ザ・グレート・展開予測ショー

ルシ混♪(に)


投稿者名:パープル遼
投稿日時:(03/ 5/31)


がらがらがら

「ごめんくださーい・・・?」

横島が戸を開き、ルシオラを連れて中に入る。
するとすぐに、奥から女将らしき中年の女性が現れた。
さほど美人とは言えないが、ふくよかで優しそうな女性である。しかし表情に少々陰りがあるようにも見える。

「いらっしゃいませ・・・もしや、東京のGSの方ですか?」

「あ、はい、そうです。ちょっと事故がありまして・・・」

横島が返事をしながらGS免許を見せる。
なんと凄まじい偶然か、ここは本来の目的地だったようだ。
しかしまったく結界を抜けた感じがしなかったし、そもそも歩いて着くような距離ではないとか言ってなかったか?
まあ、結界を経由して距離が縮まったんだろうとか何とか、適当に納得しておく。今はそれより・・・

「すいませんが風呂を使わせてくれませんか?それと着替えを・・・吹雪の中を歩いてきたんで・・・」

「はい、すぐに準備させていただきます。こちらへ・・・」

女将について歩き出す。廊下が濡れるが、この際気にしない事にする。早く暖まりたかった。

「今、お客様は他におりませんので、気兼ねなく使って下さい。悪霊もこの時間には出たことはありませんし・・・」

表情に陰りがあったのは悪霊に悩まされていたからか。
しかし、美神達は来られないだろうから、横島とルシオラだけで除霊をする事になる。

(少し厳しいか?まあ、どうにかなるだろう。そーいえば資料もまだ見てなかったし・・・)

そんな事を考えていたら、不意にルシオラを支えていた肩が軽くなった。

「ルシオラ?」

「あー寒かった・・・ありがとねヨコシマ。ここは温かいから一人で歩けるわ。」

「そうか?無理するなよ?」

まだ少し唇が紫色だったりするが、そう言い、横島の肩から手を離す。
なんだか横島は名残惜しそうにしているが、ルシオラは気づかなかったようだ。

「そうだ女将さん。俺達、今日ここに泊めさせてもらえますか?外が吹雪で、帰れないんですけど・・・」

「ええ、構いませんよ。そもそも、除霊料金の代わりに、何泊かお泊まりになるご予定ではありませんでしたか?」

どうやら美神がそのような交渉をしていたらしい。除霊料金の代わりに、ってあたりに少々疑問があったが。



「では、ごゆっくりどうぞ。着替えですが、脱衣所に浴衣を持ってきておきますので。お洋服が乾くまでそれをお召しになって下さい。」

脱衣所の前に到着すると女将はそう言い残し、もと来た廊下を戻って行った。

「じゃあ、また後でな。」

「うん。」



脱衣所。そこでは様々な思いが交錯する。



SIDE横島

(浴衣・・・浴衣か・・・風呂上がりで髪が少し湿っていて、熱い温泉に浸かって上気した、浴衣を着たルシオラ・・・
 くうっ!いいねえ!!男の浪漫ってヤツだ!!(違)
 はっ!?さらには男湯と女湯の壁を乗り越えればそこはパラダイスじゃないか!?
 それに挑戦せずにいられようか!?いやいられない!!
 ふ、ふへへへへへ・・・ルシオラのあの、白く美しい肌を拝んじゃる!!」

アホだ。こいつ。絶対。

SIDEルシオラ

(うーん。ヨコシマの事だから、覗きに行こうとか考えてるんでしょうね・・・
 やっぱ、ヨコシマが他の女の子の裸を見ようとするのはイヤだな・・・
 でも女将さんは他にお客さんがいないって言ってたわね。ならちょっとくらい・・・
 って、違うでしょ!?私は決して覗かれる事を期待してるワケじゃなくて、
 むしろ他にお客さんがいない旅館に二人っきりで泊まるってことはやっぱりなにか色々と・・・
 って私ってばなにを――――――――!!??)

・・・真っ赤になってなにを考えているのであろーか。


もっとも、二人の考えは、良いんだか悪いんだか、違う意味で裏切られてしまうのだが。



がらっ(×2)

「「えっ・・・・・?」」

タオル一枚で入ってきた二人がお互いの方を振り向く。
そこには本来有るはずの、男湯と女湯を仕切る壁が・・・無かった。
しかも他に客がいないと思っていたから、かなーり開放的な格好である。
なんかもー、見えた。色々と。

「ぶっ!!」

鼻血を吹く横島。

「きゃ――――――!?・・・えいっ!」

悲鳴をあげ、なにかを投げるルシオラ。

どびしっ

ルシオラの手から放たれた、ビー玉大の碧色の玉が横島の顔面にぶつかる。
文珠。世界最高級の霊能力の一つに数えられるそれは、横島の技の一つであり、文字を込める事でなにかしらの効果を発揮する。
今回込められた文字は『闇』。横島の視界を『闇』に閉ざす。

「うわっ、なんだ!?目の前が真っ暗にっ!?チクショー!!こんなチャンスなのにっ!?」

「ふう、危ない危ない。もしもの時のために、ってヨコシマから渡されてた文珠がこんな所で役に立つなんて。」

いかにルシオラとて、『覗かれる』のはイヤだったらしく、用意しておいたようだ。それを咄嗟に使ってしまったらしい。

「いや俺が言ったもしもの時ってのはこんな時じゃなくてっ!!」

半泣きの横島。情けない光景この上ない。
が、惚れた弱み(?)ルシオラには可愛らしく見えたようで。

「まったく、相変わらずなんだから・・・背中ぐらい流してあげるわよ。」

出てきたのは、そんな台詞だった。

「え・・・い、今なんと・・・?」

「もう、バカ・・・何度も言わせないの!!」

ぷいっ、と横を向いて、ぺてぺてと足音を立てながら浴槽に向かう。
横島もその足音を聞いて、それに続こうとする。が、風呂場で目をつぶって歩いてるような状態って事はつまり――

つるごぢ

いともあっさりと転んで後頭部を打つ。

「・・・あの、ルシオラ?文珠で目、見えるようにしてもいいか?」

「駄目よ。」

かなり切実な横島の要求に、しかしルシオラの答えはきっぱりはっきりと容赦ない。
ちなみにルシオラは横島の方を向いていない。あさっての方向を向いていて、ちょっぴり顔が赤い。
理由は、横島が持っていたタオルが床に落ちている、って事からご想像願いたい。

「でもあの、どの辺に浴槽が有るか分かんないし。」

「駄目よ。」

「ええと、でも」

「駄目よ。・・・でも、その代わりに・・・」

横島がタオルを掴んだのを見て、側へ近づく。
そして横島の空いている方の手を掴み、引っ張る。

「転ばないように気を付けてね。」

「あ、ああ・・・」

(ルシオラの、ちーさくてやーらかい手が、きゅっ、って・・・)

そんなよーにして、どうにかこうにか、二人は湯に浸かることが出来た。



の〜ん(←温泉に浸かっている擬音)

「あー、いいお湯ねえ・・・冷えた体が暖まるわー。」

確かに、湯加減もちょうど良く(四十度前後か?)白濁色でいかにも良い効能がありそうな湯である。
が、横島はそれどころではなかった。
肩から肘にかけて、くっついていた。
ちょっと膝を曲げれば、柔らかな感触が。
よーするに。
密着、である。
拷問、と言い直しても良い。

(あああぁぁあぁああぁああ・・・!)

なまじっか目が見えないために、凄い勢いで妄想が進む進む。そろそろ、理性がどっか行きそうである。

「ふう。」

ルシオラが、なにやら色っぽいため息をついた。その瞬間、なけなしの理性も吹き飛んだ。

「ル・・・!」

シオラー、と叫んで、飛びかかろうとした。しかしタイミングが悪かった。
ルシオラが横島にこう言ったのである。

「そろそろ、背中流してあげるね。」

と。
むろん、その言葉を無視して飛びかかることもできよう。
だがしかし、その場合確実に殴り飛ばされて終わり、である。
対しておとなしくしておけば、女の子に背中を洗ってもらうとゆう自分の長年の夢がかなうのだ。
・・・選択の余地無し。

「ほら、手、出して。」

言われるままに手を繋ぎ、浴槽から上がる。そして備え付けのシャワーとかが有る辺りまで歩く。

「はい、ここに座って。」

かたん、と音が聞こえた。ルシオラがイスを置いたのだろう。音でその位置を予想して、座る。
なんだか言われるままに行動している自分が、不意に情けなくなる。何となく。
しかしルシオラはとっても楽しそうだ。長女だけあって(?)世話焼きなのだろうか。

「ねえ、気持ちいい?」

「あ、うん・・・」

確かに、こしこし、と良い力加減だ。痒い所も良く分かっている。

「よし、これぐらいかしらね。」

背中からタオルが離れる。本当はもう少し擦って欲しかったが、言わないでおく。

「そーだ。頭も洗ったげる。」

「え、いいよ、それぐらい自分で・・・」

「いーからーから。」

ざばーっと頭から湯をかけられる。そしてたぱたぱとシャンプーをかけられ、わしわしと髪を洗われる。
悪くない気分でもあるが、やはり子供扱いされているような、何となく情けない気分に浸ってしまう。

「♪〜〜♪〜〜」

ルシオラが鼻歌など歌っているのが聞こえる。
女らしい繊細な動きで頭を洗われている感触がある。その頭から落ちた泡が見える。
・・・泡が見える?
眼球を動かしてみる。自分の脚。腰に掛けたタオル。洗面器。
文珠の効果が切れている。

(お、落ち着け俺。そう、見えないふり。見えないふりをすればいいんだ。そうすれば・・・)

奇跡的に声を出さずにそこまでを考える。

「よし、終わり、と。」

ルシオラが、横島の頭に大量の湯をかけてシャンプーの泡を流し、そして横島の手を握り、立たせる。

(よし、今だっ!!)

湯をかけられる間閉じていた目をしっかと見開き、ルシオラと向き合う。
その格好は・・・他に客がいない、それに横島は目が見えなくなっていると『思っている』事から、当然のごとく・・・
どこも隠していませんでした♪
演技はそこまでが限界だった。
横島が目を皿のよーにして自分を凝視している事に気づいたルシオラは、一瞬の間をおいて全力で平手打ちを放ち・・・

そして横島は意識を手放した。

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