから、“お札セット”です。 よかったら使ってください。 」
「 ピートサン・・・・・・<グズッ>
  うおーーーーーーーん!!!
  ありがとう!! やっぱり持つべきものは友達ジャーーーーーー!!! 」 <バキバキバキメキッ>
「 い、イタイイタイタイガー!! ほ、骨がーーー!!(汗) 」

感激のあまり、ピートを思いっきり抱きしめるタイガー。
その光景を見ながら、西条は機嫌よさそうに言った。

「 いやーそれにしても、まさかキミが事務所を構えるとはねー、立派なもんだ! 」
「 ・・・・・・『 なんだ、こいつら? 』 」
「 お、キミがうわさのあかね君か! ICPO超常犯罪課の西条だ、よろしく! 」
「 ? ・・・・・・。 」

西条は、ニコニコしながら茜に握手を求めた。
しかし茜は怪訝(けげん)そうに警戒し、部屋の奥のほうへ向かった。

「 ・・・? つれない子だねえ。 」
「 ああ、気にせんといて。 ああいうコやから。 」

洋子が西条に話した。 すると西条は洋子の後ろにいる水樹に気づいた。

「 お、キミは資格試験に出てた子じゃないか! いや〜すごかったよ、キミ! 」
「 あ、はあ・・・ 」

そんな機嫌のいい西条の様子に気づいたタイガーは、いつのまにかピートを放していた。

「 なんか西条サン、機嫌がいいノー。 なんかあったんじゃろか? 」
「 ああ、タイガー、実は横島さんが・・・ 」

がちゃっ
ピートがしゃべろうとした時、愛子、小鳩、貧が来訪する。

《「 おじゃましまーす!! 」》
《 ジャマするでー。 》

「 はい、タイガーさん、事務所設立おめでとうございます! 」

小鳩が花束を渡すと、タイガーまたも感激する。

「 あ、ありがとう! 」
《 あ、いい机買ったのねー! 》

机に興味を持つ愛子。
更に唐巣、聖羅、アンが来る。

「 おじゃまするよ。 タイガー君。 」
「 まあ、なんて狭いとこなんですの? 」
「 あ! ピートおにーさま☆ 」

更に春華と仙香。

「 来てやったわよ。 」
「 これ、エミおねーさまからのプレゼント。 」

冥子、魔鈴、厄珍・・・・・・

「 ここが〜タイガークンの〜事務所なのね〜〜。 」
「 はーい! 魔鈴特製お菓子作ってみましたー! 」
「 ワタシが仕入れた新商品を使ったアルよ。 」
「 なんだなんだ!?(汗) 」

次々とやってくる来訪者に戸惑う茜。

・・・そしてしばらくして、雪之丞と弓が来た。

「 邪魔するぜー。 」
「 あら? 」

ざわざわわいわいがやがやっ

雪之丞と弓がきた時には、事務所はいっぱいの人だかりができ、宴会が行われていた。


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