ザ・グレート・展開予測ショー

〜『君とワルツと星影と』(2)〜 (マルチEND SS


投稿者名:かぜあめ
投稿日時:(03/ 5/28)

各ヒロインのシナリオ分岐まであと3話(笑)
今回は・・・横島君の最愛の人が登場します。
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〜君とワルツと星影と (2)〜


「2人は・・、十字軍や中世の魔女狩りは知ってるかしら?」
紅茶に口をつけながら、美神美智絵が切り出した。

「自慢じゃないですが世界史は苦手です。」

「十字軍はともかく・・オカルト関係者として魔女狩りぐらい知っておきたまえ・・。」

呆れたような西条の言葉に・・、横島が文殊を取り出して・・、
・・相変わらずこの2人は仲が悪い・・。

「まあまあ・・西条くん。」

取っ組み合いになりそうな勢い。それに美智恵は苦笑して・・、
なだめるように言葉を続けた。

「まあ・・知らなくても問題ないわ。
 ただ今回の悪魔は・・、そういった怨恨にまつわる歴史の事件に必ずからむ・・そういう奴なの」

「・・怨恨・・・。」

記憶をたどるがそんな悪魔は聞いたことがない。
西条が腕を組みなおす。

・・部屋に夕陽が差し込んだ。

「直接、手を下すわけではない・・、ただね。ソイツは人の心を掻きたてるの。
 ちょっと芽を出した、争いの火種を・・一瞬にして大火に変える。」


「・・はあ・・。でもじゃあなんで美神さんたちを引き止めなかったんです?
 全員でかかればその分楽じゃあ・・。」

当然ともいえる横島の疑問に・・、西条は動揺しながら声をあげる。

「先生・・。まさか・・。」

「・・・私たちはアシュタロスの件でマークされてるから・・・派手に動けないというのが一つ。」

・・・・もう一つは・・・。
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――飛行場――

「おお〜やけに豪勢な飛行機じゃねえか・・。こんな待遇生まれて初めて。」
「・・君と2人旅か・・・。最悪のシナリオだ・・。」

なんて・・いまいち連帯感に欠ける会話をしながら・・、横島と西条は機体へと乗り込んでいた。

今回の依頼・・経費はGメンもちであり、もうなにも遠慮は要らないとばかりに横島ははしゃいでいるわけで・・、

「スチュワーデスのねえちゃーーん。こっち来て写真とりませんか?」

「オヤジか君は!!一応仕事だぞ・・ったく・・。少しは自重というものを・・」

「み・・見ろ西条・・。あの乳・・美神さんにも劣らない・・」

「聞けえええええええ!!」

・・はあ・・、とため息をつきながら・・、西条はイスに座りなおした。
任務をえり好みする気はないが・・今回の件は納得がいかない。
・・いや・・横島のこととは別に・・である・・。
100万歩ほど譲って・・・、この男と仕事をするのは良しとしよう。
・・しかし・・
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『Gメン主催のダンスパーティーにならあの悪魔は確実に現れるわ。邪魔ものを排除する絶好の機会だもの』

カップを机に置きながら美智恵は静かに言葉を紡ぐ。

『・・な!?知っててどうして令子ちゃんたちを行かせたんです!?」
声を荒げる西条に、
『先にも言ったけど令子たちは目をつけられてる・・。無防備にあの子が姿を現せば・・」
・・彼女はこんな答えを返す。

つまりは囮・・・。

美智恵は瞳を曇らせて・・、そのまま黙って下を向いた。

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・・本当に・・最悪のシナリオだ。
西条は眉をひそめながら・・、何本目か分からないタバコを吸った。

「・・君は・・どう思う・・。この任務。」
即席の相棒に尋ねてみる。

「・・さあな・・。」
彼はそっけなく言い放ち・・、
・・しかし・・言葉はそれで終わらなかった。

「だけど・・隊長はオレたち信用してるからこそこの任務を任せてくれたんだろ? 
 ・・やるしかねえって。美神さんや・・それに他の奴らのためにもな・・。」

「・・・・・。」

ちらりと視線を横島に移す。・・・自分もヤキが回ったものだ・・。
この男に励まされるとは・・・・。
・・・。
・・・・・・。


「いい加減・・一人にしぼれ横島君・・・。」
「?何の話してんだ?お前・・。」

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「ここがパリでござるか・・。」
・・・未知との遭遇・・。
見たこともないものに囲まれて・・、タマモとシロが息をのんだ。

「すごい・・大陸の町は見たことあるけど・・、これは全く別ものね・・・。」

「た・・タマモ!あそこに東京タワーがあるでござる!!」

「・・・・エッフェル塔じゃないの?あれ・・。」
かく言うタマモも見るのは初めてなのだが・・、しかし予習するだけ感心といえる。

「美神さんたちが戻るまでおとなしくしてなさいよ・・。」
無駄だと思いつつも・・・、そんな言葉をかけてみるが・・・、

「大丈夫でござるよ。全くタマモは心配性でござ・・・・・わわっ!!」

ドンッ!!
3秒も立たずに通行人にぶつかったわけで・・、
「わおーん!!痛いでござるーー!!」
したたかに打ちつけた鼻をおさえて・・、シロがピョンピョン跳ね回る。


「だ・・・大丈夫!?」


不意に・・戸惑ったような声がした。

シロの様子に驚いたのか、相手の方がうろたえている。

「ああ・・もう・・。言ってるそばから何やってんのよ。・・すいません。ケガ、ありませんでした?」
タマモがすぐに追いついて・・そのままぺこりと頭を下げる。
そばには・・・一人の女性がたっており・・、

「ふふっ。私は平気よ。そっちの子の方が大変みたいだけど・・。」
そんな言葉をかけてきたのだ。

「あ・・拙者は丈夫だけが取り柄でござるから・・・。」

慌てるシロに苦笑して、起き上がるよう促した。
ふわりとした、その微笑みにタマモはなぜか見とれてしまう。
齢、数百の自分が言うのもなんだが・・、
その女性は年齢などといったものを超越した・・不思議な魅力を漂わせていて・・、

(きれいな人・・。)
不謹慎ながら・・そんなことを思うのだ。

「私・・もう行くわね。ちょっと頼まれ事をしているの。」

「「は・・はい。」」
声を合わせて答える二人に少しだけふき出して・・、そのまま彼女は町並みに消える。
・・・。
・・・・・。
少しだけ・・沈黙が流れた。

「きれいな人でござったなあ・・。」
ひとり言のようにシロがつぶやき、
「ほんと・・・。」
うわ言のようにタマモが返す。

あの鈍感も・・・あんな人になら振り向くのかな。

雑踏を歩きながら・・、もう一度彼女は背後に視線を向けるのだった。


〜(3)へ続きます〜

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