とら、トラ、虎!26) 試験7 辛戦!
投稿者名:ヴァージニア
投稿日時:(03/ 5/22)
■GS資格試験2日目 試験会場 休憩室前■
≪ いよいよ合格ラインを決める第2試合です! 選手たちの顔も、心なしか緊張ぎみです。 ≫
タイガーは、1人で長椅子に座りうつむいていた。 横島が近づく。
「 おい、試合始まるぞ。 」
「 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 」
「 おい、でねえつもりかよ!! 」
「 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 」
「 聞いてんのかよタイガー!! 」
横島、タイガーの胸元をつかむ。
「 ・・・・・・・・・横島サン・・・・ワシ・・・ウッ 」
横島は静かに泣いてるタイガーの胸元をはなす。
「 ・・・・泣くなよ。 決まったもんは仕方ないだろ。 」
「 ジャケど・・・・・・ジャケンど・・・・ 」
「 水樹ちゃんだっけか、一緒に修行したってのは。 」
「 ウッ・・・ウッ・・・ 」
「 かわいいコじゃねーか。 きっと勝っても、笑って許してくれるよ。 」
「 ウッ・・・・・・よごじまさーーーーーん!!! グワアァーーーーーーーン!!! 」
「 こ、こら、泣きつくな!! 人が見とるだろうが!! 」
「 グワアァーーーーーーーン!!! 」
◆
▲客席▲
一文字たちが座っている。 だが、さっきまでの活気はなかった。
「 ・・・あんまりだよなこんなのって。 唐巣神父なんて組合せするんだよ!! 」
「 唐巣神父はアンの保護観察で今日はきてませんよ。 2回戦からはまた別の人が組合せ抽選をしますしね。 」
いらだつ一文字にフォローするピート。
グズッ
「 タイガーさんも水樹さんも可哀相・・・・。 」
「 小鳩! 泣いたらあかん!! 銭の花は白い…!! せやけど、その根は血のようにッ!! 」
ぼかっ☆
「 訳わからん、慰めはやめんか!! 」
「 仮にも神のどたまを殴るとは、なんちゅう女じゃ! 」
「 うっせー!! 」
「 一文字さん、落ちつきなさいよ。 少なくても1人は合格するんだし。 」
「 そんな問題じゃねーだろ、弓!!
だってよ・・・・・・だってあいつら、この日の為に一緒に頑張ってきたんだぜ。 なのによ・・・・・・クッ! 」
「 一文字さん・・・・ 」
「 あ、水樹、出てきたで。 」
洋子が言うと、結界内に向かう巫女服姿の神野水樹がいた。
彼女はもと六女G組の心理攻撃を得意とした少女であり、また気の弱い少女でもあった。
タイガーとは1年近く実家で修行した仲であり、その共有時間は一文字やエミよりも長い・・・
▼結界内▼
水樹、結界内に入り、タイガーを待つ。
≪ ・・・・? タイガー選手・・・・!? タイガー寅吉選手!! いないのかね!? ≫
試合会場につながる扉の前に、タイガーをひっぱる横島がいた。
ずるずるずるーっ
「 ほら呼んでるぞ! いい加減諦めろ! 」
「 イ、イヤジャ〜〜〜〜〜! 」
≪ え―― やむをえません。 タイガー選手は試合放棄とみなし、この試合―― ≫
「 遅れてすんまへーん! 」 「 横島さん!? 」
おキヌは横島がタイガーをひきずる姿を見つけた。
「 ほらいけ!! 」<どんっ>
横島につきとばされたタイガーは、水樹と目が合った。
『 ・・・・・・タイガーさん。 』
『 ・・・・・・水樹サン。 』
≪ それでは2回戦第1試合 試合開始!! ≫
「 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 」
「 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 」
タイガーと水樹、2人とも戦おうとしない。
≪ どうしたね君達、試合は始まっているぞ!! ≫
ハッ!
「 い、いくわよ、タイガーさん!! 」 「 !! 」
水樹がもつ榊の枝が光だした!
パア――――−−‐ッ
「 神霊よ宿れ! 御霊代(みたましろ)!! 」
「 グオオーーーッ!!! 」
≪ タイガー選手、神野選手の光の波動をもろにくらい、ひざをついたー! ≫
▲客席▲
「 あれは水樹が実家の修行で身に着けた新技! 」
「 すごい! 以前よりずっと霊力があがっている!! 」
「 タイガーぼけっとしてんじゃねえ! ちゃんと戦え!! ちゃんと!! 」
かつて水樹と同じクラスだったG組の仙香・亜美、そして一文字が応援する。
▼結界内▼
「 ・・・・・<キッ>いくわよ! 御霊代(みたましろ)・連打!! 」
ビュウンビュウンビュウンッ
「「 グオオーーーーーッ!!! 」」 <ドサッ>
≪ 榊を振り回す神野選手!! タイガー選手、その光の波動を連続でくらってダウン!! ≫
▼結界外▼
「 タイガーさん!! 」 「 なにしとんじゃお前ー!! 本気で戦えー!! 」
結界の外でおキヌと横島が応援する。
▲客席▲
≪ タイガー選手、立ち上がれない!! 審判が様子を見にいっています! ≫
「 寅吉まさか、わざと負けるつもりか!? 」
「 あのバカ・・・・・・! 」
タタタッ
「 一文字さん!? あ! ちょっと待ちなさい! 」
シュタッ
弓の言葉が届いてないかのように、一文字は2階の客席から1階の舞台に飛び降り、タイガーのいる結界へ走った。
そして結界ラインギリギリの所まで入ってくる。
▼結界内外▼
「 タイガーたて―――!! 今までの苦労を無駄にする気か―――!!
この日の為につらい修行に耐えてきたんだろ!! それがこんな終わり方でいいのかよ!! 」
『 一文字さん・・・・・・ 』
「 そうだタイガー!! お前、資格取ったら、事務所もつんだろ!!
昨日絶対勝つと約束しただろ―!! こんなことでくじけていたら、お前一生後悔するぞ、絶対に!! 」
『 横島さん・・・・・・ 』
「 寅吉! 」 「 タイガー!! 」 「 タイガーさん!! 」
『 洋子サン、みんな・・・・・・ 』
・・・・・・・・・・・・のそっ
≪ タイガー選手、起き上がったー!! ≫
「 水樹さん。 」
「 なによ。 」
「 ワシ、勝ちたい。 」
「 私もよ。 」
「 じゃから水樹サン・・・・本気をだしてクレ。 」
「 ・・・え? 」
「 何日一緒に修行したと思っとるんジャ。
水樹さんが紙一重で急所をはずしてくれとることぐらい、わかっとる。 」
「 ・・・・・・・・・・・・ 」
「 ワシも迷うとったが、水樹さんはもっと迷っとる。 ワシに勝ちをゆずる気なのは、最初からわかっとった。
自分が本気で戦っているように見せて、ワシを本気にさせてわざと負けようと・・・・
水樹サンは優しいおなごじゃからノー。 」
「 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・だって・・・・・・ 」
水樹の目から涙があふれる。
「 だって資格がないと除霊事務所作れないでしょう・・・・・・また1年、待たないといけないのよ。
出場辞退したり手を抜いたりして勝っても、タイガーさんは絶対に喜ばない人だし・・・・
だから私が本気をだしてるように見せないと、タイガーさん裳本気で攻撃しないじゃない・・・・・・。 」
「 すまんかったノー。 」
「 私のほうこそ・・・・ 」
「 じゃから修行の成果、みなさんにみせよう。 」
「 ・・・・・・・・・・・・うん。 」
「 どうせなら、事実上の決勝戦と言われるぐらいの試合をしようノ!! 」
「 ・・・・・・うん! 」
「「「 いくぞ 水樹サン!! 」」」
「「「 いつでもいいわ、タイガーさん!! 」」」
カッ
「「「 精神感応最大放射!!! 」」」
パアァーッ
「「「 心理攻撃最大汚染!!! 」」」
トラの人獣に変化するタイガー。 榊の枝を高く上げる水樹。
カッ―――――――――−−‐ ズオオオオオオ――――――――――――――−−‐‐ッ
バチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチ
≪ これはすごい! 両者の強力な精神波が衝突し、念波で放電がおこっています!! ≫
≪ タイガーもすごいけど、水樹ってコもすごいわ! 2人共この1年で著しく成長してる! ≫
≪ 驚いた・・・・日本中を探しても、これほどの精神感応者はそうはいませんよ! ≫
美神と西条が解説する。
▼結界外▼
「 ・・・・なんだよ、やればできるじゃんかよ。 」 「 ったく、ハラハラさせやがって。 」
ホッとする一文字と横島。
▲客席▲
「 2人ともすごい霊力だわ! 」
「 こりゃひょっとして、うちらより・・・・ 」
「 ・・・・そうね。 くやしいけど。 」
「 ・・・・・・。 」
六道女学院3強の弓・洋子・仙香は、2人の力を認めていた。
その後ろでは、エミが黙って2人の戦いを見ている。
▼結界内▼
バチバチバチバチバチバチバチ
「「 グオオオオ『 水樹サン 』ーーーーッ!!! 」」
「「 ハアアアア『 タイガーさん 』ーーーーッ!!! 」」
バシュウ――――−−‐ッ
≪ おっと!? 突然両者、霊波の放出をやめた!? ≫
「 このまま念波の放出だけじゃあつまらんからノー! 」
「 そうよね! もっと私達の強さを見せつけてやりましょう!! 」
バシュッ
「 虎の爪!! 」
「 榊のナギナタ!! 」
タイガーは両指から霊気の爪(タイガー版“栄光の手”)を、
水樹は榊に霊波をこめ、霊気の長刀を創り出した!(水樹がその後の修行で習得した新技)
「 いくぞ水樹サン!! 」
「 負けないわよ!! 」
ガキィーーーン
霊気の爪と長刀がぶつかり合う!
そして2人の最後の攻撃が終わる・・・・・・・・・・・・
『 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・タイガーさん 』
『 なんジャ? 』
『 私ね、この1年間、けっこう楽しかったよ。 』
『 不思議ジャノー、あんなにつらい修行じゃったのに。 』
『 ホント。 1人じゃきっと逃げ出してたよね。 』
『 水樹さん・・・・・・ 』
『 ・・・・・・・・・・・・がんばってね。 』
『 ああ。 』
『 応援するから。 』
『 ・・・・・・ああ。 』
・・・・・・バタッ
気力をふりしぼり、全力で戦った水樹はその場に倒れた。
審判はタイガーの手をあげる。
≪ 勝者タイガー!! タイガー選手、GS資格取得!! ≫
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今までの
コメント:
- ■26話 後書き■
これにてタイガーはGS資格を取得しました。
このままタイガーは勝ち続けることが出来るのか? もしくは・・・・・・ (ヴァージニア)
- 何かビミョ〜な展開になりましたね。
シリアスにすると2人とも可哀想。
この展開は賛成でいいのかなぁ、と言う想いを胸に抱きました。
しかし、今後の展開はどうなるのでしょう、と言う期待から賛成させて頂きます。
次回も期待しておりますので頑張ってください (K.H. Fan)
- シリアスですね・・。
この2人の戦いには流石にギャグははさめませんね(笑
最後のセリフが泣かせます〜
ついにタイガーもGS資格取得で・・あ・・でもここからが大変なんですよね(笑
次回がんばってください〜 (かぜあめ)
- タイガー、GS資格取得おめでとう!
結果はどうであれお互い本気でぶつかっていったんだから
悔いはないことでしょう。
しか〜し!!タイガー次からギブアップなし何だから
死なないように! (キリランシェロ)
- △K.H. Fanさんへ
そうですね。タイガーと水樹、2人を応援してくださってる方々には受け入れられない展開かもしれませんね。
今後の展開への期待という意味での賛成、ありがとうございました。 次回からも頑張ります!
△かぜあめさんへ
タイガーにとってはここからが大変のはず・・・・・・なんですけどね。
次回は、最後のセリフを言う少し前の戦いからお届けしたいと思いますので、今後もよろしくお願いします。
△キリランシェロさんへ
そう、まだギブアップという大きな落とし穴があるんですよね。
さすがにここにきて、簡単にギブアップするタイガーではないでしょうけど、可能性はゼロとも言えませんね。
状況によっては、ありえるかもしれません。 (ヴァージニア)
- ◇ここまでの話を読んでくださった方々へ
この2人の対決に関してはかなり悩みました。
カオスやメゾピーみたいに、笑いで落とすといったようなことはできませんからね。
この“〜虎!”のなかでは、水樹はタイガーの次に登場回数が多いキャラですし、文中でも述べたように、
エミや一文字より長い時間を共有していますから、2人の絆はかなり深まっていると思います。
この戦いは、お互いの存在を再認識させるための戦いでもあり、
もし、あと数話で完結させるのであれば、このまま2人のゴールインもいとわないと思っているぐらいでした。
この2人の結末は、次回、次々回をお待ちください。 (ヴァージニア)
- ●追伸 : 中盤の水樹のセリフで、
〜だから私が本気をだしてるように見せないと、タイガーさん裳本気で攻撃しないじゃない・・・・・・。 」
の「裳」→「も」の間違いです!
誤字脱字には充分注意してるつもりなんですけど・・・・・・・・失礼致しました。 (ヴァージニア)
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