ザ・グレート・展開予測ショー

とら、トラ、虎!31) 金髪の少女(前編)


投稿者名:ヴァージニア
投稿日時:(03/ 6/ 3)


※今回は【とら、トラ、虎!】の17話・29話に登場した、金髪の少女の話から始まります。

■とある家■
「 うっせーんだよ、ババア!! 」
「 親に向かってなんて口をきくんだい!
  担任の先生から電話があったかと思えば、あんたまたケンカしたそうじゃないか! 」
「 うっせーって言ってんだろ! 」
「 ちょっとどこいくの!? まだ話は終わってないんだよ! 」

長い髪をした金髪の少女は、いまどき珍しい、足首まである長いスカートの制服を着たまま、自宅を出ていった。

ぶつぶつぶつ・・・・
「 ちっくしょー 面白くねえー!
  学校も家もつまんねえし、バイトもろくなもんがねえ!
  おまけにちょっとしたことで、すぐ不幸なことが起こるしよー! 」

「 あ、センパイ。 」
「 ちわ――っス! 」

ガムを噛んでる紫色の長髪少女と、赤髪パーマのマスクをした少女がやってくる。

「 あん? ・・・なんだ、
  由布子(ゆうこ)と弥生(やよい)、おまえら『!』<ボチャッ>・・・・・・・・・。(汗) 」

金髪の少女は、片足が側溝にはまり、靴が泥だらけになってしまった。

「 ・・・あいかわらず不幸っスね、センパイ。(汗) 」 「 うわっ、べちゃべちゃ・・・! 」

赤髪の弥生と紫髪の由布子が言った。


                                   ◆


■公園■
近くの公園で、靴と靴下を洗う弥生。 金髪の少女はベンチに座っていた。
由布子はジュースを買って走ってきた。

「 センパーイ、ジュースどうぞー。 」
「 いらねえ。 」
「 そ、そんなあ! 」
「 弥生もいい加減靴返せ。 もういいから! 」
「 いえ、洗わせてもらうっス。 自分、好きでやらしてもらってるっスから。 」 
「 ・・・・・・。 」

由布子はジュースを再度差し出した。

「 どうぞっス。 3本買ってきましたし、自分は2本も飲めないっスから。 」
「 ・・・・・・。 」

金髪の少女は黙ってジュースを受け取ると、ポケットから120円を取りだし、由布子に渡した。

「 後輩におごらせるわけにないかねえからな。 」
「 センパイ・・・ 」

嬉しそうな顔をする由布子。

「 ごくごくごく・・・・・・はあっ、
  あーあ、金がないと遊びにもいけねーしなー・・・・・・キャバクラで働こうかなー。 」
「 !! 」 <ぴたっ>
「 セ、センパイ・・・! 」 <ぽろっ>

靴を洗うのをやめる弥生と、ジュースを落とす由布子。 そして次の瞬間、2人は大泣きする!

うおおおおおんっ
「 センパイ!! それだけはやめろって、昔自分らに言ったじゃないスか――っ!!
  不良でも自分を大事にしろって――!! 」

泣く由布子。

「 じっ、自分らはハンパもんっスけど、悩みがあるなら話してほしいっスよ――!!
  自分らセンパイのこと、ソンケーしてるっスから――!! <ぐおっ> さあっ!! 」

泣いて頼む弥生。 

「 ・・・冗談だよ。(汗) 」






靴と靴下を日に当てて乾かす弥生。 3人はベンチに座っている。

ぼけ〜〜〜〜〜っ
「 あータイクツだー、やっぱ金がねえとなー。 」
「 センパーイ、コンビニでバイトしてたんじゃないっスかー? 」

弥生が訪ねた。

「 時給750円でやってられるかよ! ちょっと店長を殴ったぐらいでクビにしやがってー! 」
「 ・・・それ、充分っスよ。(汗)
  あ、そういえば、センパイが突然不幸になったのは2年ぐらい前からっスよねー。
  たしか幽体離脱したとかどうとか・・・ 」
「 そうだ、あんのジジイ、思い出しただけで腹が立つ! あたいに呪いでもかけたんじゃねえだろうな! 」
「 お払いでもしてもらったらどうっスか? 」

由布子が提案する。

「 んな金あるかよ。 ・・・・・・そういえば魔理の奴、
  “ごーすとすいーぱー”になったとか言ってたなー。 あれって儲かんだろーなー。 」
「 確かプロで、時給数万円、助手でも5000円は貰えるって聞いたことがあるっスよ。 」
「 ホントか由布子!? 」
「 ええ、でも特殊な力がなきゃ無理だって言われてるし、そうとうヤバイ仕事っスよ。
  センパイも前に川に引っぱられたことがあるじゃないっスかー。 」
「 あれは・・・ちょっと油断したんだよ! 」

     『 いいか、私はもうあの頃の私じゃないんだ。
       GS試験にも合格したし、ケンカなんかやってる場合じゃないんだよ。 』

金髪の少女は、いつか聞いた、一文字の言葉を思い出した。

「 <むかむか>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!  ちっくしょ―――っ!!!!!  」

ガンッ!  からんからん・・・
からになったジュースの缶をゴミ箱にぶつけた。 

「 ど、どうしたんスか、センパイ!? 」

センパイの突然の言動に戸惑う由布子と弥生。

『 なんでだよ・・・なんであたいには、何のとりえもないんだ!!
  頭も悪いし、特技もねえ! 運なんて最悪だ!! あの頃は魔理も、あたいと同じだと思ってたのによ!! 』
「 セ、センパイ・・・。 」

おそるおそる、弥生は金髪の少女の顔をうかがう。
すると金髪の少女は、すたすたと片足はだしのまま歩きだし・・・<かしゃんっ> 投げた缶をゴミ箱に入れた。
更に周りに落ちてたほかのゴミも拾いだした。

「「 ・・・さすがセンパイ。(汗) 」」
「 ん? 」

公園の横の道沿いを、タイガーと仙香・春華が歩いていた。

『 あいつ確か魔理と一緒にいた・・・ 』

すると金髪の少女は、タイガーの後を追った。

「 あ、待ってくださいセンパイ! 」 「 くつとくつしたー! 」


                                   ◆


■六道女学院女子寮 食堂■
タイガーと寮生たちが集まっている。

「 なんだってー!? 」 「 助手は1人だけやとー!? 」

話を聞いた一文字と洋子が驚く。 仙香は笛をテーブルに置いた。

◇洋子 : 24巻登場、3年D組、前髪の長い少女。 地方弁を話す。
◇仙香 : 24巻登場、3年G組、黒髪の少女。 現在エミの助手をしている。

「 そう、しかもこの“獣の笛”を吹くことができる人だけ。 ちなみに私も春華も吹くことは出来なかったわ。 」
「 じゃ、私に貸してみろ! 」
「 あー 無理ジャと思うケン。 」
「 何でだよ。 」
「 エミさん言っとった。 一文字サンや洋子サンには多分吹けんと。 」
「 んなのやってみなくちゃわかんねえだろ! 」

フューッフューッ
一文字は笛を吹いた。 ・・・だが吹けない。

「 あ、あれ、おかしいなー? 」
「 私に貸して! 」 <ぱしっ>

フューッフューッ
水樹は一文字から笛を取り上げ、吹いてみたが、やっぱり吹けない。

◇水樹 : 24巻登場、3年G組、黒髪長髪の少女。 タイガーと1年間一緒に修行した。

「 なんでよー、何で吹けないのよー! 」
「 やっぱり才能の問題じゃないっすかー。 」 (?)
「 才能かー・・・・・・・ん!? 」

一文字の隣りには、いつのまにか横島がいた。

「 な、なんでおまえがここにいるんだよ!! 」
「 いやー、それが偶然、タイガーが女子高生(仙香と春華)と歩いてたのを見かけて・・・ 」
「 ここは男子禁制だぞ! 」
「 じゃ、タイガーはどうなんだよ!! ひいきはずるいぞ!! 」
「 こいつはいいんだよ!! 」
「 い、一文字サン、横島サンはわっしの友達じゃし、ここは大目に・・・ 」
「 <うるるっ> タイガー、お前はやっぱり俺の親友だ。(嘘泣) 」
「 ・・・ったく、悪さすんなよ。 」
びしっ!
「 はいっ! 神に誓って!! 」 「 ・・・ウソくせえな。(汗) 」

敬礼する横島。 疑う一文字。
一方では、他の寮生たちがさわぎだした。

「 ・・・でもタイガーって、今年の資格試験の首席でしょ? 」
「 そこで助手をさせてもらったら、肩書きにハクがつくわ! 」
「 お、おまえら・・・!(汗) 」
「 まあまあ一文字さん、とりあえずみんなに、吹くだけ吹かしてみましょう。 」

一文字を押さえて仙香が言った。




・・・・・・というわけで、その場にいる寮生全員が吹いてみたが、結局誰1人、吹ける者はいなかった。




「 あと、吹いてない人いるー? 」 「「「「「 いませーん。 」」」」」

「 もいっぺん私に貸してみろ!! 」

フューッフューッ
再度一文字は笛を吹いたが、やっぱり吹けなかった。

「 くそっ! なんで吹けねえんだよ!! 」
『 ・・・やっぱりエミさんクラスのGSじゃなきゃ、吹けんのかノー。
  そんな人が、ワシの助手になってくれるとは思えんし、他にどうやって探せばいいんじゃろか・・・ 』

バンッ!

「 あはははは! なーにやってんだよ、一文字魔理!! 」

タイガーがいろいろ考えていた時、勢いよく扉が開き、金髪の少女と弥生と由布子が堂々と入ってきた。

「 お前は! 」 「 あの制服・・・隣町の高校の生徒だわ! 」 「 あ、このまえぶつかった―――! 」

一文字、仙香、タイガーが言った。

「 なんだいなんだい、いい大人が笛の1本や2本で熱くなりやがって。 貸してみな! 」

金髪の少女は、仙香から笛を取り上げた。 そして笛を口にあてた・・・





ふーっ

ピルルルルルルルルルルルルルルルッ





「「「「「  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  」」」」」






寮生一同、シーンとする。

「 ・・・? なんだよ? なんか文句でもあんのかよ!! 」

がばっ! タイガーが金髪の少女の両肩を押さえる。

「 あんた名前は!? 」
「 あ・・・あかね・・・・・・白石 茜(しらいしあかね)・・・・・・ 」
「 あかねサン、ワシの助手になってツカーサイ!! 」
「 え!? 」





■エミの除霊事務所■
エミは窓を開け、外を眺めていた。

『 ・・・“獣の笛”は六道の子達にはまず吹けないわ。
  あの笛は本来、単独で行動する、狼などのケモノをコントロールするためのもの、
  狼の心を知る者でないと、決して扱うことはできない・・・。
  ・・・そう、“獣の笛”は“孤独”を知る者にしか吹くことは出来ない。
  寮生活でぬくぬくと育ってきた子達には無理なのよ。
  もし扱える者がいたら、そいつに対してタイガーは、どうするつもりなのかしら・・・・・・。 』

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