ザ・グレート・展開予測ショー

とら、トラ、虎!30) GSタイガーの初仕事


投稿者名:ヴァージニア
投稿日時:(03/ 6/ 1)


■エミの除霊事務所 所長室■

「 まずはおめでとう、タイガー。 これであんたも、ようやくゴーストスイーパーね。 」
「 エミさん・・・・・・じゃあご褒美にワシと愛の抱擁をーーーーー!! 」 <バキッ!>

抱きつこうとするタイガーの顔面を殴るエミ。 うずくまるタイガー。

「 ううう・・・!(泣) 」
「 ―――それで、事務所を持つにはどうしたらいいのか聞きたいワケね。 」
「 あ、はい! 」




エミはタイガーに除霊事務所を設立するレクチャーを行った。
テナントの手配、契約、申請、保険、経理、各種書類手続き、えとせとら エトセトラ・・・




「 う、なんか大変そうですノー。(汗) 」
「 大変なのよ実際。 まあ面倒なのは最初だけだから。 ・・・ところであんた、お金は持ってないわね。 」

手をこするタイガー。

「 あのー そのことについてご相談が― 」
「 お金は貸さないわよ。 」
「 エミさん・・・(泣) 」
とんとん、がちゃっ
「 エミおねーさま、頼まれた書類を持ってきました。 」

エミの下で助手をしている、六道女学院3年G組の仙香とD組の春華が入ってくる。 仙香はエミに書類を渡した。

◇仙香 : 24巻登場霊体触手の使い手。 実力は学院で弓と並ぶ。 前回の資格試験でタイガーに勝利した。
◇春華 : メガネをかけたキョンシー使い。 性格はきつめ。 当初タイガーを嫌っていたが、今は彼の力を認めている。

「 あんたにこの仕事をあげるわ。 」

エミはその書類をタイガーに渡し、タイガーは書類に目を通す。

「 ターゲットは車の衝突事故で亡くなった自縛霊2体、説得は不可能、
  肉体を求めているから近接攻撃は不適切、通常遠隔除霊措置で対処できるわ。
  諸経費込みで500万円、ただし、あんたの霊力では最低200万円分の吸印札が必要よ。
  税金や保険で100万ぐらい引かれるから、残りの200万があんたの収入なワケ。
  そんだけあったら、事務所の頭金ぐらいにはなるでしょ。 」

それを聞いた春華は、エミに意見する。

「 エミ所長、これBランクの仕事ですよ!
  私たちだって、Cランクの仕事を何度か任せてもらっただけで、あとはDランクばかりで! 」
「 まだ研修中のあんたたちに、単独で危険な仕事は任せられないワケ。
  そんなにしたかったら、おたくらタイガーについていってもいいのよ。 」
「 え? いいんですか!? 」
「 うちの所員じゃないタイガーを使うわけにはいかないから、
  名目上は仙香と春華が除霊したことにいないといけないワケ。
  ただし、タダで仕事をさせるわけにはいかないから、あんたは2人に助手代を5万ずつ払いなさい。 」
「 わ、わかったです! 」
「 頑張んなさい。 GSタイガーの初仕事よ。 」


                                   ◆


■除霊現場■
翌日早朝、タイガー・仙香・春華の即席チームは、事故の起こった交差点にやってきた。

「 うう、緊張するノー。 」
「 いまから緊張してどうすんのよ! 」
「 だってワシ、除霊仕事するの1年ぶりじゃし・・・。 」
「 しっかりしてよトラ男。 私たちだって、Bクラスの仕事をエミ所長抜きで行うの、初めてなんだから。 」
「 春華さん・・・。 」
「 ・・・・・・! いたわよ! 」

仙香の持つ霊体探知機“見鬼くん”が反応する。

≪ グガガッ!! ≫ ≪ キィイッ!! ≫

男女の霊が1体ずつ現れる。

「 じゃあ打ち合わせ通りいくわよ! タイガー! 春華! 」
「 ええ! 」
「 ヨッシャー! 」
「 霊体触手!! 」

2本の念波を放出する仙香!

バチバチバチッ!
≪ グガガガガッ!! ≫ ≪ キィアアアッ!! ≫

2体の霊の動きが鈍る!

「 よしっ、2体とも束縛したわね!! 行け! イー・アル・サン・スー・ウー!! 」

ドドドドドビュッ

春華のお札から5鬼のキョンシーが出てくる!

「 奴らを切り刻むのよ!! 」 『『『『『  ギキイイーーーッ!!! 』』』』』

ガッ! ズバッ! ザッ!
春華の呼び出した5鬼のキョンシーが、霊を切り刻んで攻撃している! タイガーは2人の戦いをぼ−ぜんと見ていた。

「 ・・・2人ともすごいノー。 」
「 ぼけっとしてないでトラ男も攻撃しなさいよ!
  ダメージを与えて弱らせてからでないと、お札に吸印出来ないんだから!! 」
「 ハッ! そうジャノ!!  <ぼんっ> 幻惑精神感応ー!! 」






・・・・・・3分後。

≪ グガガガガッ!! ≫ ≪ ギィアアアッ!! ≫

「 意外としぶとい悪霊ね! 思ったより長期戦になりそうだわ! 」
「 大丈夫よ春華! じっくりやれば、倒せない奴(悪霊)じゃない!! 」

そして精神攻撃で仙香と共に、動きを封じていたタイガーは・・・

『 グッ、らちがあかん!
  これ以上長引くといつ暴走してしまうか・・・こうなったら“虎の爪”で!! 』 <バシュッ>

タイガーは10本の指から爪状の霊気剣を放出し、悪霊に向かった!

「 トラ男、ちょっとどこいくのよ!? 」
「 ヌオオオオッ!! 」 <ザザンッ!> ≪≪ キィアアアッ!! ≫≫

タイガーの攻撃が女の霊を切り刻む! だがその瞬間、春華が叫ぶ!

「 トラ男後ろ!! 」 「 !? 」

もう1体の男の霊が、タイガーの体をからめとり、乗っ取ろうとしていた!

「 タイガー!! 」 「 あのバカ!! 」

タイガーは乗っ取られまいと必死に抵抗している!

「 春華!! やってちょうだい!! 」 「 わかってるわ!! 」 <バッ>

一枚100万円のお札を取り出す春華!
そして仙香は霊力を上げ、タイガーにまとわり着く男の霊を引き寄せる!

「 3本霊体触手・束縛MAX!!! 」

バチバチバチバチバチバチバチバチッ!

「 吸印!! 」 ≪≪ グガアーーーッ!! ≫≫

春華がタイガーに取り憑こうとした男の霊を、お札に吸印した!

「 トラ男もう1体!! 」 「 ぐっ、き、吸印!! 」

タイガーはポケットから100万円のお札を取りだす! 

バシュウウーーッ
≪≪ キィアアーーーッ!! ≫≫ <シュポンッ>

女の霊は、タイガーのお札の中に吸引された。

「 や、やった・・・。 」


                                    ◆


■エミの除霊事務所■
タイガーの周りにはエミ・仙香がおり、タイガーは年下の春華に怒鳴られていた。

「 ったくこの男は、あれほどエミ所長に接近戦はするなと言われてたのに!
  あの悪霊は自分の体をほしがってたんだから、それが霊能力者となればなおさらよ!
  こんな初歩的なミスをするなんて! ホンットにあんた、今年の試験の首席なわけ!? 」
「 も、もうしわけないです・・・。 」

タイガーは春華に責められるが、何も言えなかった。

「 春華、もういいじゃない。
  タイガーにとっては久しぶりの除霊仕事だったんだし、無事に任務完了だきたんだから。 」
「 よくないわ仙香! 下手をすれば、私達みんなやられていたのよ!
  そんなことで、ホントに事務所の所長としてやっていけるの!? 」
「 う・・・。 」
「 そうね、春華の言うとおりよ。 」
「 エミおねーさま。 」
「 確かに今回はタイガーのミスよ。 下手したら自分の体を乗っ取られていたワケだし。
  それにタイガーが焦って接近戦を行ったのは、長時間による精神攻撃の多用ができなかったからでしょ。
  いくら修行である程度の時間、精神感応を使えるようになったとしても、
  常に気をはっていない限り、いつ暴走するかわからない。
  ・・・これはあんたにとってはもう、どうしようもないことかもしれないわね。 」
「 エミさん・・・。 」
「 まあ、徐霊は無事に完了できたんだし、今回はペナルティとして、
  もう5万ずつ仙香と春華に渡しなさい。 残りの180万があんたの報酬よ。 」
「 そ、それだけで、いいんですカイノー? 」
「 ただしもう2つ、条件があるわ。 」
「 え? 」
「 これをあんたに渡すわ。 」
「 これはタイガーの暴走を封じる笛・・・。 」

エミが差し出したマダラ模様の笛を見て、仙香が言った。

「 “獣の笛(けもののふえ)”よ。 これ1本で、1億はする代物(しろもの)よ。 」
「 い、1億ですか・・・。(汗) 」
「 その笛はおキヌちゃんの持つ、“ネクロマンサーの笛”と同じように、
  特別な才能のある者しか吹くことができないワケ。
  あんたはまず、その笛を吹くことができるパートナーを探しなさい。
  そうすればもしもの時に、あんたの暴走を止めてくれることができるワケ。 」
「 そ、そうか! 」
「 あんたの助手は当分の間、その1人だけよ。 」

一瞬の間。

「 ・・・・・・・・・えっ!?(汗) 」
「 普通、金もないうちからそう何人も雇えるもんじゃなくてよ。
  一文字さんや御剣さんをタダでこき使うつもりだったワケ? 」
「 ワシはそんなつもりは・・・! 」
「 それと半年間、Bランク以上の仕事は禁止。 今回のことでわかったでしょ。
  いくら試験で首席になっても、除霊の知識と経験がなければGSとしては致命的よ。
  助手としての経験はあっても、所長としての自覚と知識はまだまだシロウト同然。
  それらが守られなければ、私はあんたに事務所の許可はあげられないワケ。
  あんたが失敗したら、とばっちりをくらうのは元上司の私なんだから。 」
「 わ、わかったですジャ。 」

そのタイガーとエミのやりとりを見ていた春華と仙香は、ひそひそと話していた。

『 エミ所長って、結構世話好きよね。 』
『 なんだかんだいって、心配してるんだわ。 なにしろ、初めて弟子が事務所を構えるわけなんだし。 』

そこで春華がふとを思いだす。

「 あ、でも確か“獣の笛”って、動物を操る時に使用するって聞いたような・・・ 」
「 ドキッ! 」

そのエミの反応に、タイガーはジト目でエミを見ていた。

「 ・・・エミさん、ひょっとして、ワシをケモノと同じ扱いをしとったんカイノー。 」
「 うっ・・・まあ男が細かいこと気にしちゃダメなワケ。
  さあ〜がんばって、パートナーを探してらっしゃい! ほらほら!(汗) 」

あせるエミ。 ショックをうけるタイガー。

「 ワ、ワシ、動物の調教と同じ扱いじゃったんジャノー・・・・・・初めて知った。(汗) 」
『『 不憫な・・・(汗) 』』

タイガーを哀れむ仙香と春華であった。


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