ザ・グレート・展開予測ショー

主役はネクロマンサー 2nd


投稿者名:K.H. Fan
投稿日時:(03/ 5/21)

『お金は要りません。 ですから今すぐこの仕事を辞めさせて下さい!』
先ほどまでパニックに陥っていた少年、 横島忠夫がそう言った。
美神は(あ、 そう)と言う顔で横島を見たが、
キヌは(辞めないで下さい)と言うような顔で横島を見つめた。
横島はキヌの表情を見て、 この職場も悪くないかな、 と瞬間思ったが、
すぐに首を横に振って雑念を取り除こうとした。
『しかし…俺みたいな素人が居てはいけない場所なのでしょ?
死にたかないですし…』
そして横島は荷を置いて、 その場を去ろうとした。
横島に去ってほしくないキヌは美神に耳打ちした。
(お願いします!!! 横島さんを止めてください!!!)
(私としては、 あいつは居ても居なくても変わりはないですし…)
キヌの問いに美神が(何で私が?)と言う顔で返した。
そしてキヌは面接時の事を思い出した。
キヌの頭には(美神はとりあえずお金好き)という考えが浮かんだ。
(今日、 この除霊を1千万で受け持っています。
5割の500万をあなたに差し上げますからお願いします!!)
(え!!? 500万!!?
おキヌさんて、 
確か依頼額の10分の1で仕事を受け持つのをポリシーとしているのでは!!?)
キヌは泣き出しそうな顔で続けた。
(依頼額が1億だったんです〜!! 何分、 相手が大企業なものですから!!!
早く〜!! 横島さんが行っちゃう〜)
美神は舌を出して返した。
(O.K. 交渉成立!!!
でも何故おキヌさんは自分から止めようとしないのです?)
キヌは頬を赤く染め、 答えた。
(だって、 さっきあんな事が遇ったのに…お話しするなんて恥ずかしい)
キヌの言っている「さっき」とは横島がキヌを支えたときの事を指す。
この答えに美神は危うくこけそうになった。
500万が待っていると気を取り直した美神は背を向けている横島を呼び止めた。
いや、 正確にはキヌに大声で話しかけたと言ったほうが良いだろう。
『おキヌさん、 確か事務所にシャワールームありましたよね?
仕事終わったら、 私浴びてもいいかしら?』
すると、 背を向けていた横島が『ドギュンッ』と言う効果音と共に戻ってきた。
『辞めるってのは冗談ッス
末永くお傍で使ってください、 おねーさま方!!!』
この横島を見て、 美神はキヌに軽くウィンクした。
そして、 キヌを先頭にビルの最上階、 自殺者の下へと急いだ。


最上階、 1人の黒いオーラを漂わせている男性が立っていた。
その男性の後姿を見た横島はやはり嘆いた。
『こんな事になるんなら帰っときゃ良かった〜
怖いのは…』
横島の悲鳴をキヌの笛が遮った。
その美しい音色は横島から恐怖を取り除き、 美神に鳥肌を立たせるほど優しい音色であった。
数秒後、 1人の男性は笛の音と共に消え去った。
男性は笛の前に抵抗する事も出来ず、 唯、 静かに成仏した。
『あの…これで…?』
美神がゆっくりとした口調でキヌに尋ねた。
『はい、 終わりです』
軽々と返すキヌに美神は尊敬さえ覚えた。
と、 その後ろには横島が…
『感激しました〜!!! 素晴らしいッス
一生ついて行きます、 おキヌおね〜さま〜』
美神の反応さえ追いつけず、 見事にキヌに抱きつく。
キヌは真っ赤になり、 抵抗もしない。
美神は改め、 (おキヌさんはこ〜ゆ〜人だった)と思った。
だが、 このまま放っておく事も出来ず、 横島の頭をどついた。
『状況をわきまえなさい!!!』
と言う台詞と共に…


氷室除霊事務所にて…
『さ〜てと…』
美神があくびをして背をピーンと伸ばすと横島がすかさず、
『お風呂ッスか!!? お供します!!!』
と美神の肩に手を掛けた。
が、 次の瞬間美神の裏拳が横島の顔面にクリーンヒットした。
『お風呂に入るとは言ったけど、 見たらどうなるかは分かってる?』
横島は倒れながら、
『はい、 身をもって理解致しました』
そう答えた。
『あ、 そうだ、 美神さん。 どうぞ、 これを…』
キヌはそう言って美神に封筒を渡した。
美神はその封筒の中身を取り出し、 慣れた手つきで勘定を始めた。
鼻歌を歌いながら…
『どうも有難う御座いました〜』
美神はお礼の言葉を言い、 シャワールームへと行った。
キヌと横島、 二人居間に残された所で、 
キヌはまだ血を流して倒れている横島の方へと歩み寄った。
そしてヒーリングを始めた。
傷がふさがった横島は驚きの表情でキヌの方を見た。
『今のはヒーリングと言う物です。
ゲームなどにもあるでしょ? それとほとんど同じですよ』
優しく眩しい天使のような笑顔を横島に向けた。
その笑顔を見た横島は
(こんな純情そうな人に手は出せんよなぁ…さすがに…)
とキヌの方を見て思い、 横島に見つめられたキヌは
(あぁ、 3つも年下の男の子に恋しちゃうなんて…
でも20年間生きてきて本当に恋したのは初めてだなぁ…
もしかして…これが運命!!? きゃー そんな私ったら)
と両手を頬に当て、 真っ赤になっている。


自分の助手に恋をしてしまったキヌ、
キヌには手を出せないと葛藤を続けている横島、
洗面所でも金を数える事を忘れない美神、


こうして氷室除霊事務所の1日が明ける。

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