ザ・グレート・展開予測ショー

それは愛?故に(4)


投稿者名:キリランシェロ
投稿日時:(03/ 5/23)

結局、横島はシロが取った魚を食べることにした。
いくら腹が減ってても、人間の手足がある魚を食べようなどとは
思うはずがないからである。
そして、横島達は野宿して夜を明かしたのである。
タマモの狐火のおかげで冷え込むことはなかった。
そのため横島は野宿だったとはいえ、ぐっすり眠れて寝覚めの
良い朝を迎えた。そうなるはずだった。ある物体を目にするまでは・・・
「どわ〜!!」
「もう、うるさいわよ、横島・・・」
タマモはまだ眠いのか目をこすりながら横島の叫び声に反応した。
横島が目を覚まして目にしたのは昨夜釣った半魚人が転がっていたからだ。
正しく言い直せば横になって眠っていたのだ。
しかも、半魚人は目を開いたまま「ZZZZZZ」と寝息を立てている。
「なんでお前がここで寝てるんだ!!」
何となく腹が立った横島は半魚人を蹴っ飛ばしてたたき起こした。
『ふあ〜おはようございますぅ』
「ああ、おはよう・・・」
しばらく横島は自分が何を言ったのか整理し直した。そして結論が出た。
「って〜!違〜う!!なんで俺は今当然のように挨拶してるんだ〜!?」
『何言ってるんですかぁ、仲間じゃないですかぁ、友達じゃないですかぁ」
「いつお前を仲間にした〜!?いつ!?」
「ああ〜!もう!うるさい!もう少し寝かせてよ!!」
タマモが狐火を放った。その火は横島と半魚人を包み込んだ。
その後に残ったのは黒こげになって倒れた横島とこんがり焼けた焼き魚であった。

「はあ〜!気持ちのいい朝!!」
タマモがのびをして一言そう言った。あれから約一時間が過ぎた頃のことだった。
「あれ?横島黒くなってどうしたの?日焼け?」
「あのな〜!日焼けなわけないやろ〜!っていうかこの場合、火焼けや!」
「ふう〜ん、どうして火焼けしてるの?」
「お前がやったんだろうが、タマモ!!」
「そうだっけ?」
「覚えてないんかい!?」
『人を燃やしたこと忘れるなんてひどいですぅ』
「そう思うかお前も?・・・・・・」
今の声は誰だ?と横島は疑問に思った。
シロではない、シロはまだ寝ていた。昨日魚を手づかみで取るのに夢中に
なりすぎていたため、まだ疲れが残っているためだろう。
じゃあ、今の声は誰のものだったのか。
タマモが自分でやったことなのだからそんなことを言うはずがない、また、
横島自身も同意を求める言葉を出したので、横島のはずもない。
では、誰の声か。その声の主は先程こんがり焼けていたはずの焼き魚・・・
つまり、半魚人の声だった。
「なんで!?お前焼き魚になってたろ!?なんでピンピンしてるんだ!?」
横島自身も人のことは言えないが気にもせず、思いついたことを半魚人に言った。
『何言ってるんですかぁ?私焼き魚になんてなってないですよぉ』
横島はさっきのことはなかったことにした。考えるだけ無駄な気がしたからだ。
とりあえず横島はシロを起こした。

「あの・・・先生・・・」
「なんだ?」
シロは横島の横を歩き後ろをチラチラ見ながら訊ねた。
「何故、あの魚は拙者らの後をついてくるでござるか?」
「見るんじゃないシロ、あれはタマモの幻術だと思ってなかったことにするんだ」
横島は思ってることをシロに正直に話した。
横島は本気であの半魚人のことをなかったことにしたいのだ。
「あんたがあんなわけのわからない魚を釣るからこうなったのよ」
「ぐっ!」
タマモの言葉に横島は返す言葉がなかった。
ただ、その時横島は自分という人間がどういう人間か思い出した。
そう、自分は何故か物の怪の類を引き寄せる人間だということを・・・
しかも、その大半が女であったということも・・・そして好かれる・・・
「まさかあの半魚・・・メス・・・じゃねーよな」
横島はこの時程自分の特異体質を呪ったことはなかった。

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